心理的空間(仮称)


人間の関心・興味の領域を、n次元空間の広がりにおいて捉えたものを、これより以降、仮に心理的空間と呼ぶとする。

心理的空間内における、複数の人間の分布位置について考える。人間が心理的空間内においてどこにいるかを知るということは、その人が何に興味を持っているか、どのような思想に賛成しているかを知るのと同じである。例えば、AさんとBさんとが同じ鉄道という趣味を共有しているとき、2人の心理的空間内における分布位置は、鉄道という概念の近くに存在し、ほとんど同じである(近接している)。Cさんが、鉄道に近いバスという趣味を持っているとき、Cさんの心理的空間内における分布位置は、AさんBさんのそれより少しずれている(離れている)が大分近い。Dさんがクラシック音楽という、鉄道・バスとは全く異なる趣味のみを持っているとき、Dさんの分布位置は、A,B,Cさんのそれとは大きく離れている。

あるいは、aさんとbさんとが、共に天皇制を支持しているとき、aさんとbさんとの心理的空間内における分布位置は互いに近い。分子間力が働いている場合は、もともと位置が近接しているaさんbさんは互いに親近感をもって引き付け合い一体化・集団化する。cさんとdさんが共に天皇制に反対しているとき、cさんとdさん同士の分布位置は近いが、賛成しているaさんbさんとはかけ離れた位置にいる(遠い)。ここでcさんが天皇制反対をやめ賛成に近づいたとすると、cさんは心理的空間内を移動して(天皇制賛成の)aさんbさんのいるところに近づくことになる。分子間力が働いている場合、cさんはdさんとの間に働いている互いに引きつけ合う力(分子間力)を予め振り切ってaさんbさんのもとに向かう必要がある。

物理的空間においても、人間同士が群れを作って歩くなど団体行動を好む(農協の団体旅行など)場合、あたかも人と人同士を物理的に引きつけ合う力が働いているように見える(実際は物理的身体の動きを、互いに近づくように心理的に制御していると考えられるが)。

人間同士、物理的に互いに近くても、心理的空間内では互いに離れている、ということが起こる。例えば、天皇制支持者と反対者とが、同じマンションに同時に住んでいるような場合である。

分子間力のような力は、心理的空間内の人間同士の間にも働くといえる。例えば、戦前の日本のように、天皇制支持者が圧倒的に多く、その中を反対者がポツンポツンと点在し、かつ天皇制支持者が反対者に対して支持を強制する(各人の心理的空間内の位置を、天皇制支持で満場一致化しようとする)ような場合、反対者は、周囲を取り囲む一致団結した(天皇制支持の方向へ連れていこうとする)天皇制支持者同士の働かせる分子間力の強さに、(自分はその反対方向にとどまろうとして)じたばたもがきながら、最後には無理やり天皇制支持を示す心理的空間内の位置へと連れて来られて(転向して)そこからはみ出さないように絶えず牽制・監視されることになる。天皇制への抵抗を激しくすると、それだけ周囲の(天皇制支持者の)分子間力による牽制・引っ張り力(天皇制反対の位置から当の分子を切り離そうとする力)を強く受けて大きなダメージをこうむる(獄中死など)ことになる。


お願い)上で説明した、心理的空間と仮に名づけた概念について、本来呼ばれている正式な名称をご存知の方は、どうかメールで大塚いわおまで、お知らせください。