社会構造と機能


人間は、環境適応状態(環境適応水準が一定以上を保った状態)がずっと続いて、生活の安定がもたらされることを望む(例えば、自分の現在ついている職が引き続いて安定することを望むなど)。

各自が流通させる機能の有効性(有効水準)および機能間連関(相互交換関係など)の安定を指向することが、社会構造の生成につながる。

以上のような観点から、社会構造は、個人中心のドライな機能主義の観点からは、人と人との間の機能生成・交換・消費関係のうちの変化しにくい安定化した部分を指す、と捉えることができる。


●社会構造の変動

社会構造は、現在環境適応的(正機能的)でも、将来にわたって正機能的に働き続ける保証はない。新たな環境への適応のため、連関を再編成する必要があることが、構造変動につながる。現在環境適応的と考えられている機能が永久に環境適応的である保証はない。

例えば、ガソリン自動車の機能と石油枯渇との関係を考えればよい。現在、ガソリン自動車は地理的移動のための主要な手段として有効に用いられているが、石油が枯渇してしまえば、使用することができなくなり、ただの無効なスクラップと化してしまう。そのことが、更なる環境適応を保証する新機能発明・発見の必要性(例えば、原子力で動く自動車の開発)のもととなる。

こうした、よりよい環境適応をもたらす機能の発見に向けてのブレークスルーが、結果的には、既存の環境適応に関する価値観のみで固められた、既存の社会構造を壊し、新たな構造の生成に結びつく(例えば、石油消費社会の構造がこわれて、原子力社会が新たに生成するなど)ことになる。


●機能の最適化と社会構造の上下分化

各人が生成・交換・消費しあう機能は環境適応にとって最適化される必要がある。そのためには、生成・交換・消費の当事者以外に、上部からそれら生成・交換・消費の状況を監視し、制御するという機能を持つ者が新たに必要となってくる。

人々は、機能生成・交換・消費の当事者と、機能流通状態の監視・制御者の2通りに次第に分化し、それ自体安定した構造(上部制御構造 vs 下部流通構造)を作る。

社会構造の上下分化
 

各種の機能流通をうまく行く(最適化される)ようにすること自体が一つの重要な機能として成り立つ。

上部制御構造は、下部流通構造の、環境適応水準がもっと上がるように、機能流通の最適化調整を行う。下部流通構造は、調整に対する結果をフィードバックして、よりよい調整が行われるように協力を行う。

社会のあり方は、上部制御構造が強い場合は、管理(社会)主義的、下部流通構造が強い場合は、自由主義的となると考えられる。

既存の上部制御構造が、機能流通の最適化に失敗した(失政状態になった)ときは、下部流通構造はその上部制御構造への委託を中止して、改めて新しい人員を再委託して送ることになる。

機能生成・交換の最適化は、下部流通構造自体でもある程度可能であるが、上部制御構造が社会全体をその最適化のターゲットとするのに対して、下部流通構造は、自分たちに関係のある局所的な最適化にとどまることが多いと考えられる。ただし、最適化が局所的にとどまる場合でも、最適化の範囲が互いに一部分ずつ重なりあいながら次々と連鎖することにより、最終的には、上部制御構造を持ち出さなくても社会全体が最適化されることも不可能ではない、とも考えられる。

上部制御構造と下部流通構造との地位関係は、

(1)上部制御構造の方が高く、下部流通構造の方が低い(下部は上部の支配を受ける)。例えば、日本において、政府が「お上」(自分たちより上の立場にいる人たち)と呼ばれるのも、このことと関係があるといえる。

同じ上部制御構造内部での地位分化は、以下のようになる。

(2A)機能統括する質・量が多いと高く、少ないと低い。言い換えれば、権限や予算の多いところほど高く、そうでないところは低くなる。

(2B)機能が抽象的なほど、中枢近くにいることになり、高く、具体的なほど、現場近くにいることになり、低くなる。例えば、日本政府で、業務内容がより大まかで抽象的な本省の局長は、業務内容がより具体的で細かな地方出先機関の課長よりも、より中枢にいることになり、地位が高い。


(c)1998-2005 大塚いわお


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