ドライ/ウェットな性格・態度について(詳細)


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〔調査の概要〕

 実施期間 1997.11~1998.9

 回答者の属性
記号 回答数 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代
A 100 47.000% 53.000% 14.000% 76.000% 10.000% 0.000% 0.000% 0.000% 0.000%
B 100 46.000% 54.000% 15.000% 71.000% 13.000% 1.000% 0.000% 0.000% 0.000%
C 100 57.000% 43.000% 20.000% 69.000% 8.000% 3.000% 0.000% 0.000% 0.000%
D 100 45.000% 55.000% 19.000% 73.000% 8.000% 0.000% 0.000% 0.000% 0.000%
E 100 48.000% 52.000% 16.000% 74.000% 6.000% 4.000% 0.000% 0.000% 0.000%

 
 

〔回答項目の分類(クラスタ化結果)〕
 
 

まず、有意にドライ/ウェットとされた回答項目としてどのようなものがあったかを、いくつかの指向に分類する形で説明する。
 
凡例 Dry 気体分子 相互間引力(分子間力)が小さい
Wet 液体分子 相互間引力(分子間力)が大きい
(1) Dry 個人主義 互いに一人ずつ個別にバラバラに動こうとする
Wet 集団主義 互いにまとまって動こうとする
(2) Dry 自立指向 互いに自立している
Wet 相互依存指向 互いに依存し合う(もたれ合う)
(3) Dry 広域分散指向 互いに広い領域に散らばる
Wet 過密指向 互いに狭い領域に密集する
(4) Dry 多様性の尊重 互いの多様性を重んじる
Wet 画一指向 互いを画一的な枠にはめようとする
(5) Dry 非人間指向 互いに他者(他の人間)を指向しない
Wet 人間指向 互いに他者(他の人間)を指向する
(6) Dry 非縁故指向 互いに結びつきの慣れを持たない
Wet 縁故指向 互いに結びつきの慣れを持つ
(7) Dry 自由主義 互いに自由に動き回ろうとする
Wet 規制主義 互いに動作を規制し合う
(8) Dry 自律指向 自分で自分の進行方向を決められる
Wet 他律指向 自分の進行方向を自分だけでは決められない
(9) Dry 反同調指向 進行方向を互いに合わせようとしない
Wet 同調指向 進行方向を互いに合わせようとする
(10) Dry 反権威主義 進行方向に関して少数派で構わないとする
Wet 権威主義 進行方向に関して(すでに認められた)主流派の一員に入ろうとする
(11) Dry 訴訟指向 互いに進行方向の対立・衝突を起こす
Wet 和合指向 互いの進行方向を調和させようとする
(12) Dry プライバシー尊重 互いのプライバシーを重んじる
Wet 反プライバシー 互いのプライバシーを重んじない
(13) Dry 反あいまい指向 動作方向が率直・明快である
Wet あいまい指向 動作方向が率直・明快でない
(14) Dry 非定着指向 今いる地点に定着せず絶えず拡散しようとする
Wet 定着指向 今いる地点に定着しようとする
(15) Dry 独創指向 未知の領域に進もうとする
Wet 前例指向 今までいた領域にとどまろうとする
(16) Dry 合理指向 周囲からの引力を断ち切って合理的に割り切って行動する
Wet 非合理指向 周囲からの引力を断ち切れず割り切れない
(17) Dry 能動指向 相互間引力を振り切って自発的に動き回れる
Wet 受動指向 相互間引力を振り切れず自発的に動き回れない

次に、各指向毎の、実際の回答項目についての調査結果を、有意にドライと感じられた項目のリストアップという形でまず行い、次に、各指向がなぜ、ドライ/ウェットといえるかを、分子間力モデルの視点から、説明する。

〔1.個人主義-集団主義〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
A1 単独・ひとりで行動するのを好む 79.000 11.000 10.000 集団・団体で行動するのを好む 7.314 0.01
A14 他者からの分離・独立を好む 75.000 15.000 10.000 他者との一体化・融合を好む 7.050 0.01
B1 互いに離れていようとする 82.000 7.000 11.000 互いにくっつき合おうとする 7.362 0.01
B12 互いにバラバラでいようとする 80.000 10.000 10.000 互いに集まろうとする 7.379 0.01
B20 何か目的がないと互いに集まらない 82.000 11.000 7.000 互いに集まること自体を好む 7.950 0.01
C13 簡単に脱退できる 76.000 9.000 15.000 (集団・団体が)いったん加入するとなかなか脱退できない 6.395 0.01
D28 自分個人の利益を優先する 72.000 11.000 17.000 自分の属する集団の利益を(個人の利益よりも)優先する 5.830 0.01
D29 ひとりで他者とは別の道を歩むのを好む 72.000 17.000 11.000 ひとりで他者とは別の道を歩むのを好まない 6.696 0.01
1-W.集団主義がなぜウェットか? 

相互間引力が大きい、ウェットな対人関係の場合、個人同士が互いに引き付け、まとまり合って、いつの間にか自然発生的に集団が生成される。集団を作ることで、互いにひとまとまりになり、相互の一体・融合化を果たすことができる。ウェットな対人関係においては、互いに(相互間引力の働きで)一つにまとまり合って集団を生成してそこに属すること(集まること)自体が自己目的化し、その延長線上で、自分の属する集団の利益を、個人の利益よりも優先することになる。集団から抜けよう、一人で周囲とは別の道を歩もうと思っても、周囲からの引力が、その個人に絡みつき、脱退や単独行動を許さない(個人が一人でいることを許さない)。いったんくっつき合って一つにまとまった個人の群れは、団子状にひとまとまりになって動くことになり、集団・団体行動を指向することになる。ある個人の周囲にいる他者による(ウェットさをもたらす)相互間引力は、今まで自分たちのいる集団内にいた、ある個人が集団外に出ようとするのを、周囲から集団内の自分たちのいる方向へ引き付けて阻止しようとする方向で働く。

1-D.個人主義がなぜドライか? 

ドライな対人関係においては、人間相互の間に、相互間引力が働かないので、個人同士は、互いに引き付け合って集まろうとせず、互いにバラバラに離れたままでいようとする。したがって、ドライな対人関係にあっては、集団・団体は、目的がない限り、自然には発生しない。その意味で、集団を作ることが自己目的化しない。個々人は、周囲からの引力を気にせずに、単独(ひとり)で自由に動き回る(自分自身の動きや進行方向を決定する)ことができ、周囲の他者とは別の道を進むことができる。集団が簡単に脱退できるとは、集団外に抜け出そうとするときに、周囲の他者から、それを引き止めようとする、引力(分子間力相当)が働かないことを意味する。
 

〔2.自立指向-相互依存指向〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
A2 互いに自立しているのを好む 82.000 8.000 10.000 人付き合いで互いにもたれあうのを好む 7.507 0.01
A15 独立心が強い 65.000 16.000 19.000 依頼心が強い 5.019 0.01
B2 甘えを嫌う 78.000 8.000 14.000 互いに甘えあおうとする 6.672 0.01
B13 派閥を作るのを嫌う 82.000 10.000 8.000 派閥を作りたがる 7.800 0.01
D32 互いに依存しあおうとしない 70.000 9.000 21.000 互いに依存しあおうとする 5.137 0.01
2-W.相互依存指向がなぜウェットか? 

ウェットな対人関係においては、互いの間に引力が働くので、自分が、周囲の他者に対して、相手(他者)が相手方に引き寄せる引力にそのまま乗じて、相手(他者)に対してもたれかかる(依存する)、ないし周囲の他者が、自分に対して、自分が他者(相手)に対してこちら(自分の側)に引き寄せようとする引力に乗じて依存してくる、ということが日常化する。そういう意味で、周囲の他者とは、行動面で相互依存の関係になり、もたれ合いの感覚や依頼心が強くなる、といえる。甘えのように、個人(例えば子供)が他者(例えば母親)にもたれかかる(依存する)かたちで、互いに一体化する対人関係、あるいは、派閥のように、各自が、1人で自立するには頼りないので、集団に入って、内部では互いに一体化してもたれ合いつつ、外部に対しては、一つにまとまった自分たちの勢力の大きさをアピールする、といった対人関係も、以上の意味で、ウェットであるといえる。
 

2-D.自立指向がなぜドライか? 

相互間引力が小さい、ドライな対人関係の場合、各人相互の間に引力が働かないということは、個人が、自分の動きを決定するのに、周囲の他者の動きの影響を受けることが少なくなり、自分のことは自分で決定して行動できる(周囲の他者に行動を依存しないで済む)ことを意味する。その点で、ドライな個人は、周囲の他者から自立(独立)しているといえる。
 

〔3.広域分散指向-過密指向〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
A3 広い空間に分散していようとする 76.000 8.000 16.000 狭い空間に密集していようとする 6.255 0.01
A16 一人ずつ個室にいるのを好む 76.000 15.000 9.000 多人数で大部屋にいるのを好む 7.267 0.01
C3 ものの見方が客観的である 83.000 4.000 13.000 客観的でない 7.144 0.01
C29 他人との間に隔てを置こうとする 70.000 14.000 16.000 隔てがないようにする 5.823 0.01
D31 互いに遠ざかるのを好む 54.000 21.000 25.000 互いに近づくのを好む 3.263 0.01
E32 互いに離れているのを好む 58.000 20.000 22.000 互いに一緒にいるのを好む 4.025 0.01
E35 他者と肌と肌が触れ合うのを好まない 62.000 18.000 20.000 他者と肌と肌が触れ合うのを好む 4.638 0.01
3-W.過密指向がなぜウェットか? 

液体分子群は、気体分子群に比べて、分子間力のおかげで、互いに引き付け合ってまとまり合う分、より高密度で狭い空間内に、互いに密集して(過密状態で)存在する。それと同様に、ウェットな個人同士は、互いに引力が働き合って、一体化しやすい分、狭い領域にひしめき合って生きるのを好むことになる。例えば、大部屋に他者といるのを好むことは、個室にいる場合のように、壁やドアによって、他者のいる空間から隔離されること(周囲の他者から離れて存在すること)を嫌うことを意味する。すなわち、ウェットな個人は、周囲の他者の近く(肌と肌が触れ合う距離)に一緒にいることを好むのであって、この結果は、相互間引力によって、互いに引き付け合って近づこう、集まろうとすることにより、もたらされる。
 

3-D.広域分散指向がなぜドライか? 

気体分子群は、液体分子群に比べて、分子間力が小さいため、互いに引き付け合ってまとまり合うことが少ない分、より低い密度で広い空間内に、互いに分散して存在する。それと同様に、ドライな個人同士は、互いに引力があまり働かず、バラバラに離れて動き回る分、広い領域に散らばって生きるのを好むことになる。例えば、個室にいることを好むことは、壁やドアによって、他者のいる空間から隔離される(他者のいる場所からの距離を大きく取る)ことを意味する。ドライな個人同士は、(引力が働かない分、)互いに引力が働くのとは反対の、離れた、遠ざかる方向へ動くことを好むことになる(肌の触れ合うような至近距離に互いにいるのを好まない)。

ものの見方が客観的ということは、自分の身の回りの対象に対して、十分な距離を取って眺めることを指向することであり、自分を周囲から離そうとする姿勢の現れである点、広域分散指向といえる。
 

〔4.多様性の尊重-画一主義〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
A7 横並びであろうとしない 75.000 12.000 13.000 周囲の他人と横並びであろうとする 6.609 0.01
A20 自分とは異なる意見を持つ人に対して寛容である 68.000 11.000 21.000 自分とは異なる意見を持つ人に対して寛容でない 4.982 0.01
B6 周囲から孤立してでも個性的であろうとする 68.000 19.000 13.000 周囲から自分だけが孤立しないように没個性的であろうとする 6.111 0.01
B17 人々の多様性を認める 79.000 12.000 9.000 人々を画一的な枠にはめようとする 7.462 0.01
4-W.画一主義がなぜウェットか? 

画一主義は、各人が、心理的な距離空間内(心理的に互いに近い位置にいるか、遠い位置にいるかを表すための多次元空間の内部)に存在する位置が、互いに近い・同一であるようにすることを意味する。このことは、(過密指向同様のしくみで)互いに心理的距離空間内における分布位置を同じにしようとすることにつながる。互いに心理的な分布位置をできるだけ同じにして、没個性的であるようにすることは、互いに引き付け合って一体化・集団化する相互間引力が働いて、互いに狭い心理的距離空間に密集して分布しようとする、(分子間力の大きい、液体分子同様の動きによってもたらされる)ウェットな対人関係によるものといえる。

多様性を認めない(画一的な枠にはめようとする)のがウェットと感じられることは、ウェットな個人の方が、分布のはずれ値が少ない(分布の幅が小さい)ことを意味する。没個性的であることにより、互いに(心理的距離空間内の)至近の位置に存在する分、互いに周囲の他者から孤立しにくい、といえる。

周囲の他者と横並びになろうとする動きは、周囲の他者が(自分の方へと)引っ張る力の方向にそのまま自分も付いていくことであり、自分の周囲との相互間引力の存在に合致した行動といえる。たとえ孤立してでも自分が属する集団とは心理的距離空間内における分布位置を異ならせようとする(皆が黒色の周りにいようとするのに一人だけ白色のところに行こうとする)個人の存在は、周囲が互いに引き付け合う力の方向とは異なる方向に行こうとするものであり、分子間力相当の互いに引き付け合って一体化させる力に反するので好ましくない(没個性的なのが好ましい)、ということになる。
 

4-D.多様性の尊重がなぜドライか? 

多様性の尊重は、各人が、心理的な距離空間内(心理的に互いに近い位置にいるか、遠い位置にいるかを表すための多次元空間の内部)に存在する位置が、互いにバラバラに離れているのを許容することを意味する。このことは、(広域分散指向同様のしくみで)互いに心理的距離空間内における分布位置を異ならせようとすることにつながる。互いに心理的な分布位置をできるだけ異ならせて個性的であるようにすることは、互いに引き付け合って一体化・集団化する相互間引力が働かず、互いに広い心理的距離空間に分散して分布しようとする、(分子間力の小さい、気体分子同様の動きによってもたらされる)ドライな対人関係による産物といえる。

多様性を認める(画一的な枠にはめようとしない)のがドライと感じられることは、ドライな個人の方が、分布のはずれ値が多い(分布の幅が大きい)ことを意味する。これは、例えば、風船に液体の水を入れて熱すると、中の水が気化して体積が膨張するため、気体(ドライな)分子の方が分布の幅が大きい(広い空間に分散する)ことと同じである。個性的であることにより、互いに(心理的距離空間内の)バラバラな位置に存在する分、互いに周囲の他者から孤立しやすい、といえる。

 

〔5.非人間指向-人間指向〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
B3 他人との触れ合いを好まない 72.000 13.000 15.000 他人との触れ合いを好む 6.111 0.01
C5 機械に興味を持つ 61.000 16.000 23.000 人間に興味を持つ 4.146 0.01
C10 人付き合いのあり方がよそよそしい 66.000 16.000 18.000 人付き合いのあり方が親密である 5.237 0.01
C16 他者に対して共感しにくい 59.000 20.000 21.000 他者に対して共感しやすい 4.249 0.01
C26 愛という言葉を使うのを好まない 69.000 16.000 15.000 愛という言葉を使うのを好む 5.892 0.01
D6 人間関係が薄いのを好む 65.000 14.000 21.000 人間関係が濃いのを好む 4.745 0.01
D12 互いに仲良くしたがらない 56.000 17.000 27.000 互いに仲良くしたがる 3.183 0.01
D26 他者から拒否されても気にしない 70.000 7.000 23.000 他者から拒否されるのをいやがる 4.874 0.01
E9 互いに疎遠な関係になるのを好む 50.000 13.000 37.000 互いに親密な関係になるのを好む 1.394 0.10
E14 人間関係に気をつかわない 53.000 14.000 33.000 人間関係に気をつかう 2.157 0.05
E18 周囲の他者にあえて気に入られようとしない 58.000 20.000 22.000 周囲の他者に気に入られようとする 4.025 0.01
E19 自分の内面を他者に開示したがらない 72.000 10.000 18.000 自分の内面を他者に開示したがる 5.692 0.01
E22 特に気にしない 65.000 12.000 23.000 周囲の他者に良い印象を与えようといつも気にする 4.477 0.01
E27 人間関係を何かの手段としてしか見ない 58.000 9.000 33.000 人間関係そのものを重視する 2.621 0.01
E33 他人が自分のことをどう考えているか気にならない 57.000 10.000 33.000 他人が自分のことをどう考えているか気になる 2.530 0.01
5-W.人間指向がなぜウェットか? 

他者を指向する、とは、自分が他者を引力によって引き寄せる、あるいは、他者が発する引力に引き寄せられている状態である。こうした場合、自分と他者とは、互いに引き寄せ合う関係に入ろうとする傾向にあり、こうした関係に入ろうとする状態は、相互間引力(液体分子の分子間力相当)を働かせようとするところから起きているので、ウェットであるといえる。すなわち、相手に引力を働かせて、自分のもとに近づかせようとする、あるいは、相手の(自分を相手のもとに引き寄せようという)引力に応じて、相手に近づこうとする指向においては、相互間引力が大きく働いているため、ウェットな感じを与えるといえる。上記の場合、各人が他者に対して引力を発する源となっている。

人間関係そのものを重視するとは、他者と互いに引き付け合い、近づき合う関係に入ること自体を重視することである。また、共感しやすいとは、相手に心理的に引き寄せられやすいことを示す。互いに仲良くなろうとすることは、互いに引き付け合ってひとまとまりになった状態を指向することを示す。自己開示を行うとは、自分の内面をさらけ出して、その中に相手を引き寄せよう(近づかせよう)とすることを示す。自己開示は、あるいは、そうすることで、互いに相手と関心を共有しようとする(心理的距離空間内における位置を近くしようとする、心理的に互いに引き合って近づこうとする)行動とも取れる。

他人との触れ合いを好むのは、互いに触れ合えるほど十分な近さまで互いに接することを好むことであり、愛という言葉を好むのは、自分と他者とが、互いに引き付け合って心理的・物理的に一体化することを望みやすいことを示している。いずれも、引力行使願望の現れと見てよい。

他者から拒否されるとは、互いに引き付け合い近づき合おうとする関係に入るのを拒絶されることであり(その点、相互間引力が小さいドライな感じを与える)、そのことをいやがるのは、互いに近づき合おうとする指向の現れと見てよく、相互間引力を働かせようとする、ウェットな態度に当たることになる。

他者によい印象を与えるように気にすることは、そうすることで、他者に自分のもとへよりよく近づいてもらおうとすることを示し、他者に対して引力を行使していることになる。
他者が自分のことをどう考えているか気になるとは、自分が他者にどのような印象を与えているか、気を配ろうとすることであり、相手によい印象を与えて、自分のところによりよく近づいてもらえるようにすることを暗黙のうちに望んでいることを示していると考えられる。
上記の態度は、いずれも、互いに引き付け合う(近づき合う)ことを指向する点で、相互間引力が大きく、その点で(分子間力の大きい液体分子同様)ウェットな感覚を、与えるといえる。互いに引き合うことにより、互いに相手を指向した相互作用が多くなる。互いに相手を指向する相互作用が多くなると、人間関係が(親密さを増すことで)濃くなる。 

5-D.非人間指向はなぜドライか? 

例えば、ロボットやメカニックといった機械への指向は、直接人間に興味を持たない、生身の人間に近づこうとしない点で、他者との間の引力が小さく互いに離れやすいことを示している。あるいは、互いに疎遠になることは、互いに(心理上の)距離的に離れた方向を指向することにつながり、相互間引力が働きにくい方向へ進むことを示す。上記の態度は、いずれも、相互間引力を無効化する方向を指向しており、その点でドライであるといえる。
 

〔6.非縁故指向-縁故指向〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
A4 縁故(コネ)を重んじない 67.000 11.000 22.000 人付き合いで縁故(コネ)を重んじる 4.770 0.01
A17 短期間でさっと別れるのを好む 49.000 15.000 36.000 他者と長期間にわたって付き合おうとする 1.410 0.10
B14 親分子分関係を好まない 79.000 14.000 7.000 人付き合いで親分子分関係を好む 7.764 0.01
B21 身内・外の区別にこだわらない 65.000 14.000 21.000 人付き合いで身内・外の区別にこだわる 4.745 0.01
C24 人付き合いの雰囲気が家族的でない 63.000 13.000 24.000 人付き合いの雰囲気が家族的である 4.181 0.01
C23 縁故のない人とも付き合う 59.000 18.000 23.000 縁故(コネ)のない人とは付き合おうとしない(一見さんお断り) 3.976 0.01
C25 事前に根回しがなくても気にしない 81.000 13.000 6.000 会議で事前に自分への根回しがないと気に食わない 8.041 0.01
D30 接待を好まない 82.000 11.000 7.000 接待を好む 7.950 0.01
D33 集団外の人々とも付き合う 65.000 15.000 20.000 自分が属する集団内の人々としか付き合おうとしない 4.881 0.01
6-W.縁故指向がなぜウェットか? 

特定の人間同士が互いに相互間引力によって、くっつき合う(心理的に一体化しあう)状態になるのを繰り返すことによって、人と人との間の結合(connection)自体に慣れが生じる(結びついた状態が日常化する)。人間同士が互いに慣れた結びつきを持って、互いに引力を及ぼしている状態が、「縁故がある」ことになると考えられる。このように、相互間引力のおかげで人間同士が強い紐帯を持つに至ることが可能となるわけであり、こうした縁故関係は、それが人間同士の相互間引力由来である点でウェットである。

(相互間引力によって)互いに結びついていることが当然となった人間同士の関係は、血縁関係で結ばれた家族同様のレベルまで深まることもしばしばであり、そのときには、家族的な雰囲気を現すようになる、と考えられる。例えば、実の親子と擬制する親分子分関係などである。

既存の縁故関係で結ばれた者同士のネットワークが「身内」関係であり、その中での人間関係を専ら重視することは、既存の縁故関係に基づかない新たな未知の人間(よそ者)との関係の形成を拒絶することにもつながる。自分が属する集団内の人々としか付き合おうとしない態度も、自分の属する集団を、慣れた結合による関係のネットワークで結ばれた身内と見なし、その関係にのみ目が行く点で、縁故指向といえる。接待も、相手と食事の機会を持つことで、互いに引き付け合って新たに親密な関係・結びつき(縁故)を作り出そうとする行為であり、引力がもとになっており、ウェットであるといえる。

根回しは、交渉などをうまく成立させるために、関係方面にあらかじめしておく話し合いのことであり、予め存在する縁故関係をたどって、そのネットワークの中にいる各人の了解を取り付けようとする行為は、各人が、関係を生成する相互間引力の只中にいることを、話し合いの機会を持つことで、再確認させる意味合いを持ち、根源的にはウェットである、といえる。
 

6-D.非縁故指向がなぜドライか?

相互間引力がないと、他者との結びつきが生まれにくい。すなわち、縁故ができにくい。縁故ができにくいため、身内(縁故のあるもの)と外(縁故のないもの)との区別が生まれにくい。結びつきの親密さが進展しないので、相互作用が家族的(あたかも血縁がつながっているようにみなす)になりにくい。

 

〔7.自由主義-規制主義〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
A5 人間関係のしがらみがなく自由に身動きできる 69.000 20.000 11.000 人間関係のしがらみの中で身動きが取れない 6.485 0.01
A18 抜け駆けを許す 63.000 20.000 17.000 集団内で一人だけの抜け駆けを許さない 5.143 0.01
B4 互いに自由に行動することを許す 72.000 13.000 15.000 互いに相手の行動を牽制し合う(足を引っ張り合う) 6.111 0.01
B15 失敗を犯した本人のみの責任とする 80.000 9.000 11.000 一人の犯した失敗でも周囲の仲間との連帯責任とする 7.233 0.01
B23 行動の自由を規制されることを好まない 89.000 4.000 7.000 行動の自由を規制されることを好む 8.369 0.01
C20 しっと心が弱い 56.000 12.000 32.000 しっと心が強い 2.558 0.01
C27 独力で業績を挙げたとき自分一人の力によるものだ(周囲は無関係)とする 53.000 17.000 30.000 周囲の皆のおかげだとする 2.525 0.01
D2 互いに自由競争を好む 59.000 9.000 32.000 互いに自由競争を好まない 2.830 0.01
D4 談合を好まない 72.000 10.000 18.000 談合を好む 5.692 0.01
D14 給料を能力に応じて配分するのを好む 82.000 11.000 7.000 給料を能力にかかわらず平等に配分するのを好む 7.950 0.01
D20 互いに束縛しあうのを好まない 86.000 6.000 8.000 互いに束縛しあうのを好む 8.045 0.01
D23 規制緩和を好む 62.000 23.000 15.000 規制を好む 5.356 0.01
D35 互いに行動を牽制し合うのを好まない 64.000 16.000 20.000 互いに行動を牽制し合うのを好む 4.801 0.01
E5 他者の足を引っ張るのを好まない 75.000 12.000 13.000 周囲の他者の足を引っ張るのを好む 6.609 0.01
7-W.規制主義がなぜウェットか? 

規制の存在は、人間同士の動きをがんじがらめに拘束する。こうした状態は、相互を縛り合う人間同士の引力の存在によりもたらされる。互いの動きを、相互間引力の働きにより、引き付け合って、牽制・束縛・拘束し合う(足を引っ張り合う)ことは、分子間力がしがらみとなって、自分の当初進みたいと思う方向へ向かって、自由に動き回ることができない液体分子と同様の動きを示している点で、両者は共通しており、その共通点が、共にウェットな感覚を人間に与える原因となっている、といえる。

ウェットな対人関係においては、一人が行動を起こそうとすると、行動を起こした本人と周囲の他者との間に働いている相互間引力によって、本人が周囲の他者からの力によって、その行動を規制される(元の位置に引き戻されるなど)。同時に、周囲の他者が、行動を起こした本人に不本意な方向に引きずられることも起こる。これが、足の引っ張り合いや、しがらみがある、行動の自由がない、と行動を起こした本人に感じられる、といえる。

この場合、一人が行動を起こすと、分子間力に相当する相互間引力が働いているため周囲の他者をついでに引っ張ってしまうなど影響が広く及ぶため、行動を起こした結果(業績をあげる、失敗する)についての責任は、行動を起こした本人1人のみに限定されず、周囲の皆のおかげ(ないし連帯責任)と見なすことになる。こうした状況では、個人が単独で自由行動を完遂するのは不可能である。

この時、何か新たに行動を起こそうとする本人は、事前に周囲に、自分はこれからこういうことをします、ということについて了解を取る、ないし根回しを行っておかないと、後で、本人の行動が周囲の他者をあらぬ方向へ(相互間引力の働きで)振り回した(逆に、周囲が本人を、自由に動けないように、相互間引力によって拘束しようとした)ということで、互いに不本意な思いをする(互いの行動を非難し合うなど)ことになる。

談合(官公庁の入札などの際に見られる)は、互いに相手の動きを、相手が自由な行動(各自が自由に安い入札価格を提示しあって競争するなど)を取らないように牽制し合って、取る動き(特定の誰かが、高めの入札価格を提示)を事前の話し合い(相互拘束)で決めてしまう点で、相互間引力の産物であるといえ、それゆえ、分子間力によって動きを相互規制する液体分子同様、周囲の他者にウェットな感じを与える点、ウェットな対人関係の代表格といえる。

一人だけの抜け駆けを許さないことも、相互間引力が、抜け駆けしようとする本人と周囲の他者との間に働いていて、一人が動くと、周囲の幾人かも(動いた本人との間に働く相互間引力おかげで)それにつられて動いてしまい、周囲の他者が一緒に付いてきてしまったり、周囲の他者が抜け駆けしようとする本人に対して自分たちの中に引き戻そうとする(分子間力同様の)力を働かせようとすることがあることを物語る。要するに、一人だけで動こうとしても、周囲の他者との間に複数の相互間引力が働いているので、それらがしがらみとなって自由に動けない。 

7-D.自由主義がなぜドライか? 

人間にドライな感覚を与える気体分子は、分子間力が小さいので、互いに引き付け合って束縛・牽制しあうことがあまりない(分子同士のしがらみがない)。それと同様に、相互間引力の少ないドライな人間関係においては、各人は自分がある方向に動こうとした時に、他者の引力に引っ張られたり、逆に、他者の動きを引力で牽制したりといったふうに、互いに相手の足を引っ張り合うことなく、誰にもじゃまされずに、自由に動き回ることができる。すなわち、自分が持つ引力で周囲の他者の動きに知らず知らずのうちに影響を及ぼしたり、周囲の他者からの引力で、自分の思い通りの方向に進めなくなることがなく、一人一人が、互いに周囲の状況から独立して、自由に自分の行きたい方向へ常に進むことができる。

上記の点で、ドライな人間関係は、行動の自由に至上価値を置く、自由主義的なものといえる。すなわち、行動の自由を束縛する規制を好まない(規制が緩和され、自由競争ができるのを望む)。この場合、一人が行動を起こしても、分子間力に相当する相互間引力が働いていないため周囲の他者に影響が及ばないので、行動を起こした結果(業績をあげる、失敗する)についての責任は、行動を起こした本人のみに限定される。

 

〔8.自律指向-他律指向〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
A23 自分の意見を持っている 76.000 15.000 9.000 周囲の意見に左右されやすい 7.267 0.01
B19 周囲の流行に振り回されない(左右されない) 83.000 11.000 6.000 周囲の流行に振り回される 8.162 0.01
C17 自分の今後の進路を自分一人で決められる 87.000 4.000 9.000 決められない(周囲の影響を受ける) 7.961 0.01
D18 失敗して他人に笑われても気にしない 67.000 9.000 24.000 失敗して他人に笑われるのを気にする 4.508 0.01
E11 周囲から孤立するのを恐れない 75.000 9.000 16.000 周囲から孤立するのを恐れる 6.185 0.01
E20 起こす行動に主体性がある 56.000 14.000 30.000 起こす行動に主体性がない 2.804 0.01
E26 周囲の他者の影響を受けにくい 67.000 9.000 24.000 周囲の他者の影響を受けやすい 4.508 0.01
8-W.他律指向がなぜウェットか?
他律指向とは、自分の行動や進行方向を、周囲の他者によって決定されることを指向することである。

ウェットな感覚を人間に与える液体分子は、周囲を取り巻く他分子からの分子間力による影響を受けて、自分の動く方向を変えやすい。それと同様に、対人関係においても、各人が周囲の他者からの影響(牽制など)を受けて、自分の動く方向を好む好まざるとにかかわらず変える必要に迫られる、という関係は、他者由来の、自分の進行方向を規定するところの影響力が、相互間引力の働きに相当すると考えられる点で、ウェットである、といえる。

ウェットな対人関係においては、自分の進路は、自分の周囲に存在する他者由来の相互間引力との兼ね合いで決まり、自分一人だけで決めることはできない。その意味で、周囲の他者による影響が大きいといえる。

周囲の流行などに振り回されるということは、周囲から発せられる相互間引力に引かれるままに動くことである。この意味で、行動における主体性の欠如した、自分の意見を持っていない人間は、周囲の分子にその進行方向を決められてしまう液体分子同様に、ウェットな対人感覚を与えるといえる。

失敗して他人に笑われるのを気にするのは、周囲の他者による自分の評価に対して、敏感なことを示す。他者による、評価という働きかけ(例えば嘲笑)を、自分にとって身近なものとして受け止める態度とも捉えられる。これは、周囲にいる他者の存在を絶えず意識しているといえ、他者による自分に対する牽制(引力)が働いていることを示している。

周囲からの孤立を恐れるというのは、周囲に自分と互いに近づき、引き付け合う仲である他者がいることを求めることを示し、その意味で、ウェットな対人関係を必要とすることにつながる。孤立を恐れることは、あるいは、心理的距離空間において、一人他者と離れた位置にいたくない(他の皆といっしょにいたい)ことを示しており、周囲の他分子といっしょにひとまとまりになって存在する液体分子の動きと似た行動を取ることになり、その点、ウェットな感覚を与える。
 

8-D.自律指向がなぜドライか?

自律指向とは、自分の行動や進行方向を、周囲の他者に影響されず、自分で決定することを指向することである。

ドライな感覚を与える気体分子は、周囲の他分子からの分子間力の影響を受けないため、自分の動く方向を、周囲の他分子の動きに合わせて変えることがない。それと同様に、対人関係においても、各人が周囲の他者からの影響(牽制など)を受けず、自分の動く方向を自分の思い通りに決定できる、という関係は、他者由来の、自分の進行方向を規定するところの影響力の欠如が、相互間引力の無効さに相当すると考えられる点で、ドライである、といえる。
失敗して他人に笑われても気にしないのは、心理的に周囲の他者による牽制が有効でない、遠いところにいることを示す。周囲の他者と心理的に違うところにいるのを好む(気にしない)のは、互いに遠く離れたところに分散して存在する気体分子と同様、ドライな感覚を周囲の他者に与えるといえる。

 

〔9.反同調指向-同調指向〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
B9 行動を周囲の人々に合わせようとしない 63.000 25.000 12.000 行動を周囲の人々に合わせようとする 5.889 0.01
C8 違ったことをしようとする(同調せず自律的であろうとする) 72.000 19.000 9.000 周囲の皆と同じことをしようとする(周囲に同調したがる) 7.000 0.01
D22 他人の真似をするのを好まない 76.000 16.000 8.000 他人の真似をするのを好む 7.419 0.01
D39 協調性を重んじない 59.000 13.000 28.000 周囲の他者との協調性を重んじる 3.324 0.01
E7 互いに違う方向に進むのを好む 66.000 18.000 16.000 互いに同じ方向に進むのを好む 5.522 0.01
E23 相手の言うことに反論したがる 40.000 39.000 21.000 相手の言うことに同意したがる 2.433 0.01
E29 意見の異なる他者との議論を好む 52.000 16.000 32.000 意見の異なる他者との議論を好まない 2.182 0.05
E30 個性的であろうとする 65.000 22.000 13.000 没個性的であろうとする 5.888 0.01
E36 意見の違う者も仲間に入れる 59.000 17.000 24.000 意見の同じ者だけでまとまろうとする 3.842 0.01
E38 少数派に属するので構わないとする 75.000 14.000 11.000 主流派の一員でいようとする 6.901 0.01
9-W.同調主義(conformism)は、なぜウェットか? 

自分の行動を周囲の他者に合わせようとする(自分の進行方向を周囲の他者と合わせる)、ということは、周囲の他者と、心理的距離空間内における、位置を同じくしようとして、近づき合うことを意味する。

周囲の他者と同じことをしようとする(周囲の他者の真似をする)ことは、心理的に互いに同質化することで、近づこうとする(同一の位置を占めようとする)ことを意味し、その意味で、皆同じ画一的なことをするようになる点で、没個性的といえる。

意見の同じ者だけでまとまろうとする(意見の異なる他者との議論を好まない)のも、相互の心理的同質性を確保して、心理的に同じ位置を持つことで、互いに一体・融合化しようとする姿勢の現れである。

これらの態度は、心理面で相互間引力を働かせて、互いにひとまとまりになって心理的に同一位置を共有しようとする動機を含んでいる点で、ウェットである、といえる。

協調性があるとは、他者との間で、同一の目標に向けて、互いの相違を打ち消し合う方向で、互いに歩調を合わせることができること、と捉えられる。この際、相違を打ち消し合うとか、歩調を合わせるといった、互いに、他者に対して、自分のあり方を、積極的に合わせることは、互いに、心理的距離空間における存在位置を同一化、あるいは近くしようとすることに当たり、結局は、心理的距離空間内で相互間引力を行使して近づき合おうとすることに当たる点、ウェットな態度といえる。

協調性については、以下のように捉えることもできる。周囲の他者が、自分のもとへ絶えず液体分子の分子間力相当の相互間引力を及ぼす場合、周囲が自分のもとに及ぼす引力は、自分を監視するまなざし・視線・うわさ話などとして感知される。行動を起こすとき、周囲の他者が、自分の行動する方向に応じて、相互間引力を行使してくるので、気にする必要が生じる。すなわち、絶えず周囲の状況と自分との関係に気を配ることになる。相互間引力が働く只中では、周囲の他者の動向や雰囲気を(引力の働き具合の変化などから)敏感に感じ取って行動する「協調性」が求められる。また、他者のまなざしを絶えず受けることにより、自分の行動が恥ずかしい、恰好悪いなどの感覚を呼び起こす。これらは、いずれも、各人間に相互間引力が働いていることで、ウェットと感じられる。

主流派の一員でいようとするとは、互いに同じ心理的位置を共有している他者の数が多い状態を望むことを示す。互いに同じ心理的位置にある者の数が多いほど、相互の一体・融合化が進むことになり、相互間引力がより強く働いたことになり、ウェットな感じを与えると、捉えられやすい。

液体分子間に働く分子間力相当の力、相互間引力が働くウェットな人間関係においては、周囲の他者と同じ方向に動かないと、自分の動こうとする方向とは反対方向へと(他者からの)一斉に大きな相互間引力を受けたりすることにより、けがをする(あの子は流行から外れていて恰好悪いなどといじめられるなど、ダメージを受ける)。したがって、行動を起こすとき、周囲の他者の意向がどうであるかを予め知っておき、自分の行動をそれに合わせる必要がある。

ちなみに、同調主義と他律指向とは、
同調主義 自分の進む方向を積極的に周囲と同一化する。自分から進んで、周囲からの引力の中に溶け込む。
他律指向 進路方向を消極的に周囲と同一化する。自分独自の道を歩みたいと思っても、周囲からの引力がそうさせてくれないので、仕方なく合わせる。
といった点で区別される、と考えられる。
 

9-D.反同調主義は、なぜドライか?

自分の行動を周囲の他者に合わせようとしない(自分の進行方向を周囲の他者と違える)、ということは、周囲の他者と、心理的距離空間内における、位置を異ならせようとして、互いに遠ざかる(近づき合わない)ことを意味する。心理面で相互間引力から自由になって、互いに独自の心理的位置を確保しようとする動機を含んでいる点で、ドライである、といえる。

 

〔10.反権威主義-権威主義〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
D24 権威あるとされる者の言うことを信じにくい 63.000 20.000 17.000 権威あるとされる者の言うことを信じやすい 5.143 0.01
E2 上下関係を重んじない 56.000 12.000 32.000 職場で上下関係を重んじる 2.558 0.01
E4 反抗的である 44.000 28.000 28.000 従順である 1.886 0.05
E15 人付き合いで相手の身分・格式を重んじない 66.000 14.000 20.000 相手の身分・格式を重んじる 4.960 0.01
E34 ブランドにこだわらない 65.000 16.000 19.000 物を購入するときブランドにこだわる 5.019 0.01
10-W.権威指向がなぜウェットか? 

権威ある者は、自分の周囲で起こる、(他者の)自分への同調行動の源となることができる。権威ある者の周囲においては、皆が(権威ある)自分の後や周囲を付き従う形で同調する。権威ある者は、互いに同調し合う周囲の皆の中において、中心的な位置を占めている。以上の点で、人が権威ある者に付き従おうとする、権威指向は、同調指向(ウェット)の一類型と見なせる。自分自身では権威を持たない人間は、自分が権威に従う(権威ある者に同調する)ことで、主流派であることを保証される、ないし、皆と一緒にいることができる。

社会一般やあるいは特定の組織内で、自分の上にいる者は、その社会や組織内でより主流に近いと認められた者である。社会や組織内の主流派(例えば、企業においては、社長、取締役の一団)から、その権威(主流派に属することの証明)を授けられた者である。その証明(例えば課長の肩書)は、(自分よりも地位の下の者、部下に対して)自分への同調を強制できる証拠となる。

上下関係を重んじるとは、社会・組織の主流派に属することを重んじる(自分が主流派にすでに属する場合は、その事実を周囲の、まだ主流になれない者たちに押しつけて、自分の思う方向に同調するように強制する)ことである。身分・格式を重んじるとは、社会の中で、相手がどれだけ主流派に近いかを見極めることを重んじ、それに合わせて自分の行動を(主流派への同調方向に)変えようとすることである。

ブランド指向とは、そのブランド名を冠した製品の品質がよいと保証されることで、ブランド品を購入することが、不良品の脅威から、我が身を守ることにつながる、というのがもともとの意義である。ブランド指向が、ウェットさと結びつくのは、そのブランド品を、皆が身につけたいと思っていて、自分が身につけることで、自分が(身につけたいと思っている他の皆と同様の道を、他者よりも一歩先に歩む)主流派である(皆と一緒にいられる)ことを保証されるからである。ブランドは、人々の同調(それを身につけたいと思うこと)を取り付ける、一種の権威として作用する。ブランド品を身につけて、流行の先端を行く場合でも、皆が後から自分の後ろを付いてくる、自分に同調することが前提となる。
 

10-D.反権威主義がなぜドライか?

反権威指向(権威ある者に従おうとしない)は、(権威ある主流派への)反同調指向(ドライ)の一類型と見なせる。この場合、人間は、自分が権威に従わない(権威ある者に同調しない)ことで、主流派であろうとしない、ないし、皆と一緒にいようとしないことになる。
 

〔11.訴訟指向-和合指向〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
A6 対立、訴訟をいとわない 55.000 14.000 31.000 対立や訴訟をいやがり和解しようとする 2.588 0.01
A19 意見が割れても多数決でよしとする 77.000 12.000 11.000 会議で意見の満場一致を好む 7.036 0.01
B5 周囲との調和を重んじない 59.000 24.000 17.000 行動を起こすとき周囲との調和を重んじる 4.818 0.01
B16 集団内部の和を重んじない 52.000 22.000 26.000 自分の所属する集団内部の和を重んじる 2.944 0.01
B22 相互批判を許容する 67.000 10.000 23.000 集団内での相互批判を好まない 4.638 0.01
11-W.和合指向がなぜウェットか? 

和合は、人間関係の調和への指向であり、対人関係で、互いに衝突しないで、仲良くやっていこうとすることである。これは、互いに引き付け合ってひとまとまりに一緒になろうとする点で、ウェットな液体分子と同様の動作を取ることに結びつく点で、ウェットといえる。和合への指向は、あいまいさへの指向(これも、相互間引力により絶えず他者に進行方向を牽制されて明確な方向性を打ち出せない結果として、ウェットさを感じさせる)とも結びついている。すなわち、互いに自分の態度(進行方向)をはっきりさせることで、敵味方に分かれてしまう(互いに正反対の方向に進もうとする事態を呼び起こす)、あるいは人間関係の分断を招いてしまうことを防ぐ。

意見の満場一致を好むということは、個人同士が(亀裂を生じずに)仲良くひとまとまりになった状態を好む、と言い換えられる。亀裂を生じなくさせるということは、液体分子の分子間力相当の、相互間引力の働きで、個人同士が互いにくっつき合う性質によって、たとえ集団内部の構成員同士の間に亀裂が生まれそうになっても、相互間引力によってその亀裂をすぐに修復する(亀裂のない状態に戻す)ということである。その点、ウェットな個人は、人間関係に亀裂のない、調和に満ちた状態(和合状態)を好むといえる。
 

11-D.訴訟指向がなぜドライか?

訴訟は、対人関係における共存状態からの脱却を現すものであり、反発して互いに距離的に離れようとする(互いに正反対の方向に行こうとする)関係を示している。これは、互いに仲良くなろうとする、ウェットさの原因となる、対人関係における相互間引力を振り切って、互いに違う進行方向を選ぼうとする点で、ドライであるといえる。

 

〔12.プライバシー尊重-反プライバシー〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
A8 仕事以外には他人の面倒をみない 51.000 14.000 35.000 仕事以外の私事にも面倒を見る 1.725 0.05
A10 周囲の他者の目を気にしない 60.000 11.000 29.000 行動を起こすとき周囲の他者の目を気にする 3.286 0.01
A21 他人のプライバシーには干渉しない 78.000 16.000 6.000 他人のプライバシーに介入したがる 7.856 0.01
B7 互いに監視しあうのを好まない 82.000 11.000 7.000 互いに監視しあうのを好む 7.950 0.01
B24 自分が他人にどう見られるか(外観)を気にしない 70.000 11.000 19.000 自分が他人にどう見られるか(外観)を気にする 5.406 0.01
C11 一面だけを知るだけでよしとする 51.000 11.000 38.000 他者のあらゆる面を知ろうとする 1.378 0.10
D7 化粧をするのを好まない 48.000 32.000 20.000 化粧をするのを好む 3.395 0.01
D11 他人が自分をどう見るかを気にしない 60.000 10.000 30.000 他人が自分をどう見るかを気にする 3.162 0.01
D13 互いに視線を合わせるのを好まない 64.000 15.000 21.000 互いに視線を合わせるのを好む 4.664 0.01
D17 他人のうわさ話をするのを好まない 68.000 13.000 19.000 他人のうわさ話をするのを好む 5.253 0.01
D27 互いに視線を送り合うのを好まない 65.000 16.000 19.000 互いに視線を送り合うのを好む 5.019 0.01
E3 私的な場での行動を好む 59.000 15.000 26.000 公式の場での行動を好む 3.579 0.01
E6 恥ずかしがりやでない 51.000 12.000 37.000 恥ずかしがりやである 1.492 0.10
E24 自分の外観を気にしない 49.000 16.000 35.000 自分の外観を気にする 1.528 0.10
E37 見栄を張るのを好まない 62.000 20.000 18.000 見栄を張るのを好む 4.919 0.01
12-W.反プライバシーがなぜウェットか?

互いに絶えず相互間引力を及ぼし合うことは、相手へと一定の力を及ぼし続けるとともに、相手に及ぼした力のフィードバック(自分の及ぼした力に対して相手がどう動いたか)を取得し続けることにより、相手の状態を絶えず見張る(監視する)ことと同じである。自分がどの方向にどの程度引っ張られたかを知ることにより、相手がどう動いたかを知ることになる。その意味で、互いに(分子間力相当の)引力を察知しあうことが、他者(ないし自己)のプライバシーへの干渉に結びつく、といえる。

あるいは、互いに引力によって、頻繁にくっつき合い接触し合うことが、互いのプライベートな空間への絶え間ない侵入を引き起こすことにつながり、他者(ないし自己)のプライバシーへの干渉(私事への介入)に結びつくことになる。

視線とプライバシーおよびウェットさとの関係は、以下のように説明される。相手のプライバシーは、相手に視線を送ることで、相手の行動をチェックして、相手の状態がどうなっているか情報を得ることで、失われる。

相手に視線を送る(じろじろ見るなど)ことは、相手の動きがどうなっているか確認、監視する(相手の状態を見張る)ために行われる。相手から視線を送られて監視されることで、自分の動きが相手に一方的に伝わる、読まれることになる。相手に自分が何をしているか、考えているか、読まれる(情報が相手に送られる)ことで、プライバシーが侵害される。視線を相手から送られることは、相手から、「そちらが何者であるか、何をするかをチェックした(見通した)、こちらが何をそちらに対してすればよいか、取るべき対応策を調べさせてもらった」旨のメッセージを送られることと同等である。相手に当方の行動をチェックされたり、取るべき対応策を考えられたりすることは、相手による(当方の行動の)検閲が行われること、すなわち、相手が、チェックの結果、当方が不適切な行動を取っていることが判明した時は、相手が当方に対してそれなりの措置を取る(嘲笑など負の制裁を行う)ことを予告することによって、当方の行動を牽制するのと同じである。こうした行動の牽制は、相手が、あなたの出方次第で、あなたの足を引っ張る用意が常にできていますよ、ということを示し、分子間力相当の、互いに足を引っ張り合い牽制し合う力が存在する、ウエットな対人関係に当たると考えられる。以上の意味で、視線の存在(他者に視線を送ること)は、対人関係にウェットさを与えるといえる。

何か行動を起こすとき、他者の目を気にするというのは、他者からの視線による牽制に敏感であり、(視線を送る)他者からの引力があるのではないかと予期しようとする証拠となる。自分の進む方向が周囲の承認を得られるか、自分が起こす行動が、周囲の期待に合っているかどうか(周囲の他者との間に働く相互間引力が自分の進行方向にとって正の方向に働いてくれるか)どうかを事前に知っておかないと、周囲から働く力(引力)によって足をすくわれることになりかねないからである。

相手と互いに視線を合わせる、アイコンタクトを取ることは、互いに相手を監視し合い、牽制し合うのと同じである。アイコンタクトは、互いに心理的に近づき合い、親しみ合うための動作と考えられ、その意味で人間指向である。このことは、互いに心理的に近づき、親しみ合うには、互いに相手のプライバシーの侵害をある程度行う(相互監視・牽制の状態へある程度持っていく)必要がある、ということを示している。

他人のうわさ話をするのは、自分が知った、他人に関するプライベートな情報を、第三者に広めることであり、他人のプライバシーの喪失に結びつく。

公式の場所での行動は、周囲の人々の視線を浴びるので、プライバシーは欠如することになる。

化粧をするのを好むのは、自分を眺める他者の視線を予め意識して、自分の顔や服装を、他者に効果的に映る(アピールする)ように工作することを好むことであり、他者の視線を浴びることを好む、すなわち、プライバシーを自ら進んで放棄することにつながる。あるいは、化粧をすることは、積極的に自己アピールすることで、他者を逆に牽制することにもなる。いいかえれば、化粧は、他者からの視線を予感して、自分の外に見える姿をコントロールすることである。他者からの視線、およびそれに反応する自分との間には、相互牽制・束縛の関係が存在するのであり、その点で、ウェットであるといえる。

自分が他者にどう見られているか(外観など)を気にするのは、周囲から見られているという感じが自身に働く(周囲のまなざしを感じる、周囲の他者からの相互間引力による牽制を感じる)からである。周囲のまなざしによる牽制を先取りして、それに対する反応を予め用意する行動といえる。

見栄を張るのを好むのは、他者に自分がよく見えるように、自分の表面(見た目)をつくろうのを好むことであり、他者に見られる、すなわち他者の視線を受けること(他者の視線による牽制)を前提とした行動であって、対人関係としては、相互牽制的なウェットな感じを与える。

その他、(例えば組織において上司が部下の)仕事以外の私事(プライベートなこと)にも面倒を見るのは、(上司の部下への)プライバシーへの積極的な介入と捉えることができる。
 

12-D.プライバシー尊重がなぜドライか?
ドライな対人関係においては、分子間力に相当する相互間引力が、あまり働かない。相互間引力を及ぼさないことは、相手へと力を及ぼす(足を引っ張るなど)ことがなく、自分の及ぼした力に対して相手がどう動いたかについての情報を取得し続けることで、相手の状態を見張ることがない(プライバシーに干渉しない)ことと同じである。互いに頻繁にくっつき合い接触することがないので、互いのプライバシーへの干渉(各人が周囲に持つプライベートな空間への進入)が起きにくい。

 

〔13.反あいまい指向-あいまい指向〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
A9 物の言い方が率直である 75.000 8.000 17.000 遠回し・婉曲である 6.047 0.01
A22 物事の白黒をはっきりさせようとする 68.000 15.000 17.000 あいまいなままにとどめようとする 5.532 0.01
B8 あいまいで融通の効く表現を好まない 64.000 17.000 19.000 あいまいで融通の効く表現を好む 4.939 0.01
B18 自分の今後の進路をはっきりさせようとする 71.000 21.000 8.000 あいまいなままにとどめようとする 7.088 0.01
D34 公私混同を好まない 71.000 16.000 13.000 公私混同を好む 6.328 0.01
13-W.あいまい指向がなぜウェットか?
ウェットな感覚を人間に与える液体分子においては、自分の周囲の多方面から分子間力を受けることにより、分子の動き(今後の進路を含めて)があいまいになる。それと同様に、ウェットな対人関係においては、当初明確な意図を持って動こうとしたとしても、周囲の他者からの相互間引力による介入・調整の繰り返しにより、いつしか進行方向があいまい・不明瞭(玉虫色)になる。
公私混同がウェットとなるのは、公共物と自分のものとを混同することが、公私の区別が「あいまい」となることに結びつくからだと考えられる。 
13-D.反あいまい指向がなぜドライか?
ドライな感覚を人間に与える気体分子は、分子の動き(今後の進路を含めて)が、周囲からの分子間力の干渉を受けて曲がることがないので、まっすぐ(率直)・はっきり(明快)な状態を続けることが容易である。それと同様に、当初明確な意図を持って動こうとしたとき、ドライな対人関係だと、周囲の他者からの相互間引力による介入・調整がないので、進行方向がはっきりした、明確な状態を続けることができる(あいまいさが生じない)。

〔14.非定着指向-定着指向〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
A11 一ヵ所に定着せずあちこち動き回る 58.000 22.000 20.000 一ヵ所に定着して動かない 4.303 0.01
B10 遊牧生活を好む 75.000 16.000 9.000 農耕生活を好む 7.201 0.01
C2 人事が流動的なのを好む 66.000 11.000 23.000 人事が停滞しているのを好む 4.558 0.01
C22 つねに新分野へと拡散しようとする 65.000 18.000 17.000 いつまでも今までいた分野にとどまる 5.301 0.01
D10 短期的契約関係を好む 70.000 10.000 20.000 長期にわたる取り引き関係を作るのを好む 5.270 0.01
D15 短期間で次々と所属する組織を変わるのを好む 55.000 17.000 28.000 一つの組織(職場など)に長期間所属しつづけるのを好む 2.964 0.01
D21 人間関係が流動的なのを好む 63.000 19.000 18.000 人間関係が固定的なのを好む 5.000 0.01
D25 変化を好む 57.000 12.000 31.000 現状維持を好む 2.772 0.01
14-W.定着指向がなぜウェットか? 

ウェットな感覚を与える液体分子は、コップなど、ふたのない容器に入れておいても、いつまでもその中にいて、外に拡散していくことがなく、新天地(新たな空間)への拡散性が欠如している(蒸発は、気体分子になることで、初めて可能になる。ふたを開けた容器から液体がなくなるのは、いったん気体となってから拡散するためであり、液体状態では拡散しない)。いつまでも既存の、今までその中に所属していた人間関係(組織)の中に、外に拡散せずに、現状維持のままとどまり続ける(定住・定着しつづける)ことは、以上の液体分子のそれと動きが共通であり、人間には共通に、ウェットな感じを与えることになる。
 

14-D.非定着指向がなぜドライか? 

容器などに入れている空気は、ふたを開けると、すぐに容器の外に拡散してしまう。その点で、ドライな感覚を与える気体分子は、新たな空間への拡散性を持つといえる。これは、分子間力によって互いに今いるところに引き止め合うことがないためであり、定着性に欠けている、といえる。一カ所に定着せずあちこち動き回る行動(例えば遊牧生活)は、常に新たな別の空間を求めて飛び回る気体分子の動きに近く、ドライな感じを、人間に与える。

人間関係の構築において、短期的なその場限りのビジネスライクな契約関係を好んだり(すぐ別の新たな相手と、今までの相手に対してのと同等の付き合いをしようとする)、人間関係が流動的でいつも付き合う相手を変えるのを好んだりする動きは、今までいたところを離れて、次々と変化を求めて新たな別の空間に進出していく気体分子のそれと同等であり、人間に与える感覚はドライである、といえる。
 

〔15.独創指向-前例指向〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
A12 新規の独創的なアイデアに求める 65.000 22.000 13.000 行動の基準を既存のしきたり・前例に求める 5.888 0.01
B11 先輩後輩関係に囚われない 73.000 11.000 16.000 人付き合いで先輩後輩関係を重んじる 6.042 0.01
C30 前人未踏のことにもあえて挑戦する 60.000 21.000 19.000 前例があることだけをしようとする 4.613 0.01
E12 年功序列を重んじない 68.000 8.000 24.000 年功序列を重んじる 4.587 0.01
E17 新たな知識を創造するのを好む 52.000 17.000 31.000 既存の知識を暗記するのを好む 2.305 0.05
E28 まだ誰も言っていない新たな理論を提唱するのを好む 44.000 27.000 29.000 既に誰かが言った理論の追試をするのを好む 1.756 0.05
15-W.前例指向がなぜウェットか? 

行動の基準を、従来から存在するしきたりや前例に求める態度は、新境地への拡散性の欠如(今までいたところに、いつまでも居続けようとする)という点で、液体分子同様であり、両者は人間に対して、共通にウェットな感覚を与える。上記のような(ウェットな液体分子同様の)新天地へ積極的に出ようとする姿勢の欠如は、しきたり・前例に関する知識の暗記量で人間の価値を推し量ろうとする考え方や、先輩・後輩関係(年功序列で上位の人間が、下位の人間を、ただそれだけの理由で支配する)の重視につながる。このタイプの人間は、自分のアイデンティティ確立を、既に定評のある、前例に当たる知識や方法との一体化で果たす。

ウェットな個人は、いつまでも既存の(今までいた)ところ(あるいは今まで自分が所属していた人間関係の中)にとどまり続ける(定住・定着しつづける)。これは、「組織内定住」といった言葉で表すことができる。そうすると、そこで生活するために必要なしきたりや前例が(前例のそのままでは通用しない、試行錯誤を絶えず必要とする新規領域へと進む場合に比べて)ストックされやすい。そこで、行動の基準を既存のしきたり・前例に求めることになり、例えば、教育において、前例を暗記することに重点が置かれる。

ウェットな社会では、人間関係を、前例を沢山蓄積している先輩と、蓄積量が少ない後輩との差別において把握することが常識化する。心の中に蓄積している前例やしきたりの量や質によって人間の価値が決まる(後輩の先輩への従属)。言い換えれば、先輩後輩制度は、人間の心の中における前例の蓄積量が年齢に比例することを根拠にした、独創性(前例にないアイデアを出す能力)を重視しない前例主義(非拡散性)のウェットな社会特有の制度であり(生きている時間が長いほど豊富な前例を知っており、短い者に比べて優位に立てる)、年功序列制度と深い関係にある。
 

15-D.独創指向がなぜドライか? 

行動の基準を、新天地へ飛び出す(新境地を開く、新たな知識を創造する)ための、独創的アイデアに求める態度は、今までだれもいなかった新たな空間への拡散性という点で、気体分子同様であり、両者は人間に対して、共通にドライな感覚を与える。前人未踏の領域での適応を重視するため、従来からあるしきたりや前例の蓄積を重視しない。この点で、しきたり・前例に関する知識の蓄積量で人間の価値を推し量ろうとする年功序列的な考え方や、それが人間関係上での上下方向の統制となって現れた先輩・後輩関係を軽視することにつながる。このタイプの人間は、自分のアイデンティティ確立を、まだ他の誰も得ていない(自分が初めての)オリジナルな知識や方法の発見・発明により、その発見・発明に自らの名前を冠することで果たす。

 

〔16.合理指向-非合理指向〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
C6 考え方が合理的である 87.000 7.000 6.000 非合理的である 8.399 0.01
C9 考え方が近代的である 70.000 21.000 9.000 前近代的である 6.863 0.01
C15 理性的である 72.000 8.000 20.000 考え方が感情的(情緒的)である 5.421 0.01
C31 考え方が科学的である 80.000 10.000 10.000 非科学的である 7.379 0.01
D8 占いを信じない 64.000 15.000 21.000 占いを信じる 4.664 0.01
D36 宗教を信じない 75.000 14.000 11.000 宗教を信じる 6.901 0.01
16-W.非合理指向がなぜウェットか? 
 

非合理指向がウェットな感じを与えやすいのは、周囲の他者からの引力を断ち切れず割り切った行為を取れないため、あるいは、自律性を保てず、周囲の他者からの引力(分子間力相当)による介入によって、一度立てた論理や計画が曲げられることが多いから(自分のいったん決めた方向に向かってまっすぐ進むことができないから)、と考えられる。周囲からの引力(分子間力相当)を断ち切れず、液体分子同様活動性(運動エネルギー)に欠けているといえ、その点で、受動指向とも関係があると考えられる。

考え方が感情的であるとは、進む方向がその場の、周囲からの相互間引力の働く方向(雰囲気)に従って気まぐれにアトランダムに変わってしまうため、自分で自律的に方向を決めて進んでいくことができないことを指すと考えられる。

社会変動との関連では、ウェットな社会派、近代化を自ら内発的に進める力がない。社会のあり方が非合理・非科学的(呪術的)、前例踏襲的(独創性の軽視)だからである。ドライな社会が独創的に作り上げた前例の踏襲・改良により(ないしドライな社会との一体化により)近代化が達成される。ウェットな感覚と、封建的感覚との関連とも、今後調査する必要があろう。

16-D.合理指向がなぜドライか?

周囲からの引力を断ち切って合理的に割り切って行動するには、周囲からやってくる各種のしがらみ(引力相当)を断ち切ることが必要であり、分子間力から自由な気体分子(ドライさを与える分子)と同様の性質を必要とするところから、ドライに感じられることになる、といえる。周囲からの引力(分子間力相当)を断ち切れるには、気体分子同様それなりの活動性(運動エネルギー)を必要とする。その点で、能動指向とも関係があると考えられる。

合理的・理性的な態度(理屈に従って物事を処理する、論理的・計画的な態度)が取れるのは、各人にある程度の自律性があり、周囲の他者からの引力(分子間力相当)による介入によって、一度立てた論理や計画が曲げられることが少ないから(自分のいったん決めた方向に向かってまっすぐ進むことができるから)、と考えられ、その点で、周囲からの引力が働きにくいドライな感じを与えやすいといえる。

ドライな社会は、社会変動において、近代化を自ら内発的に進める力を持つ。合理・科学的であり、独創性を重視することがその根底にある、といえる。自発的に近代化を達成することができる。
 

〔17.能動指向-受動指向〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
C4 動作がすばやい 70.000 16.000 14.000 動作がゆっくりである 6.110 0.01
C1 物事の決定のテンポが速い 75.000 10.000 15.000 テンポがゆっくりである 6.325 0.01
C7 動作が能動的である 53.000 20.000 27.000 動作が受動的である 2.907 0.01
C19 行動が積極的である 58.000 19.000 23.000 行動が消極的である 3.889 0.01
C14 自己主張が強いのを好む 61.000 12.000 27.000 自己主張が強いのを好まない 3.624 0.01
C28 自分から進んで運命を切り開く 69.000 14.000 17.000 外から与えられた運命に押し流される 5.607 0.01
D1 外圧が無くても自分から進んで動く 59.000 7.000 34.000 外圧が無いと自分からは動こうとしない 2.592 0.01
D16 被害者意識が弱い 59.000 16.000 25.000 被害者意識が強い 3.710 0.01
E1 物事の進め方が自発性に富んでいる 51.000 16.000 33.000 物事の進め方が自発性に欠ける 1.964 0.05
17-W.受動指向がなぜウェットか? 

自分から進んで自発的に動き回ろうとする、活動性(運動エネルギー)が相対的に小さいため、より運動エネルギー(速さなど)が小さい液体分子(人間にウェットな感覚をもたらす)の動きに相当するため、と考えられる。分子間力に相当する、対人間の相互間引力を振り切ることができないため、自分からは動きを決められず、周囲の他者の動きに絶えず受動的に影響されることになり、自分がこういう境遇に陥ったのは周囲の他者のせいだとする被害者意識が強くなる。液体分子同様、物理的・心理的な運動エネルギーが少なくて、自分から進んで動き回ろうとする傾向に欠けているため、周囲から外圧を受けて、初めて重い腰を上げて、動こうとする。
 

17-D.能動指向がなぜドライか? 

能動的だと、人間にドライな感覚を与える気体分子の性質同様、活動性(運動エネルギー)が十分大きいため、分子間力に相当する、対人間の相互間引力を振り切って自由に飛び回ることが可能なため、ドライな感覚を与える、と考えられる。ある人間の動作がすばやかったり、能動的・積極的であることは、その人の活動性ないし運動エネルギー(現実の物理的空間を動き回るものに限らず、心理的空間内を動き回るためのもの、も指す)の大きさを示している。自分から進んで動こうとする(自発性がある、自分から進んで運命を切り開く)のも、(そうでない場合に比べて)活動性(運動エネルギー)がより大きいことを示す。活動性の高い者は、他者にぶつかるときのパワーが大きいので、他者からは、(ぶつかったときの)自己主張が強いと見なされる。

 

〔18.その他(一般論)〕
 
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-回答=
ドライ-
どちらで
もない
-回答=
ドライ-
項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
(アメリカ的-日本的)
C32 アメリカ的である 58.000 21.000 21.000 考え方が日本的である 4.163 0.01
(男性的-女性的)
C12 男性的である 53.000 26.000 21.000 考え方が女性的である 3.720 0.01
C18 考え方が父性的である 50.000 33.000 17.000 母性的である 4.032 0.01
E10 父親との絆が強い 39.000 38.000 23.000 母親との絆が強い 2.032 0.05
C33 天空を指向する 57.000 21.000 22.000 考え方が大地を指向する 3.938 0.01
(都会的-農村的)
A13 都市(都会)的な人間関係を好む 73.000 15.000 12.000 農村(ムラ)的な人間関係を好む 6.616 0.01
(冷たさ-温かさ)
E25 人当たりが冷たい 53.000 22.000 25.000 人当たりが暖かい 3.170 0.01
E40 人当たりに粘り気のない 70.000 19.000 11.000 人当たりに粘り気のある 6.556 0.01
(涙が出にくい-涙が出やすい)
E31 悲しみにくい 55.000 12.000 33.000 悲しみやすい 2.345 0.01
E39 感傷的でない 56.000 13.000 31.000 感傷的である 2.680 0.01
(義理人情が厚い-義理人情が薄い)
D3 人情が薄い 60.000 19.000 21.000 人情が厚い 4.333 0.01
D38 義理堅くない 56.000 13.000 31.000 義理堅い 2.680 0.01
18-W.その他の指向がなぜウェットか? 

(1)農村(ムラ)的人間関係がなぜウェットか?

農村の居住形態は、物理的には都市よりも世帯同士は互いに分散しているが、互いにプライバシーに疎く、心理的には密集しているのと変わりない。住民の職業が、自給自足的農業という点で共通しており、互いに同質である(都市でも、職業を同一とする集団(官庁、企業)内部はムラ社会化する)。農村では、近所に住んでいる人の変動がない。同一の組み合わせの人付き合いが何世代にもわたり続き、住民間に縁故関係が蓄積する(血縁・地縁の重層化が起きる)。また、何世代にもわたって一カ所に定住し続けるため、定着性がきわめて高い。以上の特徴は、すべてウェットな感覚を与える方に偏っている。

(2)人当たりの温かさがなぜウェットか?

対人関係において、相手と心理的距離空間内の位置を共有している(互いに近接している)とき、すなわち、自分の意見を、相手から肯定・共感された(同意見だと言われるなど)ときに、相手に対して、温かさを感じることになる。これは、近接・過密指向、同調主義といった、ウェットさを示す指向と関係がある、といえる。あるいは、相手が自分に対して、関係作り的な態度(親和欲求を表出する)を取ったり、和合・調和的な態度を取ったとき、温かさを感じる、と考えられる。これらも、人間指向、和合指向といったウェットさを示す指向に関連する。

(3)ウェットさと涙の出やすさとの関連

これまでの説明では、対人関係におけるウェットさを、分子間力モデルで説明してきたが、それとは別に、その対人関係が、涙腺が刺激されて涙が出やすいからウェットと感じられる、とする見方(「涙腺刺激モデル」)も成り立つかもしれない。調査でウェットとされた、悲しみやすさとか、感傷的である、といった項目は、分子間力モデルでは、説明しにくい(涙腺刺激の視点からは説明しやすい)からである。上記において、分子間力モデルで説明できると考えられる他のアンケート質問項目(集団主義、反プライバシー指向...などに関するもの)についても、「どちらの対人関係が涙がより出やすいですか?」という聞き方で再度質問してみると、涙腺との関連が浮かび上がる可能性は高い(これについては、今後調査予定である)。これらがより涙が出やすい対人関係だと判明した場合、なぜ、涙が出やすいのかを、生理学的に解明する必要が生じる。

18-D.その他の指向がなぜドライか? 

(1)都市(都会)的人間関係がなぜウェットか?

都市住民は、互いに異質で多様な職業についている。従って、心理的距離空間における分布が互いに分散しているといえる。物理的には一見過密だが、オフィスや住居毎の丈夫で分厚い壁・持ち主当人にしか開かない鍵の存在が、互いを大きく隔てる効果を持っており、実質的には分散しているといえる。都市住民は、互いに深入りしない皮相的・匿名的な人間関係を形成するが、それはプライバシーを守るためであり、縁故が薄いといえる。都市においては、住む人がどんどん入れ替わる。住民の定着性が低い、縁故の蓄積がなされない、といえる。以上の特徴は、すべてドライな感覚を与える方に偏っている。

(2)人当たりの冷たさがなぜドライか?

対人関係において、相手と心理的距離空間内の位置が離れているとき、自分の意見を、相手から、否定されたり、相違点を強調されたりするときに、相手に対して、冷たさを感じることになる。これは、広域分散指向、反同調主義といった、ドライさを示す指向と関係がある、といえる。あるいは、相手が自分に対して、課題指向的な態度(ビジネスライク)を取ったり、対決的な態度を取ったとき、冷たさを感じる、と考えられる。これらも、非人間指向、訴訟指向といったドライさを示す指向に関連する。 

  (C)大塚いわお 1998-9