〔男性・女性、どちらの性格がよりウェットドライ)か?〕
 

(c)1999-2005 大塚いわお


以下では、男女の間の対人行動面における性差を、ウェットドライの次元から説明する。

[目次]

1.従来の男女の行動面での性差に関する学説との照合
照合結果:まとめの表

2.「女々しさ」とウェットさの関連アンケート調査について
アンケート調査結果:まとめの表(女々しさ)

3.心理テスト回答結果における男女の性差の有無について
心理テスト回答結果:まとめの表(性差)


1.従来の男女の行動面での性差に関する学説との照合

対人感覚の「ウェットさ」に関しては、従来から、「女性的」なものと、関連があるとされてきた。例えば、〔芳賀綏1979〕においては、日本人の特徴として、「おだやかで、きめ細かく、『ウェット』で、『女性的』で、内気な」(強調筆者)といったものをあげており、上記の表現では、ウェットさ女性性との間に関係があるように示されている。しかし、芳賀は、ウェットさ女性性との間の相関について、実証データをもとに割り出したという訳ではなく、あくまでも漠然とした印象の形でしか、捉えていない。

そこで、「女性的」=「ウェット」(「男性的」=「ドライ」)という図式が実際に成り立つかどうかを確かめるために、当調査において抽出した対人関係パターンを、男女の行動面での性差に関する、主要な学説と照合し、表にまとめた(学説抽出に当たっては、〔間宮1979〕〔Mitchell 1981〕〔皆本1986〕などを主に参考にした)。

性差と、対人感覚のドライ・ウェットさとの関連:まとめの表へのリンクです。

その結果、以上の表が示すように、従来の学説で取り上げられてきた対人関係と性差との関連は、ほとんど、

(1)女性的=「ウェット(互いに引き付け合い、牽制・束縛しあう力である、相互間引力大きい)」
(2)男性的=「ドライ(分子間力相当の相互間引力小さい)」

を示していることが、判明した。言い換えれば、

(1)女性の行動様式は、(分子間力大きい液体分子運動パターンに似ている
(2)男性の行動様式は、(分子間力小さい気体分子運動パターンに似ている

ということになる。
 

確認のため、どちらがドライないしウェットか、1999.5~7の、性格・態度のドライウェットさを尋ねるアンケート調査の中で回答してもらったところ、以下のように、「男性的ドライ」を選んだ人の割合が、「女性的ドライ」を選んだ人の割合より、有意に多かった。
 
番号 項目内容
(仮説=ドライ)
-ドライ- どちらで
もない
-ドライ- 項目内容
(仮説=ウェット)
-Z得点- 有意
C12 男性的である 46.154 24.434 29.412 考え方が女性的である 2.863 0.01

こうした両者のウェット/ドライの違いが出る原因としては、女性と男性との、生物学的貴重性の違いが関係していると推定される。

男女の生物学的貴重性の違い(クリーム-パン図式)についての説明へのリンクです。

生物学的により貴重な女性は、自分自身の保身のために、よりウェットな行動を取ると考えられる。
ウェットな行動を取ることが、なぜ生物学的に貴重な存在の、自己保身のために有効か、についての詳細な理由については、以下のリンクを参照されたい。

行動のウェットさと生物学的貴重性との関連についての表へのリンクです。
 
 
 


2.「女々しさ」とウェットさの関連アンケート調査について

 上記の、男性・女性の性差と、ドライウェットさとの関連、すなわち、「女性的」=「ウェット」、「男性的」=「ドライ」が、果たして、実際に人々にその通りと感じられているかどうかを検証するためのアンケート調査を行った。

[調査方法]「2つ対にして並べた文章で示された態度のうち、どちらが、より「女々しい」ですか?」と質問する、アンケートページを、インターネットのWebページ検索エンジンに登録し、回答者を募った。

アンケートの項目は、1999.5~7に調査して、有意にドライ(ウェット)と感じられたアンケート項目全体から、(原則としてZ得点5.00以上を得た)40程度の項目を、分類毎にまんべんなく抜き出したものを採用した。

回答期間は、2000.4.中旬であった。

[結果]

回答者総数は約200名であった。男女比はほぼ40:60で若干女性の方が多かった。年令は、10~20代だけで、全体のほぼ90%を占め、圧倒的に若いといえる。

アンケート調査結果の表(女々しさ)についてのリンクです。

結果としては、

ドライウェットさを示す各態度項目について、各々「より女々しい」「より女々しくない」という判定を下した被験者の割合が、
・「ウェット」な方を、有意な差(水準1%)で「女々しい」とした項目→65.8%(27/41)
・「ドライ」な方を、有意な差(水準1%)で「女々しい」とした項目→2%(1/41)

・有意な差(水準1%)がない項目→31.7%(13/41)

となり、「ウェット」な方を、有意な差(水準1%)で「女々しい」とした項目が、全体の65%を占め、より多かった。逆の項目は、ほとんどなかった。

結論としては、「女々しさ(女らしさ)」と「ウェットドライさ」との関連については、回答結果を見る限りでは、現代の若い日本人男女の間では、「女々しさ(女らしさ)」=「ウェット」と捉えられている、と言える。

こうした結果は、1.における、「女性的」=「ウェット」とする文献調査の結果と合致している。


3.心理テスト回答結果における男女の性差の有無について
 

上記の、性差に関する学説との照合結果に見られたような、男性=「ドライ」、女性=「ウェット」という関係が、現代日本人の男女にどの程度見られるかを確認するためのアンケート調査を行った。すなわち、1999.7の時点で、日本の男女が、実際に、自分の性格を、ドライ/ウェットと自己診断する割合に、どの程度の男女差が見られるであろうか、という点について、調査した。

[調査方法]「あなたの性格が、ドライウェットか心理テストで診断します」とする、アンケートページを、インターネットのWebページ検索エンジンに登録し、回答者を募った。

心理テストの項目は、1999.5~7に調査して、有意にドライ(ウェット)と感じられたアンケート項目全体から、(原則としてZ得点5.00以上を得た)40程度の項目を、分類毎にまんべんなく抜き出したものを採用した。

回答期間は、1999.7.中旬であった。

[結果]

回答者総数は約200名であった。男女比はほぼ50:50で同等であった。年令は、10~20代だけで、全体のほぼ90%を占め、圧倒的に若いといえる。

回答結果まとめの表(性差)のページへのリンクです。

結果としては、

男女の間に有意な差(水準1%)が存在する項目
よりドライ→7.3%(3/41)
よりドライ→0%(0/41)

男女の間に有意な差(水準1%)がない項目→92.7%(38/41)

となり、男女の間に有意な差がない項目がほとんどであった。

結論としては、自分の性格を診断しようとする、心理テストへの回答結果を見る限りでは、現代の若い日本人男女の間には、性格のドライウェットさという視点からは、顕著な性差は見られない、と言える。

なぜこうした結果が出たかの推察であるが、ドライ・ウェット次元での男女の性差は若年層間にも存在すると仮定した場合には、女性の回答のドライ化傾向として、捉えられる。具体的には、以下のような推論ができる。
 

・第二次大戦後の日本は、文化的には、欧米的な行動様式(個人主義など、ドライ)を、模倣すべきモデルとして、権威主義的に受容してきた。  特に、権威に従う傾向の強い女性は、「欧米的(ドライ)=先進的、より望ましい態度である」という図式に、強く反応し、(本来のウェットな自分の姿を、恰好悪いなどとして押し隠して、)自分はドライであるとする、回答をした。

・戦後の日本社会の指針となっている、アメリカが作った日本国憲法が個人、自由の尊重といったドライな性格を持っているが、女性は憲法のような、上位者が定めた規則を遵守しようとする気持ちが、男性に比べてより強いと考えられる。そのため、女性の回答が、より日本国憲法的=ドライとなり、男女間の差がなくなった。


といった点が考えられる。



(c)1999-2005 大塚いわお

ホームページに戻る