機能の分類
1998-2005 大塚いわお


[要旨]

機能は、以下のように分類できる。
(1)正機能(人間の生存に役立つ)と逆機能(人間の生存を脅かす)
(2)物理的機能(物体・物質に組み込まれた人間の生存に役立つ)と生理(人間生体の活動維持に必要)・心理的(人間が心理的に活力ある、元気な状態になる必要)機能
(3)自然機能(石油、穀物など天然資源)と、人工機能(道具、製品などの加工品、ニュース配信などの情報)
など・・・・・(詳細は、本文を参照)


[正機能と逆機能]

従来社会学的機能主義(R.K.Merton)によって提唱されてきた正機能と逆機能との区別は、機能主義の立場からは、
(1)正機能は、人間の生存に役立つ方向への働き一般を指すと、捉えられる。これまで、「機能」という言葉で表してきたものは、断りのない限り、この「正機能」のことである。
(2)逆機能は、人間の生存を脅かす方向への働き一般を指すと、捉えられる。社会における逆機能部分は、あたかも生体において、病気にかかったのと同じように捉えることができる。

社会における、病理集団=逆機能集団のことであり、暴力団、窃盗団などがその例である。

社会における逆機能集団は、他者の生存(環境適応)をおびやかす。あるいは、他者の環境適応水準の低下を引き起こす。水準の維持を脅かす。

虫の群れを例に取ってみれば、害虫が逆機能集団に相当し、益虫が正機能集団に相当する。

人間の行為は、逆機能的であればあるほど、刑罰が重くなる傾向にある。
 

●社会における逆機能部分の除去(機能不全部分の回復)

人間の生体における、逆機能部分を除去し、機能不全をなくすのは、医師の役割である。その働きには、生理~心理レベルがある。

例えば、歯医者は、
(1)歯の痛みを取る-心理的
(2)虫歯などの歯の状態を直す 栄養分を取る能力の回復-生理的
といった働きを担う。

社会における、逆機能部分を除去し、機能不全をなくすのは、矯正・保護観察官の役割である。その働きは、社会病理レベルのものである。矯正・保護観察官の役割は、社会の逆機能部分を直す「社会の医者」として、位置づけることができる。

社会病理レベルというのは、実際には心理的・生理的なものである。通常の医師が、一人ずつ個別の心理・生理を問題にするのに対して、矯正・保護観察官=「社会の医者」は、複数人間の相互作用が絡んだときの心理・生理を対象にする。
 

●環境適応と逸脱

環境適応的・正機能的な逸脱(例えば、科学的新発明、科学者コミュニティ内の平均的な考えかたから外れた新たな考えを出す)と、そうでない(環境不適応的、逆機能的)逸脱(例えば、麻薬中毒など)とが考えられる。前者は、環境適応に役立つので、むしろ積極的に支援すべき逸脱であると考えられる。従来の様に、逸脱を、社会的に有害な逆機能のもの、とばかり見なしてはいけない。
 
 

[物理的機能と生理・心理的機能]
機能は、物理的なものと、心理的・生理的なものとに分けられる。

(1)物理的機能 物体(ミクロ~マクロ)に組み込まれた、物理的存在としての人間が生き延びていく上で必要な働き。治水のためのダム建設、他地域との交通(による機能交換の機会)を確保する道路や鉄道などが、この物理的機能を持つと考えられる。

(2)生理的機能 人間の生理面での、生き延びるために必要な欲求を満たす「働き」。 害虫や病原体を駆逐するための殺菌(虫)剤内の有効成分、栄養を取るために食事の材料となる野菜や魚などがもつ栄養成分、体内の不要分を取り去る人工透析の持つ機能が、この生理的機能を持つと考えられる。

(3)心理的機能 機能の消費により、気分をよくする(気分が落ちつくなど)、明日への活力を生み出す、生きようという気持ちを増幅させる、新たな環境適応への意欲・元気が沸いてくる、といった環境適応上の利点を享受することが可能となる。例えば、心の温かさ、安心感..がもたらすもの。
例えば、「温かい」(この場合の温かさは、物理的なものではなく、心理的なもの)言葉をかけられて、心理的に快い状態になる、心理的にサポートされるといったことが起こる。人間は、心理的にサポートされることにより、健康・福祉の増進が起こり、より生き延びやすくなる。人々を勇気づける歌詞を持つ歌、悩みを持つ人に対して心理的癒しを与えるカウンセリングも、心理的機能を持つと考えられる。

機能は、(1)~(3)の複数に対応していることがほとんどだと考えられる。例えば、 エアコンによる快適温度の提供がそうである。機能が埋め込まれているのは、エアコンという物体(電気製品)である。一方、エアコンが提供する快適温度は、人間の生理・心理面での要求をサポートする。すなわち、快適温度のほうが仕事がはかどり、社会に出回る、役立つ機能の質・量両面での増進につながる。
 
 

[自然的機能と人工的機能]

機能は、大別して、
(1)自然 天然資源(石油、穀物など)
(2)人工 加工品(道具、製品など) 情報(ニュース配信など)
に分けることができる。

〔本質(基盤)的機能と装飾(剰余)的機能〕
機能には、直接環境適応に関わるもの(本質的な機能、基本的な機能、生存を左右する、欠かせない)と、そうでないもの(装飾的な機能、拡張的な機能、あってもなくてもどちらでもよい)とがある。

機能余剰状態になる(機能の供給面で余裕が生まれる)と、生成・消費される機能は、より「装飾的」になる。機能消費側においては、生命維持に直接関係ないものへの支出が多くなる。機能供給側においても、機能が社会のすみずみまでいったん行き渡ると新たな機能消費が行われなくなり、機能が余ってしまい困ることになる。そこで、さらに少しだけ余分な機能(装飾)を付けて再流通をはかろうとすることになる。

機能主義と装飾主義(ロココなど)の対立は、建築などに見られる。

「装飾」は、環境適応にとって中立的である。環境適応に有用でも有害でもないので、有閑者のアイドリング(暇な状態)解消のために用いられる。
ただし、環境適応と一見無関係なもの(絵画など)でも(ストレス低減など)環境適応に関係ある(役立つ)ことがあるのを忘れてはならない。
 

剰余(アイドリング) ← 上部  ぜいたく 剰余価値
------
環境適応           ← 基盤 本質 機能価値

剰余は、環境適応条件を満たした余りであり、持っていることは、ぜいたくである。
ぜいたくが成立するのは、環境適応状態を満たすことが前提となる。
 

[長命機能と短命機能]

機能には、長持ちする機能と、短期間で不要になる(陳腐化する)機能とがある。
例えば、生鮮食品の機能は、冷蔵庫に入れないと、短期間で腐って、食べられなくなる(機能を果たさなくなる)ので、短命である。一方、鉄筋コンクリート建造物の機能は、数十年持つので、長命である。

工学分野では、機能の陳腐化が早い(例えば、パソコン)。次々と新しい改良された機能(CD-ROMドライブから、DVD-ROMドライブへなど)が登場するためである。旧式の機能(データ記憶容量の少ないCD-ROMドライブ)は、上から全面的に覆いかぶさるように塗り替えられる形で、新式の機能(データ記憶容量の多いDVD-ROMドライブ)に置換される。
 


(c)1998-2005 大塚いわお


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