■心理と機能
〔機能と心理的欲求〕
機能(正機能/逆機能)と、欲求(快/不快感情)との間には正の相関があるように思われる。
遺伝的プログラムにより正機能は快感となる。言い換えるならば、生き残るのに必要なもの、環境適応的なものは、快感を与えるように遺伝的に決まっている、と言える。例えば、セックスは、自らの複製を作り、後世まで自分自身を生き残らせるために必須なので、より強い快感が得られるように、遺伝的にそうなっていると考えられる。
逆に、環境適応的でないもの、逆機能は不快な感覚を呼び起こすように遺伝的に決まっていると考えられる(痛覚による危険回避はその一例である)。
ただし、環境非適応的(有害・逆機能的)であるにも関わらず、快感を与えてしまうものもある(麻薬など)。これらにはまることは、遺伝的機構の誤った利用の仕方であると考えられる。これとは逆に、環境適応的(有用・正機能的)であるにも関わらず、苦痛を与えるものもある(健康回復に役立つはずの医薬品の、口に入れたとき感じる苦さ)。これらは、本来の遺伝的プログラムが想定していなかった事態が起きていることを示す。
[機能交換と流行]
機能交換において、互いに同質である(同質な部分を持ち合う)ことの利点は、何であるか?
周囲の流行・はやりものに合わせることがなぜ環境適応的か? 互いに同質化することで、
(1)自分と同じである、互いの行為の予測能力が高まることで、安心感・連帯感を強める、
(2)互いに相手を理解し、互いに他者の持つ(環境適応に有効な)機能を利用しやすくする=機能交換しやすくする
自分と他者との間の共通性は、同質・同類意識の源として働く。
[向社会的行動と機能]
向社会的行動とは、他者の集まりである社会の役に立つことをさす。他者の環境適応に役立つ機能を、リーズナブルな対価~無償で生成し、他者に差し出すことである。
ごみ拾い、資源回収などである。
既に困っている人を助ける援助行動だけに限定されない。機能不全によって困る人を出さない高品質なものづくり・故障して迷惑をかけないことなども含まれる。
他者に対する思いやりや、他者の福利厚生の向上をはかる気持ちが、根底にある。
愛他的・利他的行動の源泉は何か? 思いやりを科学するといった、従来の社会心理学とは別の、機能の側面から見る。
(1)人間は、機能充足の面で、一人だけでは生きられない、互いに助け合う必要がある。そこで、機能を融通し合おうとする。
(2)自分と同じものを持つ者を助けることで、自己拡大をはかる。
(3)他者の機能生成の手助けをして、自分も、その生成された機能を手に入れようと考える。
(c)1998-2005 大塚いわお