〔日本人の伝統的国民性:文献調査結果の詳細〕

以下は、日本人の伝統的な国民性が、ウェットであることを示している、既存の日本人の国民性に関する文献の、大まかな一覧です。 文献の順序は、発表が古い順に並べてあります。 記述は、(1)文献の著者名、題名などの書誌データ、(2)ウェットさに関連する部分の要約、(3)筆者によるアンケート調査項目との関連の仕方についての情報、から成っています。


1.〔恥の文化〕

(書誌)Benedict,R. The Chrysanthemum and  the Sword : Patterns of Japanese Culture, Boston Houghton Mifflin, 1948 長谷川松治訳 「菊と刀 - 日本文化の型」社会思想社1948

(要旨)日本文化は、恥の文化に属する。
悪い行いが「世人の前に露顕」しない限り、思い煩う必要がない
恥を感じるためには、実際にその場に他人がいあわせるか、そう思い込む事が必要である → 他律指向
生活において恥が最高の地位を占めているという事は、..各人が自己の行動に対する世評に気を配ることを意味する →人間指向
他人の判断を基準にして自己の行動の方針を定める → 反プライバシー
 
 

(アンケート項目との関連)↓

 反プライバシー
B24 自分が他人にどう見られるかを気にする

 他律指向
E26 周囲の他者の影響を受けやすい

人間指向
E18 周囲の他者に気に入られようとする
E22 周囲の他者によい印象を与えようといつも気にする


2.〔家族的〕

(書誌)川島武宣 日本社会の家族的構成 1948 日本評論社

(要旨)日本の社会は、家族および家族的結合から成り立っており、そこで支配する家族原理は民主主義の原理とは対立的のものである。家族的原理とは、
1 「権威」による支配と、権威への無条件的服従 → 権威主義
2 個人的行動の欠如とそれに由来するところの個人的責任感の欠如 → 集団主義、規制主義
3 一切の自主的な批判・反省を許さぬという社会規範。「ことあげ」することを禁ずる社会規範 → 集団主義
4 親分子分的結合の家族的雰囲気と、その外に対する敵対的意識との対立。「セクショナリズム」。 → 縁故指向、同調指向、閉鎖指向
である。

(アンケート項目との関連)↓

権威主義
D24 権威あるとされる者の言う事を信じやすい
E15 人付き合いで相手の身分・格式を重んじる

集団主義
A1 集団・団体で行動するのを好む
D29 ひとりで他者とは別の道を歩むのを好まない

B22 集団内での相互批判を好まない

規制主義
B15 一人の犯した失敗でも周囲の仲間との連帯責任とする

縁故指向
C24 人付き合いの雰囲気が家族的である
B14 人付き合いで親分子分関係を好む

同調指向
E36 意見の同じ者だけでまとまろうとする

閉鎖指向
B21  人付き合いで身内・外の区別にこだわる
D33  自分が属する集団内の人々としか付き合おうとしない


3.〔終身雇用、年功序列〕

(書誌)Abegglen, J.C.,The Japanese Factory:Aspects of Its Social Organization, Free Press 1958 占部都美 監訳 「日本の経営」 ダイヤモンド社 1960

(要旨)日本とアメリカの工場組織を比較したときに直ちに気づく決定的な相違点は、日本における会社と従業員との間の終身的関係である(終身雇用)。→定着指向

従業員の給与は主として入社時の教育程度と勤続年数・家族数によって決まり、仕事の種類と仕事をした結果に基づく部分はほんの少しである(年功序列(賃金))。→前例指向
 

(アンケート項目との関連)↓
定着指向
D15 一つの組織(職場など)に長期間所属しつづけるのを好む(組織内定住)
前例指向
E12 年功序列を重んじる


4.〔タテ社会〕

(書誌) 中根千枝  タテ社会の人間関係 講談社 1967
 

(要旨)日本では、個人が社会に向かって自分を位置づけるとき、自分のもつ資格よりも「場」を重視する。自分の属する職場、会社、官庁、学校などを「ウチの」と呼び、一定の契約(雇用上の)関係を結んでいる企業体であるという、自分にとっての客体としての認識ではなく、「私の、またわれわれの会社」が主体として認識されている。

「イエ」は、「居住」(共同生活)あるいは「経営体」という枠の設定によって構成される社会集団の一つであり、そこでは「場」が重要性を持つ。「場」という枠による機能集団の構成原理こそ、「イエ」において、全く血のつながりのない他人を後継者・相続者として位置づけて疑問が生じない根拠である。

資格が異なるものが成員として含まれる日本の社会集団においては、集団のまとまりを強める働きをするのが、一つの枠内の成員に一体感をもたせる働きかけと、集団内の個々人を結ぶ内部組織を生成させて、それを強化させることである。それが、「われわれ」という集団意識の強調であり、「ウチ」と「ソト」を区別する意識とそれに伴う情緒的な結束感が生れる。→集団主義、閉鎖指向

「場」と「集団の一体感」によって生れた日本の社会集団は、その組織の性格を、親子関係に擬せられる「タテ」性に求める。→ 縁故指向

集団原理を支配する強い情緒的一体感が見いだされる → 集団主義

「タテ社会」性が、日本人の「批判精神の欠如」、「論理性の欠如」を生じさせている→ 集団主義、非合理指向
 

(アンケート項目との関連)↓

集団主義
A14 他者との一体化・融合を好む

B22 集団内での相互批判を好まない

閉鎖指向
B21  人付き合いで身内・外の区別にこだわる

縁故指向
B14 人付き合いで親分子分関係を好む

非合理指向
C6 考え方が非合理的である
 


5.〔静的育児〕

(書誌)Caudill,W., Weinstein, H.,  Maternal Care and Infant Behavior in Japan and America  Psychiatry,32   1969
 

(要旨)アメリカの母親は、子供の自己主張を明らかにし、母親とは違う存在であることを気づかせ、子供をより独立的にさせてゆく必要があると考えている..日本の母親は、子供との間の相互依存的な関係を発展させ、他人に依存的で従順な子供になることを期待している。

アメリカの母親は、子供に対して声をかけ、活発に働きかけることで関係を持ち、子供がより身体を動かし、環境に働きかけていく事を期待している..日本の母親は、子供と身体接触を多くし、子供があまり身体を動かさず、環境に対して受動的であるように、子供を静かにさせる傾向にある

→相互依存指向、静的指向、密集指向

(アンケート項目との関連)↓

相互依存指向

D32 互いに依存しあおうとする

密集指向

E35 他者と肌と肌が触れ合うのを好む

静的指向

F36 静止しているものを好む


6.〔中央集権〕

(書誌)辻清明 新版 日本官僚制の研究 東京大学出版会 1969

(要旨)わが国は、地方自治法を制定するまでの数十年間、前近代的な中央集権的官僚制の強い拘束の前に、近代的な地方自治が完全に窒息せしめられていた

地方自治法の問題の所在について...「権力的統制」の強い残映をうかがうことができる。

第一..中央官庁による多元的拘束である。地方自治体に対する主たる監督権を掌握していた内務省の支配は廃棄せられたのであるが、同時にその他の官庁はいずれも多岐的な地方機関を保有増設し、地方団体の自主的機能を阻害しているとともに、さらにこれらに対して煩瑣な中央的拘束を加えている。

第二..人事権を通してなされる官僚制的拘束である。従来の地方官吏は警察官を除いて地方吏員に切り換えられたのであり、したがって人事権は地方団体長に所属している。しかしながら、そのことは極めて形式的であり、今後依然として地方吏員の任免・転任などの実権を中央官庁が掌握していく危険ははなはだ大きい。現在、副知事や助役をはじめとして地方団体の幹部級が、ほとんど従来の内務官吏によって充当されていることは、これを裏書きする。地方団体長が実質的な強力な人事権を保有できないならば、地方自治に対する中央官庁の権力的統制は、今後といえども隠然として存続する..

→密集指向

(アンケート項目との関連)↓

密集指向

F24 中央集権を好む
 
 


7.〔同調競争〕

(書誌)石田 雄  日本の政治文化 -同調と競争-  東京大学出版会 1970

(要旨)同調と競争の複合..日本の歴史的発展の連続と変化を統一的に説明する上で最も便宜だと考えられる...この視角によって日本の急速な発展とそれに伴う困難とを同時に説明できる
同調 所属集団に支配的な価値指向と行動様式にしたがうこと、すなわち他人と同じ行動を取ること
集団内の強い同調が集団外のものに対する対抗意識を強め、あるいは逆に外からの脅威が集団内の同調を強めるという関係は日本近代のナショナリズムに最もよく示されている

集団内の競争と同調との結びつき....競争と同調との相互補完と相互加速の関係....忠誠競争(同調の中の競争)の結果が忠誠の度合いをいよいよ強め、それによってより強い同調性をもたらし、逆に今度はそのような同調性の中で、より激しい忠誠競争が行われる...

→同調指向

(アンケート項目との関連)↓

同調指向
B9 行動を周囲の人々に合わせようとする
C8 周囲の皆と同じことをしようとする
C34 周囲に同調したがる

E38 主流派の一員でいようとする
 
 
 


8.〔甘え〕

(書誌)土居健郎  「甘え」の構造  弘文堂 1971
(要旨)日本人は、「母子」間の気持ちの上での緊密な結びつきを、生れてから「社会化」の過程において経験する。
日本人は、成人した後も、家庭の内外で、母親依存と同じような情緒的な安定を求め続けてゆく。
甘えの精神は、非論理的で閉鎖的....甘えの「他人依存性」 →非合理指向、閉鎖指向、相互依存指向

(アンケート項目との関連)↓

相互依存指向
B2 互いに甘え合おうとする
A2 人付き合いで互いにもたれ合うのを好む
A15 依頼心が強い

集団主義
A14 他者との一体化・融合を好む
 

非合理指向
C6 考え方が非合理的である

閉鎖指向
閉鎖的な人間関係を好む


9.〔間人主義〕

(書誌)木村敏  人と人との間 弘文堂 1972

(要旨)日本人が「自己」を意識して言う、「自分」とは、西洋人の場合と違い、確たる個人主体の「自我」ではなく、恒常的に確立された主体ではない

selfとは、...結局のところは自己の独自性、自己の実質であって、...selfと言われるゆえんは、それが恒常的に同一性と連続性を保ち続けている点にある。

日本語で言う「自分」は、自分自身の外部に、具体的には自分と相手との間にそのつど見いだされ、そこからの分け前としてその都度獲得されてくる現実性である

日本的なものの見方、考え方においては、自分が誰であるのか、相手が誰であるのかは、自分と相手との間の人間的関係の例から決定されてくる。個人が個人としてアイデンティファイされる前にまず人間関係がある

→ 人間指向

(アンケート項目との関連)↓

人間指向
E27 人間関係そのものを重視する
 

(書誌)浜口恵俊 「日本らしさ」の再発見 日本経済新聞社 1977

(要旨)日本人の特性である「間人主義」は、個人主義の、自己中心主義、自己依拠主義、対人関係の手段視、という特徴に対して、相互依存主義、相互信頼主義、対人関係の本質視、という特徴を持つ。→ 相互依存指向、人間指向

(アンケート項目との関連)↓

相互依存主義
D32 互いに依存しあおうとする

人間指向
E27 人間関係そのものを重視する
 
 
 


10.〔他律的〕

(書誌)荒木博之 日本人の行動様式 -他律と集団の論理-  講談社  1973

(要旨)ムラ的構造のなかにあって、個人がその個性を喪失し、集団の意志によってその行動が決定されてゆく他律的人間になりおおせていく
他律的精神構造が、日本人の行動様式決定の動かすべからざる要因として働いてきた
→他律指向、同調指向

(アンケート項目との関連)↓

他律指向

E26 周囲の他者の影響を受けやすい
E20 自分の今後の進路を自分一人で決められない

同調指向

E30 没個性的であろうとする
B9 行動を周囲の人々に合わせようとする
 
 


11.〔母性原理〕

(書誌)河合隼雄 母性社会日本の病理 中央公論社 1976

(要旨)母性原理は、「包含する」機能で示され、すべてのものを絶対的な平等性をもって包み込む。それは、母子一体というのが根本原理である。→人間指向(ふれあい)、集団主義(一体感)

一方、父性原理は、「切断する」機能に特性があり、主体と客体、善と悪、上と下などに分類する。

日本社会は、母性原理を基礎に持った「永遠の少年」型社会といえる。

(アンケート項目との関連)↓
集団主義
A14 他者との一体化・融合を好む
B1 互いにくっつき合おうとする

人間指向
B3 他人との触れ合いを好む
C10 人付き合いのあり方が親密である


12.〔大部屋オフィス〕

(書誌)林  周二  経営と文化   中央公論社  1984

(要旨)開場前の図書館口の人の列や、バスを待つ行列などを観察すると、日本人の場合には、人と人との間合いが狭く、いささか押せ押せ的に並んでいるのに、西欧人の場合には、列を作る人の間合いがかなり広い

西洋人の場合、 一人の個人の周辺の空間距離が日本人の場合より一般に広く、個人住居でも一人一部屋で住む傾向がある

企業オフィスでも、欧米について調査してみると、社員一人当たりのオフィス面積は、日本の二倍近くある。日本の役所や会社のオフィス空間は、管理職は別として、いわゆる大部屋に多勢のヒラ社員が机を向かい合わせに並べて、がやがやと働いている。これに対し、西欧の会社を訪ねるとヒラの人たちでも概して一人か二人が一部屋にこもって働いているし、米国でも、社員は一人ずつブースみたいな空間を構えている。

欧米の会社では、社員の一人一人が、ヒラに至るまでそのような隔離空間で、自分に与えられた仕事義務だけにひたすら従事し、それを果たし終えれば、隣りの仲間がどんなに忙しかろうが、どんどん帰る習慣である...逆に、日本のように、ホワイトカラーの職場集団の、仕事を通じての一体感づくりが大事にされるところでは、大部屋空間法式が向いている...   →密集指向
 

(アンケート項目との関連)↓

密集指向

A16 多人数で大部屋にいるのを好む
E32 互いに一緒にいるのを好む
 
 


13.〔独創性の欠如〕

(書誌)西澤潤一 独創は闘いにあり プレジデント社 1986

(要旨)(日本の科学者は、)自分の目で確認し、実験をやって納得しようという、あるいはそういう研究発表をあるがままに受け止めようという、最低限の自然科学技術者としての基本的姿勢に欠けて...その代わりに本(定説)に頼る姿勢が極めて濃厚である。なまじっか、権威者が書いている形になっているから、ありがたくも本当のことのように、読み手のほうは思い込んでしまう。多くの人は、欧米の権威者の説だということで、あたかも自分の体験のように思い込み、批判したりすると過剰に反応する。時には、本人以上に強烈なしっぺ返しをしたりする。欧米の知性に、それだけ寄り掛かっているが故かも知れないが、まことに不健全な話である。→権威主義

欧米は、種子の段階から金を投入し、独創技術を根気よく育てようとしている。それだけ真の独創性の難しさを熟知し、敬意を払っているからである。ひるがえって日本は、官民共に危ない橋を渡ろうとせずに、欧米でうまくいっているかどうかを探り、工業化途上の大事なものを拾い上げて来て集中的に実用化し、改良の努力を傾ける。 → 前例指向
 

(アンケート項目との関連)↓

権威主義

D24 権威あるとされる者の言うことを信じやすい

前例指向

D37 冒険しようとしない
C30 前例のあることだけをしようとする
 


14.〔集団主義〕

(書誌)Triandis H.C., Individualism & Collectivism, Westview Press, 1995

(要旨)集団主義とは、互いに近接的にリンクされ、自分自身を、1つかそれ以上の集団(家族、会社、...)の一部であるとみなす個人からなる社会類型のことである。

1)自己の定義が、集団主義では、相互依存的であるのに対して、個人主義では、独立的である。
2)個人と集団の目標が、集団主義では、近接しているのに対して、個人主義では、そうではない。
3)集団主義社会における社会的行動の多くは、規範、義務によって導き出されるのに対し、個人主義では、個人の態度や欲求、権利や契約によって導き出される。
4)人間関係を強調することを、たとえそれが不利益な場合でも、重視するのが、集団主義社会である。個人主義社会では、人間関係の維持が生み出すのが、利益か不利益かを、理性的に分析することを重視する。

日本では、...全体の25%が、水平的集団主義(内集団の凝集性や一体感を重んじる)、50%が、垂直的集団主義(内集団のために尽くし、内集団の利益のために自己を犠牲にする、とともに、不平等性や上下方向の階層を受け入れる)である。水平的集団主義が高いのは、日本では、他者と違う態度を取ることが、悪いことである、と考えられているからである。垂直的集団主義が高いのは、日本では、権威や上下関係についての感覚が強いからと考えられる。


15.〔相互協調的自己〕

(書誌)Markus H.R.,Kitayama,S.,    Culture and the self: Implications for cognition, emotion, and motivation. Psychological Review, 98, pp224-253  1991

(要旨)日本をはじめとする東洋文化で優勢な、相互協調的自己観によれば、自己とは他の人や周りのことごとと結びついて高次の社会的ユニットの構成要素となる本質的に関係志向的実体である。..自己を相互に協調し、依存した存在とする....相互に依存・協調し他者と密接に結びついた自己を確認する..→ 集団主義、人間指向、相互依存指向
 

(アンケート項目との関連)↓

集団主義

B1 互いにくっつき合おうとする
 

人間指向

B3 他人との触れ合いを好む

相互依存指向

A2 人付き合いで互いにもたれあうのを好む
D32 互いに依存しあおうとする
 


16.〔直接対面〕

(書誌)吉井博明 情報化と現代社会[改訂版] 1997 北樹出版

(要旨)組織にとって重要度の高い情報は、不確実性が高く、多義性も高い、しかも外部環境情報であるため、最もリッチで、シンボリックな意味伝達能力の高いメディア=対面コミュニケーションに依存せざるを得ず、これが立地を最も規定していることがわかる。情報通信メディアの発展は、皮肉なことに、情報通信メディアにのりにくい情報の希少性と価値を一層高め、情報中心地へのオフィス立地を促進しているのである。

複雑、かつ高度な相互依存の網の目で結ばれている日本の組織は、ウェットな対面コミュニケーションに過重に依存する文化を持っているのであり、日本社会は、全体として、集中が集中を呼ぶ体質(集中体質)を内在させているといえよう。

→密集指向

→人間指向(親密さ)、反プライバシー(視線)

もちろん、圧倒的な技術力を持ち、政府の規制や系列の制約を受けない組織が多ければ、このようなウェットな対面コミュニケーションへの依存度は低下し、集中の必要性が少なくなるのは言うまでもない。

(アンケート項目との関連)↓

密集指向
F24 中央集権を好む
A3 狭い空間に密集していようとする

人間指向
C10 人付き合いのあり方が親密である

反プライバシー
D27 互いに視線を送り合うのを好む
B7 互いに監視し合うのを好む


〔その他の、日本文化と関係の深い概念について〕

以上の文献以外で指摘されて来た、日本文化と関係の深い、ウェットさを表していると考えられる概念を、以下にいくつか列挙しました。説明は、なぜウェットと言えるかについて書かれています。

〔根回し〕

(説明)交渉などをうまく成立させるために、関係方面に予め話し合いをしておくことを指す「根回し」は、予め存在する縁故関係をたどって、そのネットワークの中にいる各人の了解を取り付けようとする行為である。各人が、関係を生成する相互間引力の只中にいることを、話し合いの機会を持つことで、再確認させる意味合いを持ち、根源的には、縁故関係とそのもとになる相互間引力の存在が前提となる行為である。
→縁故指向

相互間引力のある状態では、何か自分のやりたいことがある場合に、根回しが必須になる。相互間引力が働いている只中にいる状態で、何か新たに行動を起こそうとする個人は、事前に周囲に、自分はこれからこういうことをします、ということについて了解を取る、ないし根回しを行っておかないと、後で、本人の行動が周囲の他者をあらぬ方向へ(相互間引力の働きで)振り回した(あるいは、逆に、周囲が本人を、自由に動けないように、相互間引力によって拘束しようとした)ということで、互いに不本意な思いをする(互いの行動を非難し合うなど)ことにつながる。
→規制主義

〔接待〕

(説明)接待は、元々あまり近くなかった存在の者同士のうちの一方が他方に対して、より心理的に近づこうとして(相手に近づいてもらおうとして)、食事などの供与をすることを指し、その点で、相互間引力がより強く働く状態に持ち込もうとする態度の現れと言える。
→縁故指向

〔談合〕

(説明)官公庁の入札などの際に見られる談合は、互いに相手の動きを、相手が自由な行動(各自が自由に安い入札価格を提示し合って競争するなど)を取らないように牽制し合って、取る動き(特定の誰かが、高めの入札価格を提示すること)を事前の話し合い(相互拘束)で決めてしまう点で、相互間引力の産物である。
→規制主義

〔公私混同〕

(説明)公共物と自分のものとを混同することが、公私の区別が「あいまい」となることに結びつく。
→あいまい指向