■教育と機能(教育分野への応用)


変転する環境の中で生き抜いて行くのに必要な機能の生成・交換能力を持たない者にその能力を付与するのが教育である。

生き延びていく上で役立つノウハウ、技術を教えるのが、教育の原点、基本である。

機能生成・交換能力の世代間伝達は、持つものから持たざるものへと教育によって行われる。
こうした世代間リレーは、遺伝・文化に基づく機能を代々伝えるものであり、そこには、遺伝子・文化リレー選手としての生物・人間の姿が見て取れる。

ライフサイクルと機能との関係は、
(1)子供~青年時代 機能蓄積期 機能をためる時期 機能が(独り立ちするには)不足の状態 学校などでの学習で機能を身につける(学校は、機能を持たない者に対して、機能(遂行能力)のインプットが行われる場、として捉えられる)
(2)壮年~老年時代 機能伝達期 自分の持つ機能を後世(次世代)に伝える
となる。

他者に自分の持つ環境適応的な行動様式(機能)を広める(教える)ことの利点は、
(1)他者に自分の機能を使ってもらうことで、それに対する対価(貨幣、恩義のような心理的貸し)を手に入れる機会が増える。自分の生成する機能を売り込んで、貨幣など生活の糧となる機能を得ようとする、「営業」行為に当たる。
(2)自分の持つ機能を広められる。自分の複製を他者に移すことができる。自己の「ミーム」の広がりに役立つ(Dawkinsの利己的遺伝子論)。自分オリジナルの考えが広まることは、自分自身のアイデンティティのもとになる行動様式・文化が、他人の頭の中で生き残ることになる。これは、自分自身の生存につながる。自己・個人のエゴイスティックな側面である。
(3)以前他者から教えてもらった有効な機能を他の人にも広めたいと考える(以前に誰かに助けてもらったときのことを思い出し、同じことを他の人にもしてあげたいと思って)。そうすることで、周囲の人々の適応水準が高まる(個々人の適応水準の変動は、社会変動につながる)。これは、人助け・他者援助につながり、egoisticの反対である。人の役に立つことで、心理的に対価を得て、快感を得る。
(4)機能を持たない他者より優位に立っていることを示せる。 これは、教育と、権力との関連を示唆するものである。  教えないことで相手を困らせる(環境適応できなくする)ことができる。 生徒の生殺与奪の権限を握ることができ、優越感が快い。
 

[機能と青少年]

機能生成・交換能力をまだ十分に身につけていない者(例えば青少年)は、自分が今持っている機能(の質・量)と、本来一人前として独立して生きていくために必要とされるであろう機能との間にギャップを感じてイライラする。 これは、反抗期につながる。

青少年の不安や葛藤の原因を、機能主義の立場から、詳しく述べると、以下のようになる。
1)自分が今持っている機能(生成能力)と一人前として必要とされる機能(生成能力)との間の格差がどれくらいあるか分からなくて(未だに経験したことがないため)不安となる
2)自分が今持っている機能(生成能力)と一人前として必要とされる機能(生成能力)との間のギャップがある(まだまだ未熟者である..)と周囲の大人から指摘されて、「もう自分は一人前に近いのに」という考えからフラストレーション・葛藤をためる


(c)1998-2005 大塚いわお


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