ドライ・ウェット仮説検証の手順について
〔検証すべき仮説(分子間力モデル)のまとめ〕
ある人が周囲の他者との間に、(液体分子間に働く)分子間力のような、互いに引き付け合い、牽制・束縛し合う力(相互間引力)を行使する場合にウェット(湿潤=液体状態)、(気体分子同様に)分子間力のような相互間引力を行使しないとドライ(乾燥=気体状態)と感じられる。
相互間引力(液体分子間で働いているような分子間力のような力)が人と人との間に働いている社会がウェットと感じられ、あまり働いていない社会がドライと感じられる。
〔仮説検証の手順〕
抽出した仮説の数がある程度まとまったところで、それが本当に、ドライ/ウェットと感じられるかどうかを確認するために、インターネットのWWWホームページを利用してアンケート調査および結果分析を行い、仮説が正しいことを確かめた。
アンケート調査は、初めて仮説の正しさを確認する1回目(項目数約100)と、回答項目の数を増やして1回目の結果が正しいかどうか追試する2回目(項目数約150)とに分けて行った。具体的には、1997.4~5(1回目)、1997.11~1998.9(2回目)にかけて、インターネットWWWホームページ上に、アンケート調査専用ページを開いて、回答者を募集しした。質問は、「(それぞれドライ/ウェットな感じを与えると考えられる)対になった2つの行動様式のうち、どちらがよりドライと感じられるか」ということを尋ねる形で行った。回答者数が、各回答項目について、80(1回目)、100(2回目)程度集まったところで、募集を打ち切り、結果分析を行った。
アンケート結果の集計は、PerlのCGIスクリプトを用いて、任意の時刻にその時点まで寄せられた回答の傾向を、割合や正規分布のz値、有意水準に達したかどうかの判定などをその場で全ての項目対について計算し、表形式に表示するようにした。
結果の分析は、互いに独立でない一組の標本における比率の差の検定を用いて、ドライ VS ウェットの大きさを比較する形で行った。検定方法については、例えば、中道實「社会調査方法論」(恒星社厚生閣 1997)p.353の例題11.3を参照し、以下のような数式で行った。
AP (UAPと同一の項目対にあって)当初の仮説でドライではないかと予想した方の項目において、実際にドライであると判定された割合
UAP (APと同一の項目対にあって)当初の仮説でウェットではないかと予想した方の項目において、実際にはドライであると判定された割合
ちなみにAPとUAPとは、同一の項目対において、互いに正反対の態度を述べており、1つの項目対において一方がドライであるとすると、他方は、自動的にウェットである、ということになる。正規分布のz値の求め方は、
z = ABS(AP - UAP)/SQRT((AP + UAP) / n)
とした。
有意水準a = 0.01 で帰無仮説(ドライ=ウェット)が棄却される(ドライ>ウェットであると確言できる)には、z = 2.33以上が必要である。
有意水準a = 0.05 で帰無仮説(ドライ=ウェット)が棄却される(ドライ>ウェットであると確言できる)には、z = 1.64以上が必要である。
有意水準a = 0.10 で帰無仮説(ドライ=ウェット)が棄却される(ドライ>ウェットであると確言できる)には、z = 1.28以上が必要である。
本研究の調査結果説明では、ドライとした割合が、ウェットとした割合よりも有意に多かった項目のみ(有意水準0.10以下)をピックアップして列挙し、説明している。
結果分析の結果、2回とも、抽出した仮説の約80~90%について、当初ドライと感じられるのではないかと予想したものは、実際に有意にドライと感じられている、ということが分かった。本研究の結果説明では、データは、2回目の調査について、ドライと有意に感じられていると判明した項目を使用するものとする。