男性的,女性的なパーソナリティの認知と気体,液体の運動パターンとの関係

About Relationship between Masculine, Feminine Personality Recognition and Gas, Liquid Motion Pattern

2008.04 大塚いわお
Iwao Otsuka


Summary 81 words
To clarify relationship between masculine, feminine personality recognition and, motion pattern of gas, liquid that gives dry, wet sensation to people, WWW based question survey was held. 201 subjects observed online computer simulation movies of gas and liquid molecules motion pattern, and answered how much each particle's motion on each movie was felt masculine or feminine, as human behavior. As the result, subjects felt the motion of gas molecules masculine, and the motion of liquid molecules feminine as human behavior.

要約
人間のパーソナリティ認知の男性的,女性的と,物質の気体,液体の人間に与える感覚のドライ,ウエットさの間の関連を明らかにするため,webでの調査を行った。気体・液体分子運動パターンをコンピュータシミュレートした2つのムービーを研究参加者201名に対して見せて,各ムービーで,粒子の動きが個人の対人行動としてどの程度男性的,女性的に感じられるかを評価してもらった。その結果,気体分子運動パターンは人々の動きとして男性的,液体分子運動パターンは女性的と感じられることが分かった。



Key words: personality, masculine, feminine, gas, liquid


課題


実際に研究参加者に気体,液体の分子運動シミュレーションムービーを見せて,各分子の動きを人の動きと見立てた場合それぞれどの程度男性的,女性的と感じるか調べることにした。


方法

[データ収集方法] インターネットのwebサイトで回答を収集した。回答のカウントに当たっては,同じ研究参加者が複数回回答する可能性に対応するため,回答時に同一のIPアドレスの持ち主は同一の回答者であると見なし,同一のIPアドレスの複数回答は最新の1個の回答のみを有効と見なすとともに,cookieを利用して複数回の回答を受付けないように設定した。

[研究対象者] 回答を得た研究参加者の総数は201名(男性105名,女性96名)であった。性別情報は,回答時に性別選択欄をwebページにラジオボタンで設け,選択入力してもらうことで得た。
[調査時期] 調査時期は,2007年8月21日から8月31日の11日間であった。

[刺激映像] 刺激は,Ar(アルゴン)の分子運動パターンをシミュレートするJavaプログラムを,池内(2002)のwebサイトより入手し,液体と気体それぞれの分子運動を最も明確に示すように,絶対温度20度(液体)と300度(気体)のそれぞれの分子運動を表すように調整した。プログラムが表示した気体,液体各分子運動のムービーを,パソコン上でキャプチャし,各々30秒間のwindows media video形式のムービーに加工して,webサイト上で研究参加者のパソコンから再生可能とした。各ムービーの静止画は,Figure 1の通りである。

[質問項目] 上記各ムービーについて「これは,人々の動きを早送りで再生したものです。一つ一つの粒々が一人一人の人間を表しています。このムービーにおける人々の性格がどの程度男性的,女性的に感じられるか5段階評価して下さい。」として,男性的,女性的それぞれ別々に回答させた。段階は,「感じない(0)」から「とても感じる(4)」の5段階とした。

[手続き] 各ムービーは,一度に1個ずつ,順番をランダムにして呈示し,ムービー毎に回答させるようにした。回答はムービーが実際に動いているのを見ながらでないとしにくいため,各ムービーは回答中エンドレスで流れるようにした。なお,実験操作のデブリーフィングとして,回答が完了した時点で,「実はこれは,気体,液体分子運動のシミュレーションムービーでした。」という断り書きを画面上に呈示した。

結果

気体,液体分子運動パターンが,人の性格としてそれぞれ男性的および女性的と感じられた度合いの評定値の平均値と標準偏差はTable 1に示した通りである。

見せたムービーの種類別に男性的,女性的に感じた度合いの違いを見るため,対応ありの平均値の差のt検定(両側)を行った(n=201)。結果はTable 2の通りである。

液体の分子運動を見たとき,男性的,女性的と感じる度合いについては,女性的と感じる度合いの数値が,男性的と感じる度合いよりも,有意に高かった(t(200)=5.42,p<.01)。

気体の分子運動を見たとき,男性的,女性的と感じる度合いについては,男性的と感じる度合いの数値が,女性的と感じる度合いよりも,有意に高かった(t(200)=6.84,p<.01)。

気体と液体とではどちらをより男性的と感じるかについては,気体分子運動パターンを男性的に感じる度合いが,液体分子運動パターンを男性的に感じる度合いよりも有意に高かった(t(200)=7.47,p<.01)。

気体と液体とではどちらをより女性的と感じるかについては,液体分子運動パターンを女性的に感じる度合いが,気体分子運動パターンを女性的に感じる度合いよりも有意に高かった(t(200)=6.29,p<.01)。


考察

以上の結果により,気体分子運動のシミュレーションを人に見立てて観察させると男性的な性格と認知され,一方,液体分子運動は女性的な性格と認知されることがわかった。気体分子運動パターンと同様に振る舞う人のパーソナリティは男性的に,液体分子運動パターンと同様に振る舞う人では女性的に感じられると考えられる。




図表

Figure.1 気体,液体分子運動パターン
分子運動シミュレーションムービー(研究参加者に見せたもの)


液体分子運動



気体分子運動





Table.1 気体,液体分子運動ムービーへのアメリカ的・日本的評価値の平均値と標準偏差(かっこ内)

刺激種類 男性的 女性的
液体分子運動 0.67
(1.10)
1.35
(1.37)
気体分子運動 1.49
(1.41)
0.65
(1.13)

n=201



Table.2 条件間の平均値の差の比較結果(対応あり)


比較対象 t検定
液体女性的-液体男性的 t(200)=5.42**
気体男性的-気体女性的 t(200)=6.84**
気体男性的-液体男性的 t(200)=7.47**
液体女性的-気体女性的 t(200)=6.29**

** p < .01



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