既存社会心理学説との照合


ドライ/ウェットの軸の上に乗っていることが確かめられた社会的行動様式について、従来の社会心理学における学説との照合を行った。
 
項目 ドライ ウェット 研究者名 まとめ次元
親和欲求(need for affiliation) 低い 高い Murray,H.A 1938、Schacter.S 1959 広域分散-密集指向、非人間-人間指向
leadership 三隅 1978、Fiedler,F.E 1973 個人-集団主義、非人間-人間指向
self monitoring 低い 高い Snyder,M. 1974 非人間-人間指向、反同調-同調指向
自己意識特性 私的 公的 Fenigstein,A. etal 1975 反同調-同調指向、プライバシー-反プライバシー
客体的自覚 なし あり Wicklund,R.A、Duval,S 1972 プライバシー-反プライバシー
自己開示 小さい 大きい Jourard,S.M 1971 etc 非人間-人間指向、プライバシー-反プライバシー
心理的reactance 高い 低い Brehm,J.W 1966 自由-規制主義
分配 公正 平等 自由-規制主義、反同調-同調指向
ゲゼル/ゲマインシャフト ゲゼルシャフト ゲマインシャフト Toennies,F 1887 個人主義-集団主義、非人間-人間指向
普及における追随 前期 後期 Rogers,E,M 1962 独創-前例指向

 

〔照合結果〕



〔概念〕親和欲求
〔説明〕
人の、他者と一緒にいたがる欲求
自分に似ていたり、好意を持ってくれる人、味方になる人に接近し、喜んで協力したり、好意の交換を行おうとすること

〔dry-wet関連〕
→密集指向(wet)
互いに一緒にいるのを好む E32

→人間指向(wet)
人つきあいのあり方が親密である C10

〔文献〕
Murray,H.A. 1938 Exploration in personality :A clinical and experimental study of fifty men of college age.
Schacter,S. 1959 The Psychology of affiliation. Stanford University Press.
 


〔概念〕リーダーシップ
〔説明〕
〔三隅 1978〕
P  目標達成機能 集団目標を達成するための計画を立案したり、成員に指示・命令を与えたりするリーダーの行動ないし機能
M  集団維持機能 集団自体のまとまりを維持・強化しようとするもので、成員の立場を理解し、集団内に友好的な雰囲気を作り出したりする行動もしくは機能

〔Fiedler 1973〕
Least Prefered Coworker得点が高い(関係指向型)  部下との間に親密な人間関係を確立することに満足感を覚えるリーダーのタイプ 許容的
LPC得点が低い 課題指向型(仕事指向型)  部下との間の人間関係を悪化させるような危険を冒してでも任務を達成すればそれでよいとするリーダーのタイプ 非許容的

〔dry-wet関連〕関係指向型・M(集団維持)機能
→集団主義(wet)
 集団・団体で行動するのを好む A1
 互いに集まろうとする B12

→人間指向(wet)
互いに親密な関係になるのを好む E9
周囲の他者に気に入られようとするE18
人間関係そのものを重視する E27

〔文献〕
三隅三不二 1978 リーダーシップの科学 有斐閣
Fiedler,F.E. 1973 The trouble with leadership training is that it doesn't train leaders-by. Psychology Today Feb(山本憲久訳 1978 リーダーシップを解明する 岡堂哲雄編 現代のエスプリ131:グループ・ダイナミクス 至文堂).
 



〔概念〕セルフ・モニタリング
〔説明〕
社会的状況や他者の行動に基づいて自己の表出行動や自己呈示が社会的に適切かどうかを観察し、自己の行動を統制(モニター)すること

高い 自己の社会的行動が、社会的状況や対人関係の中で適切かどうかについての関心が高い 外的要因に基づいて行動しがち 人を喜ばせたり、人に気に入ってもらおうとして、自分の意見や振る舞いを変える

低い 周囲の状況への自己の行動の適切さに関心が薄く、個人の内的要因に基づいて行動が統制される 自分の気持ちや考え・信じていることをそのまま表す

〔dry-wet関連〕高いHigh
→人間指向(wet)
他者に気に入られようとする E18
周囲の他者によい印象を与えようと気にする E22

→同調主義(wet)
周囲に自分を合わせようとする B9

〔文献〕
Snyder,M 1974 The self-monitoring of expressive behavior. Journal of Personality and Social Psychology, 30, 526-537.
 


〔概念〕自己意識特性
〔説明〕
自己に注意を向けやすい自己意識の特性

私的 感情や思考や動機など他人が観察できない自己の私的側面へ注意が向かいやすい特性
個人的アイデンティティを重視し、自分の感情や態度や権利に忠実である

公的 自分の容姿や振る舞い方など他人から観察できる自己の公的側面へ注意が向かいやすい特性
社会的アイデンティティを重視して、他人の行動によって感情や自己評価が左右されやすく、意見の衝突を避けるなど、協調的で円滑な交際を行う傾向がある 集団内の他の成員からの評価や、拒否的反応に敏感で、他人の目を意識して自分自身の行動の仕方に気を配る

〔dry-wet関連〕
公的
→他律指向(wet)
  周囲の他人の目が気になる A10
  周囲の他者の影響を受けやすい E26

→同調指向(wet)
  周囲の他者に自分の行動を合わせる B9

→反プライバシー(wet)
  公式の場での行動を好む E3

〔文献〕
Fenigstein,A.,Scheier,M.F.,& Buss,A.H. 1975 Public and private self-consciousness:Assessment and theory. Journal of Consulting and Clinical Psychology,43,522-527.
押見輝男 1992 自分を見つめる自分 -自己フォーカスの社会心理学 サイエンス社
 


〔概念〕客体的自覚

〔説明〕
注意や意識が自分自身に向けられ、対象として注目している状態
魅力的な異性に見つめられたり、ビデオカメラを向けられ撮影されたりすると、自己という存在を意識する

注意や意識が自分自身に向くには、他者の目・まなざしを意識し、気にするところから始まる

〔dry-wet関連〕
→他律指向(wet)
行動を起こすとき、周囲の他者の目を気にする A10

→反プライバシー(wet)
他人が自分をどう見るかを気にする D11
互いに視線を合わせるのを好む D13

〔文献〕
Wicklund,R.A.,& Duval,S. 1971 Opinion change and performance facilitation as a result of objective self-awareness. Journal of Experimental Social Psychology, 7,319-342.
 


〔概念〕自己開示
〔説明〕
自分自身をあらわにする行為であり、他人たちが知覚しうるように自身を示す行為
それまで相手に対して表現することのなかった、現在の自分の感情、考え、価値観、..などについて、相手に隠すことなく、ありのままに、自発的に伝えること

〔dry-wet関連〕

→人間指向、反プライバシー(wet)
自己の内面を他者に開示したがる E19
〔文献〕
Jourard,S.M. 1971 The transparent self, rev. ed. Van Nostrand Reinhold(岡堂哲雄訳 1974 透明なる自己 誠信書房).
 


〔概念〕心理的リアクタンス
〔説明〕
人が自由を制限されたと感じたとき、その自由を回復しようと動機づけられた状態

〔dry-wet関連〕
→自由主義(dry)
 人間関係のしがらみがなく、自由に身動きできる A5
 互いに自由に行動することを許す B4
〔文献〕
Brehm,J.W., 1966 A Theory of psychological reactance. Academic Press.
 
 


〔概念〕ゲマインシャフト(wet)/ゲゼルシャフト(dry)
〔説明〕

ゲゼルシャフト

個人が互いに自己の目的を達成するために、選択意志に基づいて形成した社会関係であり、人工的・機械的である。そこに成立するのは人格のごく一部のみをもってする結合であり、そこでは人々は利害の打算に従って行動し、返礼や反対給付がなければ、他人のために何かするようなことはしない。この状態では、人々は表面上は互いにいかに親密に振る舞おうとしても、なお不断の緊張状態に置かれ、あらゆる結合にもかかわらず本質的に分離している。

ゲマインシャフト

人間の本質そのものを示す本質意志によって結合した統一体であり、それ自身が有機的な生命を持つと考えられ、そこでは人々は、全人格をもって感情的に互いに融合し、親密な相互の愛情と了解のもとに運命を共にする。そこでは、交換や売買、契約、規則といった概念が入り込む余地は少ない。

〔dry-wet関連〕
→個人主義(dry)-集団主義(wet)
d他者からの分離・独立を好む-w他者との一体化・融合を好む A14
d何か目的がないと互いに集まらない-w互いに集まること自体を好む B20

→非人間(非関係)指向(dry)-人間(関係)指向(wet)
d人付き合いのあり方がよそよそしい-w人付き合いのあり方が親密である C10
d人間関係を何かの手段としてしか見ない-w人間関係そのものを重視する E27

〔文献〕
Toennies,F., 1887 Gemeinshaft und Gesellshaft, Leipzig,(杉之原寿一訳「ゲマインシャフトとゲゼルシャフト」1957 岩波書店)
 
 


〔概念〕分配の公正/平等

〔dry-wet関連〕
→自由主義(dry)-規制主義(wet)
      d給料を能力に応じて配分するのを好む(能力主義) D14
      w給料を能力にかかわらず平等に配分するのを好む

      d互いに自由競争を好む-w好まない D2

→同調指向(dry)-反同調指向(wet)

w周囲の皆と違ったことをしようとする-d同じことをしようとする(周囲に同調したがる)C8



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