皮膚でのドライ・ウェットさの知覚-「分子運動パターン還元アプローチ」

2005.03-2010.10 大塚いわお


皮膚での乾湿感覚知覚について知るには、物理学と知覚心理学の橋渡しが必要である。


気体分子・液体分子の動く、飛ぶ速度がより高速になると、皮膚では、より熱く、暑く感じる。
気体分子(冷風、温風、熱風)、液体分子(冷水、湯)の温度の違いによって、皮膚の熱覚(温度センサー)が、それらの分子運動を区別している。

それと同様に、気体分子(乾いた)、液体分子(湿った、濡れた)の違い、すなわち、湿度の違いによって、皮膚の湿覚(湿度センサー)が、それらの分子運動を区別していると考えられる。


従来の心理学、生理学における湿度知覚研究は、以下のアプローチを取ってきた。

(1)「知覚の数値化アプローチ」湿度を数値化し、異なる湿度数値によって、人間の皮膚が湿度の違いを検知出来るか、あるいは湿度が何パーセントなら湿っていると知覚するかを知ろうとする。

(2)「湿度専用受容器発見アプローチ」湿度を選択的に知覚する、湿度専用の感覚受容器、生体湿度計みたいなものを、人間、生物の皮膚上に見いだそうとする。湿度数値が高くなると活性化する受容器を探す。例えば、ゴキブリが、専用の湿度感覚受容器を持っていることを発見した、というのがこれに当たる。

(3)「快適・健康湿度分析アプローチ」エアコンや肌着における快適湿度研究や、湿度と皮膚病発生との関連を調べる研究のように、湿度数値と人間の快不快感との関連、病気発生との関連を調べ、人間にとって快適、健康な湿度環境はどの辺りにあるかというのを見いだそうとする。例えば、高温多湿の室内は不快なので、エアコンによる調節が必要であるとか、皮膚の保湿を行うことで、皮膚のカサカサや皮膚炎を予防できる、という研究成果がこれに当たる。


これに対して、筆者は、より物理運動原則と湿度知覚との関連に着目した、「分子運動パターン還元アプローチ」を提案する。これは、気体・液体の分子運動とその違いの皮膚知覚が、湿度知覚の本質である、と捉えるものである。気体分子群と液体分子群とで、分子運動の皮膚への働きかけのあり方が違い、その違いを人間の皮膚は、前者をドライ(乾いた)、後者をウェット(湿った)と区別して知覚するのだと考える。気体・液体分子運動パターンの相違が皮膚での乾湿弁別に結びつくメカニズムに着目する。

気体・液体分子運動パターンの説明についてのページへのリンクです。

気体・液体の分子運動パターン、特徴の相違が、皮膚上の触覚受容器にもたらす刺激のあり方を解明する。ドライな気体分子運動が、「各分子が高速で動き、バラバラに離れる、散る、くっつかない」というパターンで皮膚に向かって働きかけ、一方、ウェットな液体分子運動が「各分子がゆっくり動き、ベタベタくっついて集まる」というパターンで働きかける、という違いがあり、その違いの皮膚による区別、弁別が湿度知覚の本質だと捉える。

この「分子運動パターン還元アプローチ」では、以下のような捉え方をする。

・分析の視点を、湿度数値にいきなり落とすことはしない。分析の視点を、湿度数値の違いをもたらす気体・液体分子運動の物理的メカニズムの相違という根本原因へと深める形で捉える。

・人間の皮膚において、湿度知覚専用の受容器の存在を必須として想定しない。湿度知覚は、様々な触覚が組み合わされて実現するという見方も取っておく。もしも、湿度知覚専用の受容器があるとしたら、それは、気体・液体分子群の皮膚への働きかけパターンの相違に反応する受容器だと捉える。

・気体・液体分子運動パターンの皮膚への働きかけを見る際に、視点を、極小な分子レベルだけに限るのではなく、様々な大きさの物体に一般化して捉える。分子以外の、例えば目に見える大きさの粒子、物体群(例えばビー玉やピンポン球の粒々とか)についても、それぞれ気体・液体分子群と同じ運動パターン(気体相当なら「各粒子、物体が高速で、低密度でバラバラに離散して動き、くっつかない」、液体相当なら「各粒子、物体がゆっくりと動き、高密度でくっつく」)を取ったら、皮膚ではそれぞれ乾いた(ドライ)、湿った(ウェット)と感じられると捉える。

・湿った、ウェットな感じの発生を、物理的な水分、水蒸気のような液体に限定しない。例えば、高密度なビロードの布に触れたとき、ウェットに感じるように、物理的な水とかで実際に濡れていなくても、ウェットに感じることがあるのに着目する。


分子行動学 各分子の動くパターンを調べる。
分子社会学 分子集団の動き、分子間の相互作用を調べる。
分子化学 分子の化学変化を調べる。

分子行動学、社会学の観点からは、
気体分子行動は、個人主義、自由主義、・・・・
液体分子行動は、集団主義、規制指向、・・・・
と捉えられる。

ドライ・ウェットな皮膚感覚は、気体と液体とを分別して知覚することである。
ドライな気体は、皮膚にくっつかない。ウェットな液体は、皮膚から離れない。
気体と液体の違いは分子レベルの動きの違いであり、分子レベルの動きの違いを皮膚の感覚受容器が区別するのが、ドライ・ウェットの区別である。




液体分子運動が、皮膚には、気体のそれとは異なって感じられる。その違いが、ドライ、ウェットの知覚差となって現れる。

皮膚は、分子レベルの粒子の運動の差異を知覚できる。嗅覚の分子受容体のように、温度や湿度についても、同様の分子受容体を持っている。

皮膚上の湿度センサーは、分子が自分とくっつく、・・・・・・とウェットと感じ、離れる、・・・・・とドライと感じる。

分子が ウェット(液体的) ドライ(気体的)
(1)近づき くっつく。近づく。 サラリと離れる。離反する。
(2)つながり 連続する。つながる。癒着する。 (関係を)切断する。
(3)着床 粘着する。 はがれる。
(4)まとわりつき まとわりつく。 手離れがよい。すっとする。
(5)集合 集まる。密度が高い。 散る。密度が低い。
(6)一つ 一体・融合化する。 バラバラである。互いに独立している。
(7)同じ・仲良し 調和、和合する。 衝突、対立する。
つきたての餅 シリカゲルの粒、ビー玉

分子運動パターンと、分子が皮膚に与える感覚とは互いに関連している。

液体は、ウェットであり、分子同士が互いに引き寄せ合い、くっつく。その応用で、人間の皮膚(の感覚受容器)に対しても、くっつく、接着する、手離れが悪い。
気体は、ドライであり、分子同士が離れる。その応用で、人間の皮膚(の感覚受容器)からも離れて、くっつかない、手離れが良い。

液体分子運動パターン(互いにくっついて離れず、高密度、集団で分布する)の分子群~物体群が肌に当たる(接触する)と、ウェットに感じられ、気体分子運動パターン(互いにバラバラに離れて、個別に散らばる)の分子群~物体群が肌に当たる(接触する)と、ドライに感じられる。



(注)パターンDとパターンW

今後は、液体・気体分子運動パターンという言い方を、より簡略化して呼びやすく、覚えやすくする必要がある。


気体分子運動パターンは、ドライな(乾いたDry)感覚を与えるため、頭文字のDを取って、パターンDと呼べる。

一方、液体分子運動パターンは、ウェットな(湿ったWet、Humid)感覚を与えるため、頭文字のW(H)を取って、パターンWと呼べる。

パターンDとパターンWについての説明ページへのリンクです。


こう略すことで、例えば、液体分子群や、日本人の行動様式が共通の「パターンW」に沿っており、気体分子群や、欧米の人々の行動様式は共通の「パターンD」に沿っている、などと簡便に表現することができる。


皮膚での湿度知覚は、以下のようになると考えられる。
湿度が高いのがウェットと感じられ、湿度の低いのがドライと感じられる。

人間においては、皮膚上で湿度を知覚する専用の感覚受容器は未だ発見されないとされている。実際のところ、人間の場合、乾湿感覚は、湿度の高低を感知する湿度計のような特殊な受容器が皮膚上に存在するのではなく、普通の触覚と同一、共通の感覚受容器によって感知されるものである可能性がある。実際には、以下のような複数の異なる種類の触覚を絞り込んで複合させたものとして、異なる種類の皮膚刺激が神経系の同一感覚野上で一つに合成された形で捉えられているのかも知れない。

(1)タッチ密度

湿度が高い、ウェットな空気は、皮膚受容器に密度濃く、一定面積でたくさんの数の水気体分子がぶつかる。一方、湿度の低い、ドライな空気は、空気中の水気体分子が、皮膚受容器に低密度で、一定面積の皮膚上に、少なくぶつかる。

気体分子群が高密度で皮膚上を舐める、触ると、もわっとした、濃い感じを皮膚に与える。これは、ウェット感につながる。一方、低密度の気体分子群は、皮膚にタッチする度合いが少なく、薄い、淡い、爽やかな感じを皮膚に与える。これは、ドライ感につながる。

このことと関連して、皮膚上を高密度のピン群でタッチして離した場合と、低密度のピン群でタッチして離した場合とでは、高密度の方がよりウェットと感じると考えられる。

あるいは、皮膚上を、滑らかですべすべな表面=極めて高密度な表面の絹布やベルベットで触った場合、低密度の粗い表面を持つ麻布で触った場合に比べて、高密度の前者がよりウェットに、低密度の後者がよりドライに感じられると考えられる。例えば、夏場に使うドライな質感のシーツは、同じ綿素材でも、生地の凹凸の区別がはっきりしていて、皮膚に直接接触しにくい部分が多く、皮膚接触密度の低さ、粗さを感じさせるようになっている。あるいは、塩化ビニールのシートでも、平らで滑らかなシートの方が、凸凹のたくさん付いたシートよりも、手触りがよりウェットに感じる。

あるいは、一つ一つのピン突起が小さく、木目細かい方が、一つ一つのピンが大きく、木目が粗い場合より、手触りがよりウェットに感じる。


(2)タッチ時間の長さ

分子群が皮膚上にくっついたままの状態を続けて、そのまま離れないのがウェットで、皮膚に一時的にくっついても、すぐに離れるのがドライな感覚を与えると考えられる。

このことと関連して、ピン群や布などを皮膚にタッチして、長くそのままタッチ状態を続けた場合、タッチしたらすぐに離す場合に比べて、前者のタッチを長く続ける場合がよりウェットに感じられ、後者のすぐ離す場合がよりドライに感じられると考えられる。

(3)タッチ後の皮膚へのくっつき

分子群が、皮膚にくっついた後、引き離そうとすると抵抗して、皮膚を持ち上げるのが、ウェットで、何事もなく皮膚から取れる、離れるのがドライな感覚を与えると考えられる。

皮膚に接触させた後のピン群あるいはテープなどが、皮膚と接触する先端に接着剤とかが付いていて、皮膚から引き上げる際に、皮膚から取れない、離れずに、皮膚を引っ張り上げるのが、ウェットで、ピン群やテープなどが、何事もなく皮膚から取れる、離れる、皮膚を引き上げないのが、ドライだと考えられる。

(4)タッチ時の皮膚へのフィット、柔軟さ

分子群や物体が、可動であって、皮膚に対して柔軟に変形して密着するのがウェットな感じを与え、皮膚と離れてなじまないのがドライな感じを与えると考えられる。密着してくっつくのが、ウェットな感じを与える原因となり、離れてくっつかないのがドライな感じを与える原因となる。

ゲルや絹布、低反発ウレタン枕のように、皮膚に張りつく感じで、皮膚の形状に合わせて柔軟に隙間を埋める形で変形・密着してフィットするのがウェットな感じを与え、一方、固いプラスチック板のように、剛性を持っており、皮膚になじまずに、皮膚表面のラインに合わせて変形することなく、皮膚との間に隙間ができるのが、ドライな感じを与えると言える。その点、素材の柔軟さはウェットさにつながり、固さはドライさにつながると言える。


(5)タッチ時の皮膚摩擦

分子群や物体が、滑らかな感じで、皮膚に摩擦を与えないのがウェットな感じを与え、皮膚とこすれて摩擦を与えるのがドライな感じを与えると考えられる。
皮膚に滑らかに密着して一体融合・和合するのがウェットな感じを与える原因となり、皮膚と離れた別々の物体として皮膚に刺激を与えるのがドライな感じを与える原因となる。

乾布摩擦のように、布が乾いていると、皮膚に摩擦を与える事ができるのに対して、布が濡れていると、皮膚に対して滑らかな感じとなって摩擦を与えず、皮膚と「和合」する。これは、人間関係において、和合を重んずるのがウェットと捉えられるのと一緒である。


(6)皮膚上の移動速度

分子群や物体が、皮膚上にくっついたまま、余り動かないか、ゆっくり動くのがウェットであり、皮膚上をさっと素早く移動して立ち去っていくのがドライな感じを与えると考えられる。低速で皮膚にくっつくのがウェットで、高速で皮膚に付かないのがドライである。

同じピン群や布の表面等を、皮膚上を高速で動かすとドライに感じられ、ゆっくり動かすか余り動かさないとウェットに感じられると考えられる。


(7)タッチの頻度

分子群や物体の、皮膚に対するタッチの頻度が高いのがウェットであり、頻度が低いのがドライな感じを与えると考えられる。
高密度で動き回って皮膚に働きかけるため、皮膚へのタッチ頻度が高くなるのがウェットで、密度が低いため皮膚に接触する頻度が低いのがドライである。

ピン群や布の表面等を、小刻みに高頻度で皮膚に接触させるとウェットに感じられ、タッチする間隔を空けると、ドライに感じられる。

くっつく頻度が高いほど、「仲良し」「くっつきやすい」と感じられる。人間の場合でも、メールのやりとりの頻度の高い恋人同士ほど、ウェットに感じられる。


(8)タッチ時の当たる速さ、タッチ時の衝撃

分子や物体が、皮膚に対するタッチ時の速度が速く、皮膚に強い衝撃を与えるのがドライであり、低速で当たるため、衝撃が小さく、軽いのがウェットな感じを与えると考えられる。

ピン群や布の表面等を、軽くソフトな感じでゆっくり皮膚に当てると、ウェットに感じられ、高速でパーンと当てると、ドライに感じられる。これは、ドライな気体分子が高速で、ウェットな液体分子が低速なのと根が同じと考えられる。


(9)タッチ時の形状

分子群や物体の、皮膚に対するタッチ時の形状が、ピンポイントで鋭く尖っている、切れている場合はドライであり、円やかになっている場合は、ウェットな感じを与えると考えられる。

刃物やペン先のようなものを皮膚に当てると、切れる、刺さる感じでドライに感じ、クッションのようなものを当てると、円い感じでウェットに感じる。切れる、刺す感じの物は、対象(との関係)を断ち切るため、ドライに感じ、円い感じの物は、対象との関係を円満に維持するため、ウェットに感じると言える。

ちなみに、愛撫は、ゆっくりやさしくソフトに撫でるので、接触時間が長く、皮膚上をゆっくり動き、人肌なのでソフトで柔らかく、フィットして、高密度できめ細かい肌触りである。これらは、上の説明が正しければ、ウェットな性質を満たしている。愛撫は、愛撫される側の人の心を安心させたり、和ませたり、開かせたりする効果を持ち、愛撫する人との間に強い一体感、依存感が生まれる点、その本質はウェットであると言える。



分子が皮膚の感覚受容器上に載ったまま、動くが、離れないと、ウェットに感じる。
分子が皮膚の感覚受容器から離れて飛んで行くと、ドライに感じる。



分子運動がウェットに感じる場合は、以下の通りである。
・分子が皮膚にくっついて、風が吹いても離れて飛んで行かない。分子が皮膚と一体となっている。
・互いに分子がくっついた指先同士を離そう、広げようと思っても、分子が互いにくっついて、引き合って、抵抗する。
・分子は固まっておらず、風が吹くと皮膚上を動く余地がある。

・汗が蒸発せず、皮膚上に溜まる。
・高温時、汗腺は空かず、詰まったままであるため、体内の熱が放出されず、蒸し暑く感じる。

・分子群が皮膚に対して、より高密度で接触、付着する。低温時に湿度が高い場合、皮膚からの空気中の水蒸気への熱伝導による放熱が増加して寒冷感を増す。


分子運動がドライに感じる場合は、以下の通りである。
・分子が皮膚から離れており、風が吹くと、飛んで行く。
・互いに分子がくっついた指先同士を離そうとすると、無抵抗で離れる。

・汗が蒸発し、次の汗がどんどん出て行く。気化熱を奪われてスッとする。
・高温時、汗腺が常時開いて、体内の熱がどんどん蒸発し、涼しく感じる。

・分子群が、皮膚に対して、低密度で接触する。低温時に湿度が低いと、皮膚からの空気中の水蒸気への熱伝導による放熱が少なく、温かく感じる。



皮膚上の水分は、体温によって飛ぶ、すなわち、皮膚から離れて気化する。夏の暑いとき、汗が出て、乾く間もなく、次々と流れて、濡れて湿る。雨が降っているときとか、蒸すときは、水分が皮膚上から飛びにくい、気化しにくいため、乾きにくくなる。

こうした点、ウェットな、湿った状態というのは、液体(水分)が、皮膚上に付いて気化しにくい状態であると言える。

液体の水分がダラダラ皮膚上を流れて乾かない、目の涙がどんどん後から供給されて皮膚上を流れる、涙もろいのはウェットである。



湿度感覚(湿感)は、
(1)物理的に(皮膚上に)、あるいは心理的に(対人的に)、くっついて飛ばない、一体化して離れない。
皮膚上に乗っかって、皮膚上から離れない。引き離そうとすると抵抗する。これが、皮膚上の感覚受容器を引っ張って刺激する。

(1')くっついて飛ばない(涙、汗など)ものや液体分が次々と供給され、皮膚上からなくならない。
(2)くっつき、かつ流動性がある。固まっていない。流れる、動く。

が同時に成立することで、ウェット感につながる。

夏の太平洋高気圧の蒸し蒸しした、湿気の多い空気が、皮膚上の汗が蒸発しにくく、いつまでも濡れた水分として止まっている状態を作り、ウェットさを生み出す。
空気中の湿度の高さが、感覚的なウェットさを生み出すことにつながっている。




皮膚に付いたのが固体の場合、ギプスのように、皮膚を固定して、動かせない。払ったり、皮膚を動かしたり、剥がすと、落ちる。
乾いたシャツのように、皮膚を動かせる場合もある。シャツの布は、固体だが、柔軟であり、可動である。着ていても体を動かすことができる。その点、体を動かせないギブスやコルセット、甲冑とは異なり、液体に近い。ただし、シャツは乾いた状態では、皮膚にくっつかず、離れている。濡らすことで、初めて皮膚にぴったりくっつくようになる。

液体は、皮膚を動かしても、付着したまま、離れない。皮膚を動かせる。
皮膚上を水滴のように動く、可動性が、固体にはない液体の特徴である。

気体は、皮膚から、自発的に離れる。

粘着面で「貼るカイロ」を皮膚上に貼り付けると、粘着面の与える感じでウェットとなる。

発汗でシャツと皮膚がくっつき、液体の水が間に挟まってシャツが皮膚と連続化するとウェットである。


湿布薬は、ベタベタ皮膚に貼り付いて、くっついていて、皮膚と一体化し、身体の一部になったように感じる。貼ってから時間が経つと、皮膚と区別が付かない。

一方、乾布摩擦は、布が湿っていると、摩擦が起きないため、できない。摩擦が起きるのはドライである証拠であると言える。




濡れた下着や布団が、どのように、濡れている、湿っていると知覚するか?
乾いているが、皮膚に触れている布団・下着とどのように区別するか?
温度が体温と同じだと区別しにくい。
ウェットな湯にあふれた湯船につかる場合、体温と湯温が同じだと、湯の存在を感じない。
液体の湯では、気化熱で、体や物の熱が奪われて、冷えるので、気体と区別して、ウェットに感じる。



同じ皮膚にべたべたくっついて離れない接着剤でも、
セメダインのような接着剤は、溶剤が気化してすぐ乾く。
一方、糊は、なかなか乾かない、保湿的である。



皮膚におけるウェットな湿度感覚は、(1)ある領域内の複数の隣り合う触覚素子が同時に接触を感じたとき、(2)単一のあるいは複数の素子が継続的に接触を感じたとき、起きると考えられる。

複数の隣り合う素子が同時に感じるということは、接触してくる相手が高密度、凸凹がなく滑らかであることを示している。

長期にわたって継続的に接触することは、相手が皮膚とくっつくことを示している。

高密度、継続的に接触することが、ウェットさの元になっている。

逆に、低密度で凸凹があり、すぐ離れたり、そもそも接触しないのがドライさの元になっている。

これに加えて、(3)昔から言われてきたstickyness、くっついた物が離れるとき、皮膚を引っ張る感じを、皮膚の素子が捉えたときに、ウェットと感じると言える。逆にさっと引っ張らずに取れるとドライである。


2005-2010 大塚いわお

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