ドライ・ウェットな対人関係とストレス

(c)2002.5 大塚いわお



ここでは、会社や学校などにおけるメンタルヘルスの観点から、ドライ・ウェットな対人関係が、どのような精神上のストレスに結びつくかについて考察する。

対人関係がドライなときに感じるストレスとしては、

(1)〔個人主義〕他者から冷たく突き放され、自分はひとりぼっちだという孤独感を感じたり、誰も自分のことを助けてくれないというhelplessな感情に襲われ、それが心理的なストレス要因になる。

(2)〔独創指向〕仕事を進める上で、今まで誰もやったことのない未踏の作業手順などに積極的に挑戦しなくてはならず、そうした未知の領域に足を踏み込むことや試行錯誤の過程で失敗を犯すことへの恐怖心が、心理的なストレス要因になる。

一方、対人関係がウェットなときに感じるストレスとしては、

(1)〔相互依存指向〕互いに相手の動きを監視・牽制し合うため、いざ相手から足を引っ張られるとダメージが大きいし、いつされるか分からないので不安になり、それが精神的疲労につながる。あるいは、自分がちょっと成功したり、いい思いをしたりするとたちまち周囲からしっとされるので、精神的な解放感がなかなか持てず、それがストレスにつながる。

(2)〔同調・他律指向〕何をするにも周囲の意向を気にしながら行動する必要があり、気配りし過ぎとなって疲れてしまう。

(2-1)職場で同僚が残業しているときいやいや付き合い残業せざるを得ないなど、周囲から一緒に行動せよという圧力が絶えずかかるので、それにいちいち合わせるのが精神的に負担となり、ストレスにつながる。

(2-2)自分が周囲の流行に乗り遅れると、たちまち周囲から馬鹿にされるため、乗り遅れていないか絶えず気になり、精神的な圧迫感が生まれやすい。

(3)〔関係指向〕相手との一体感や愛情を求める度合いが強くなるため、相手と気持ちが合っているかどうか絶えず確認したくなり、それが強迫的になるとストレスにつながる。

(4)〔反プライバシー〕職場で大部屋勤務のように、周囲の他者と互いに自分の行動を絶えず監視し合うのが普通である(各人の目が「生ける監視カメラ」としての役割を果たす)。そのため、プライバシーが侵害されていると感じられ、それがストレスにつながる。

(5)〔規制主義〕校則など、行動する上での規則や制限がきつく、不自由な思いをすることがストレスにつながる。

(6)〔集団主義〕何事も集団ペースで物事が進むため、それに絶えず合わせていかなければならないことが、特に団体生活が苦手な場合、ストレスにつながる。また、集団の利益や存続を自分のそれより優先することを求められるため、私生活を犠牲にしなければならないことがストレスにつながる。

以上の検討結果から鑑みるに、対人関係がウェットな方が、感じるストレスは多いと考えられる。対人関係は、ある程度、適度にドライな方がストレス無く過ごしやすい。その意味で、社会全般の対人関係でウェットさを取り除く「社会的除湿」が必要である。


(c)2002 大塚いわお

ホームページに戻る