[要約]
1.はじめに
2.気体・液体分子運動との関連
3.ドライ・ウェットと想定される行動様式の抽出
4.ドライ・ウェットな行動様式の詳細な説明
5.抽出した行動様式のドライ・ウェットさについての確認
6.まとめ
[要約]
本研究では、人間のどのような行動がドライ・ウェットな感覚を生むかについて、以下のような仮説を提唱した。
ごく小さな液体・気体分子から目に見えるレベルまでの物体一般の性質及び人間の行動において、共通に、
(1)ウェットと感じられるのは、接着・粘着性が強く、相手と近づこう、ベタベタくっつこうとする場合。また、運動・活動性が低く、一カ所に動かず定着・
定住しようとする場合である。
(2)ドライと感じられるのは、運動・活動性が高く、あちこち動き回ろう、移動しようとする場合。また、接着・粘着性が低く、相手からサラリと離れてバラバラでいようとする場合である。
要約すれば、「相互離散・移動=ドライ、相互近接・定住=ウェット」ということになる。
この仮説をもとに文献調査を行い、ドライ・ウェットさの軸の上に乗っていると考えられる行動様式を、集団主義-個人主義、規制主義-自由主義など17項目
に集約して抽出・整理した。こうして抽出・整理した行動様式が本当にドライ・ウェットと感じられているかどうか、仮説に沿った質問項目を作成して、WWW
を用いた質問紙調査を行った。分析した結果、提案した仮説がほぼ正しいことを確認した。
キーワード : ウェット,ドライ,行動様式
In this paper, the author describes about what human behavior gives dry
- wet feeling to others.The author presented the hypothesis that
objects
(from molecule size to visible size) and persons in common (1) bring
wet
feeling to others, when they move slowly or are fixed, come near and
stick
to each other, (2) bring dry feeling, when they move fast or are
active,
go away and separate each other. When their closeness or adhesion, and
settling orientations are strong, their behavior is felt wet, and when
their separating or diffusing, and moving orientations are strong,
their
behavior is felt dry.
More detail explanations about dry - wet behavior dimensions were
obtained
by surveying literatures about Japan and Western cultures comparison.
17
dimensions such as individualism(dry) - collectivism(wet),
liberalism(dry)
- regulationism(wet), etc.. , were extracted as they would bring dry -
wet feeling.
The validity of these hypothesis was proved by the query survey using
WWW and 200 respondents.
Key words: wet, dry, behavior
ドライ・ウェットな物体(分子を含む)~人に共通する運動・行動パターンについて、以下の図にまとめた。

本研究は、人間のどのような行動様式が、周囲の他者に、どのような感覚で捉えられるか、すなわち、人間の行動様式が周囲の他者に与える感覚、の発生
するメカニズムに関するものである。
人間の行動様式が、周囲の他者に、対人関係を通して与える感覚(対人感覚)には、冷たい-温かい、ドライ-ウェット、明るい-暗いなど、さまざまなものがある。
社会心理学の分野では、このうち、冷たい-温かいの対人感覚軸について、従来から、その重要性が指摘されて来た。例えば、Asch(1946)によれば、
人の性格を表す特徴の中に、ある一言が入ることによって、その人物の全体的印象が大きく変わること、具体的には、「温かい」もしくは「冷たい」という形容
詞を入れ替えただけで、その人物の最終的な全体印象に大きな違いが生れることが、指摘されている。この場合、人物の全体印象を決定づけるのに、「冷たい-
温かい」の対人感覚軸が、「中心的特性」として、大きな影響力を持っているとされている。
1.2 ドライ・ウェットな行動様式解明の必要性・メリット
しかし、今までの社会心理学では、同じ対人感覚でも、ドライ-ウェットの軸については、ほとんど注目を集めていない。すなわち、どのような行動様式が、ドライ・ウェットな感覚を、周囲の他者に対して与えるか、また、そうした感覚を与えるメカニズムがどのようなものか(ドライ・ウェットな対人感覚発生のメカ ニズム)については、従来はほとんど研究されてこなかった。
一方、従来の日本・欧米文化比較論においては、「日本文化=ウェット、欧米文化=ドライ」とする説明がしばしばなされてきた(例えば、松山幸雄
(1978)、西尾幹二(1969)など)。この印象が本当に正しいかどうかは、杉本・マオア(1982)のような「日本がドライで、欧米がウェットである」という反論もあり、別途確認が必要であるが、日本・欧米文化を比較する際に、その視点をドライ・ウェットの軸で捉えることについて、現在まで特に異論は出ていない。
今のところ、なぜ日本(欧米)文化がウェット(ドライ)と捉えられるかについての深い議論は国際的にはなされていないが、今後、世界の文化を心理的側面か
ら分析していく場合には、ドライ・ウェットさの次元が重要な役割を果たす可能性が十分ある。例えば、各文化を取り巻く自然環境との関連では、「乾燥環境=
遊牧・牧畜文化(欧米など)=ドライな行動様式が主流、湿潤環境=農耕文化(日本、東アジアなど)=ウェットな行動様式が主流」という相関が成立すること
で、ドライ・ウェットさの次元が、世界の文化の分類把握をより容易にする効果を持つことが予想される。
この他、ドライ・ウェットな行動様式の解明は、例えば、
・男女の心理面での性差との関わりで、男女どちらがよりドライ・ウェットな行動様式の持ち主かを調査・分析し、男女それぞれにより適した活動分野を探ること、
・官庁や企業などの組織の生産性や成員の満足度を向上させる上で、最適な組織の湿度はどの辺りにあるかを知ることで、組織に対して対人関係面での湿度調節
を提案するメンタルなコンサルティング業務ができるようにすること、
などに対して有用であると考えられる。
以下では、人間のどのような行動様式が、なぜドライ・ウェットと感じられるかについて、本来ドライ・ウェットな感覚を人間に与える気体・液体の持つ性質か
ら類推する形で、説明している。
2.1 気体・液体分子運動パターンの説明
人間のどのような行動様式が、なぜドライ・ウェットな対人感覚を生むかについて、まず、本来人間にドライ・ウェットな感覚の相違を与える、物理的な気体・
液体の性質の相違を生み出すメカニズムを、改めて確認する必要がある。ドライな感覚を与えるのが、気体で、ウェットな感覚を与えるのが、液体である。両者
の相違を見るには、視点が、分子レベルまで小さくなる必要がある。
具体的に気体分子と液体分子の、両者の相違を生み出しているのは、
[1]運動エネルギーの大きさ(動きの度合い)の違い
液体では、動き回る度合い(運動エネルギー)が小さい(あまり動き回らない)。
気体では、動き回る度合い(運動エネルギー)が大きい(よく動き回る)。
[2]「分子間力」の働く度合いの違い
液体では、分子同士の間に、互いの距離を縮めて、互いに引き付け合い、くっつき合い、足を引っ張り合ったり、牽制し合う、「分子間力」という引力が、大き
く働いている
気体では、分子同士の間に、上記の、互いに相手と近づき、引きつけ合う「分子間力」が、ほとんど働いていない
である。
「分子間力」の働く度合いが、液体で大きく、気体で小さいのは、
(1)液体分子では、運動エネルギーが小さいため、もともと分子間に存在する、相互に引きつけ、くっつき、牽制し合う力(分子間力)を振り切って動き回る
ことができず、分子間力のいいなりになっている
(2)気体分子では、動き回る度合い(運動エネルギー)が大きいため、分子間力を振り切って動き回ることができ、「分子間力」の影響から自由になっている
ためである。
「分子間力」の働く度合いが、液体で大きく、気体で小さいのは、
(1)液体分子では、運動エネルギーが小さいため、もともと分子間に存在する、相互に近づき、引きつけ、牽制し合う力(分子間力)を振り切って動き回るこ
とができず、分子間力のいいなりになっている
(2)気体分子では、動き回る度合い(運動エネルギー)が大きいため、分子間力を振り切って動き回ることができ、「分子間力」の影響から自由になっている
ためである。
2.2 物体一般への適用
液体の水は、指先で触れると、濡れて皮膚にくっつき、まとわりついて離れようとしない。その点、液体の水と指先との間には互いにくっついたままの状態で
いようとする引力が働いていると言える。また、液体の水は指先を動かさない限り、いつまでも同じところに留まって動かない。その点、液体の水は、気体の水
蒸気などに比べて、運動・活動性が低いと言える。
そこで、さらに考えを拡張すると、物体一般において、
(1)物体(分子~人間)の、運動・活動・移動・流動性が高く、相互間に働く引力(結合力)が小さい(互いに離れる)場合、ドライである(乾いている)と
感じられる
(2)物体(分子~人間)の、運動・活動・移動・流動性が低く、相互間に働く引力(結合力)が大きい(互いに離れない)場合、ウェットである(湿ってい
る、濡れている)と感じられる
という法則が成立する、と推定される。
この推定が正しいことを説明するには、分子よりもずっと人間に近いサイズの物体において推定が成立することが必要となる。そうしたより人間寄りのサイズの
物体としては、例えば、海岸や河川、砂漠に分布する砂の粒や、人間(特に女性)の髪の毛、大豆を発酵させて作る納豆、溶けた糖分を冷やして固めて作った菓
子のキャンディ、より大きなものとしては、卓球用のプラスチックボールや、バレーボールなどがあげられる。
乾いた(ドライな)砂は、触っても手にくっつかずサラサラと一粒ずつバラバラに離れて落ちる(接着・粘着性がない)。また、風が吹くとそれに従ってサラサ
ラと移動する(流動性がある)。これに対して、湿った、濡れた(ウェットな)砂は、触ると手にくっついてそのまま離れようとしない(接着・粘着性があ
る)。また、団子状にひとかたまりになって、風が吹いても動こうとしない(流動性がない)。
水に濡れた髪は、髪の毛同士がひとまとまりになってなかなかバラバラになってくれないし、風が吹いてもなびいて動こうとしない。一方、乾いた髪は、風にな
びいてサラサラ・バラバラと一本ずつ個別に分離して動き、流動性がある。
納豆は、かき回すとネバネバとした糸を引いて互いに糸で接続し、くっついて一つにまとまった状態で静止しようとする。その際、一粒の豆と豆との間を引力が糸を引く形で働いており、分子間力相当の力に相当すると考えられる。
表面が溶けた(液体化した)キャンディの粒々は、指先や他のキャンディとベタベタくっついて取れない。一粒ずつ動かそうとしても、互いにくっついて動かす
ことができない。
あるいは、卓球用プラスチックボールやバレーボールは、そのままでは手離れよく一つずつバラバラになって動き回るが、接着剤を表面に広く塗り付けたり、両
面粘着テープ全面に巻き付けるとベタベタ互いにくっつき、結合し合って離れず、一つずつバラバラに独立させることが難しいし、活発に動かそう、飛ばそうと
してもすぐ別のところに接着してしまって動こうとしない。
この場合、こうした物体の接着・粘着性(いったんくっつくと離れようとしない性質)が、互いの間に働く引力(互いに離れずくっつき、接続し合おうとする
力)を大きくし、運動・活動・移動・流動性を奪っていると考えられる。すなわち、物体における互いにネバネバ、ベトベトと互いにくっつこうとする接着・粘
着性が、物体同士を互いに引き合わせ、動きにくくする形で、物体にウェットさをもたらすことになる。これは、例えば接着剤が長時間外部に露出し続けて溶剤
が抜けてベタベタしなくなると、乾いた、ドライになったと感じられることからも例証される。
上記の考えが正しいかどうか確認するために、web質問紙調査を、2002年4月下旬および10月上旬に実施した。調査は、対にした、物体がもたらす 感覚について説明した2つの文章のどちらがよりドライに感じられるか尋ねるもので、1質問項目当たり約200名の回答者という規模で行った。分析した結果、上記の、
(1)触るとサラサラとして手からすぐ離れる(粘り気がない)物体の方が、ベタベタくっつく(触るとネバネバしている)物体よりも、よりドライに感じられ
る。ないし、互いに離れることで、間隔が開いて風通しのよい状態の物体の方が、互いにくっついて風通しの悪い状態の物体よりも、よりドライに感じられる。
(2)バラバラに自由に動き回る物体の方が、互いにくっつき合って動かない物体よりも、よりドライに感じられる。ないし、動きのある物体の方が、動かずに
停滞した状態の物体よりも、よりドライに感じられる。
ことが実際に確認された。
web 質問紙調査(確認用)結果数値へのリンクです。
以上の考えを分かりやすい言葉でまとめると、一般に、粘り気・接着力があり、互いにベタベタくっつき合って動かない物体はウェット、反対に、手からサッと
離れて、互いにサラサラと離れて動き回る物体はドライに感じられる、と言える。
この場合、ウェットな物体は、互いに他の物体とくっつき合おうとし、ドライな物体は互いに離れようとする点、両者は、物体間の相互作用、社会関係の面から見て、対照的な性格を持つと言える。
こうした、分子レベルよりもずっと大きい物体サイズの事例から、前記の分子レベルでのドライ・ウェット感の範囲を物体一般に広げることが可能だと考えられる。
2.3 対人関係への応用
この物体一般におけるドライ・ウェット感覚をさらに人間レベルまで拡張して捉えた場合、水のような液体、空気のような気体が、人間に対してウェット・ドラ
イな感じを与えるしくみと、人間同士が、人付き合いで、互いに相手に対して、ウェット・ドライな感じを与えるしくみとは、互いに共通なのではないか、と考
えられる。
すなわち、物体一般レベルで見られる、運動・移動性および引力の概念を人間に当てはめることにより、
(1)人間が、一カ所に止まってあまり動こうとせず(活発に動き回る度合いが小さく)、周囲の他者と互いに近づき、くっつき合い、離れようとしない(引力
が大きく働いている)場合、対人関係に(運動エネルギーが小さく分子間力の大きい液体分子同様)ウェットな感覚が生まれる。
(2)人間が、一カ所に止まらずにあちこち移動・流動し(活発に動き回る度合いが大きく)、周囲の他者との間に互いに近づいたり、くっつき合ったりせず、
離れようとする(引力があまり働いていない)場合、対人関係に(運動エネルギーが大きく分子間力の小さい気体分子同様)ドライな感覚が生まれる。
と考えられる。
この場合、物体サイズを分子サイズから人間サイズへと揃えて眺めることにより、両者に共通して働く、物体の動き回るエネルギーを「運動エネルギー(分子レ
ベル)」=「運動・活動・移動・流動性(物体~人間レベル)」、物体間で互いにくっつき、接続・結合・集合し合い、牽制・束縛し合う力を「分子間力(分子レベ
ル)」=「引力、結合力(物体~人間レベル)」として、同様に捉える事が可能となる。
上の説明を一言でまとめると、活動や運動面での活発さの差、およびそれによってもたらされる、分子間力相当の引力の大小から、それぞれウェット・ドライな
対人感覚の分化が生じる、ということになる(この説明を考案したのは1991~1992年頃、当時の資料へのリン
クはこちら)。
この場合、人間においては、物理的な肉体による活動・運動や身体同士の引っ張り合いと並んで、具体的な物理運動を伴わない心理的な活動・運動や相互牽制、
接近をも同時に考える必要がある。例えば、机の前に座ったままで、知的好奇心に満たされて様々な分野の書籍を読みあさったり、いろいろ活発に物事を考えた
りしている状態では、物理的には不活発だが、心理的には活発に動き回っていると捉えることができる。あるいは、物理的に離れた地点に暮らしている恋人同士
が電話によるコミュニケーションで強い心理的一体感を抱いている状態では、物理的には遠いままでも、強い心理的引力が両者の間に働いていると捉えることが
できる。
このように、人間の活動・運動や引力については、物理的なものと心理的なものに分けられるが、以下ではこのうち心理的な方を主に取り上げる。人間の身体の
物理的な活動・運動や身体同士の引っ張り合いは、あくまで身体内部の神経系の活動を反映した表面的なものに過ぎず、神経系の働きに基づく心理的な活動・運
動や引力の方が、人間の行動をより根源的に決定していると考えるためである。
対人感覚でドライな感覚を与える運動・活動性の実態は、人間に内在する、あちらこちらの互いに離れた地点間を活発に移動しようとする心的指向(空間移動指
向)、および、今まで行ったことのない地点・地域へも進んで拡散していこう、新天地を積極的に切り開こう(新規対象を開拓しよう)とする心的指向(拡散指
向)である。この場合、物理的居場所や心理的に興味ある分野を変えることで生活上の雰囲気を一新し、新たな刺激を得たいという欲求や、今まで出会ったこと
のない未知のものごとに対する好奇心、言い換えれば(今まで~ここしばらくの間)経験したことのない新たな(新鮮な)情報に接したいという心的衝動(新規
情報受信衝動)が運動・活動性の原動力となっている。これとは反対の、一カ所に静止して動こうとしない定住・定着・不拡散指向は、運動・活動性の欠如を意
味し、対人感覚ではウェットな感覚を与える。
一方、対人感覚においてウェットな感覚を与える心理的な引力、結合力の実体は何であるか?それは、人間に内在する、周囲の他者と心理的に近くなろう、近い
状態でいようとする指向(心理的近接指向)である。
すなわち、(心理的に)相互に引き合うということは、互いの(心理面での)存在位置を次第に近づけていき、最終的には抱き合って一つになる(一体化する、
融合する)、そして互いにくっついて離れないということである。相手への心理的な距離を縮小していき、最終的にはゼロにしよう、接続しよう、つながろうと
する指向が強いと、それが互いの間であたかも引力のように感じられ、対人感覚においてウェットな感じをもたらす、といえる。
この心理的近接指向については、以下のリンクで詳細に説明している。
以上の説明を分かりやすい言葉でまとめると、対人関係において、
(1)心理的に相手にベタベタくっついて離れようとしない(粘着・接着・接続・結合・集合性を持った)、そして、そのまま動こうとしない(定着・定住性を持っ
た)人はウェットに感じられる
(2)相手に対してあっさりとして深入りせず、すぐサラリと離れる(非粘着・非接着・切断・離散性の)、そして、あちこち活発に動き回って移動する(運動・活
動・移動・流動性を持った)人はドライに感じられる
と考えられる。
この場合、粘着・接着力は、互いに近づき、引きつけ合い、くっつき合うことを指向する点、引力の一形態と言える。この粘着・接着力は、また、人や物をその
場に引き止めて離さず、動けなくする非移動(活動、運動)化=定着・定住化の効果も併せて持っている。
物体にせよ、人間の心理にせよ、相手にベタベタと粘着的にまとわりついて離れず、そのまま動こうとしない場合は、皆共通にウェットに感じられ、その逆は共
通にドライに感じられると推定される。
上記の説明から、ドライ・ウェットな人間行動が、実際の気体・液体分子運動のアナロジーとして捉えられると推論される。すなわち、(1)物理的な分
子の運動エネルギーの大小に準えられる、心理的な活動・運動性の大小、および、(2)分子同士における分子間力の強弱に準えられる、互いに心理的にくっつ
き合おう、近づこうとする指向の強弱に応じて、人々はドライ・ウェットな性格を備え、行動様式を取るようになると捉えることが可能だと考えられる。
この考えをもとに、ドライ・ウェットの次元に乗っていると考えられる人間の行動様式が具体的にどのようなものであるかを詳細に抽出する作業を行った。
抽出に当たっては、日本を含めた東アジアの人々の行動様式がウェットで、欧米的な行動様式がドライという印象が一般に持たれているという視点に立って、幅 広く日本・欧米文化比較論の文献調査を20~30冊程度(研究者の書いた学術書に限らず、新聞記者やビジネスマンなどが書いたエッセイも含む)について行 い、ドライ・ウェットな行動様式が具体的にどのようなものであるかを把握した(1992~1993年、当時参照した文献の一覧へのリンクはこちら)。
この調査結果をもとに、ドライ・ウェットと想定される行動様式を、まず30程度大まかに抽出した(1993
年頃、当時の資料へのリンクはこちら)。その後、より具体的で詳細な内容を持つ行動様式を、できるだけ多様で網羅的となるように、60~70程度
抽出した(1996~97年頃)。この間、互いに内容面で近い、重なる項目同士をマクロな視点からグループ化・分類する作業をKJ法を用いて継続的に行
い、「個人主義-集団主義」「自由主義-規制主義」といった、行動様式の大まかな分類項目を抽出した(~1999年頃)。
なお、既に存在する大分類と内容面で似ていても、ニュアンスや視点が違うと判断した行動様式については、多様な分析視点を持つ上からも区別した方がよいと
考え、別の分類項目として立てた。また、分類項目抽出作業自体はKJ法を用いて筆者独りの力で簡単に行え、また10以上の十分な分類項目数を最初の作業で
すぐに得られたので、因子分析など分類項目抽出のための統計的解析手法は特に使用しなかった。
ドライ・ウェットと考えられる行動様式の分類や詳細項目の抽出を行なった主な期間は、1992~1999年の5~6年間であるが、その後も断続的に項目追
加や分類の見直しを行っている。抽出・分類は、全て筆者一人で行った(抽出・分類に当たっての共同作業者はいない)。
具体的な行動様式項目の抽出過程においては、分類を、更に階層化・細分化するなど見直して修正した方がよい場合もいくつか生じたので、その都度、分類のあ
り方を柔軟に変更した。2001年3月現在では、2つの大分類、8つの中分類の下に、17の小分類が存在する形にまとめている。
このように収集・分類したドライ・ウェットな行動様式が、現実の気体・液体分子運動パターンとの類推、具体的には、活動・移動性の有無、心理的に近接する
指向の強弱によって一通り説明できることを確認した。説明できるとする根拠については、次の「ドライ・ウェットな行動様式の詳細な説明」の項を参照された
い。
ここでは、上記抽出結果をもとに、具体的にどのような人間の行動様式が、ドライ・ウェットさと関連があるかについて、詳細に説明する。
まず、筆者が抽出した、ドライ・ウェットの次元上に乗っていると想定される行動様式の分類内容を一言で説明したものを、表にまとめた。
ドライ・ウェット行動様式一言説明の表へのリンクです。
次に、抽出したドライ・ウェットな行動様式の詳細な内容を、それらがどのように活動・移動性の有無、心理的に近接する指向の強弱によって説明できるかも含め、一通り述べる。
●A.心理的近接指向(ウェット)-非近接指向(ドライ)
他者と心理的に近づき(距離を縮め)、くっついて、離れようとしない指向の強さに関する。
◎A1.他者との心理的位置の同一・共通化(ウェット) -相違・差異化(ドライ)
心理的に他者のいるところへ行こう・集まろうとするかどうかについての次元が存在する。すなわち、他者と心理的に近接するためには、他者と同じところ(心
理的位置)を占める必要があり、そのために人々は集団を作ったり、密集したり、同調行動を取ったりする。
○A1.1 集団主義(ウェット)-個人主義(ドライ)
| A1.1 | ドライ=個人主義 | ウェット=集団主義 |
|---|---|---|
| 定義 | 互いに一人ずつ単独・個別にバラバラに動こうとする | 互いに集まり、まとまって動こうとする |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 単独・ひとりで行動するのを好む | 集団・団体で行動するのを好む |
| 2 | 他者からの分離・独立を好む | 他者との一体化・融合を好む |
| 3 | 自分個人の利益を優先する | 自分の属する集団の利益を(個人の利益よりも)優先する |
| 4 | ひとりで他者とは別の道を歩むのを好む | ひとりで他者とは別の道を歩むのを好まない |
| A1.2 | ドライ=広域分散指向 | ウェット=密集指向 |
|---|---|---|
| 定義 | 互いに広い領域に散らばる | 互いに狭い領域に密集する |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 広い空間に分散していようとする | 狭い空間に密集していようとする |
| 2 | 一人ずつ個室にいるのを好む | 多人数で大部屋にいるのを好む |
| 3 | ものの見方が客観的である | 客観的でない |
| 4 | ものごとを見る視野が広い | ものごとを見る視野が狭い |
| A1.3 | ドライ=多様性の尊重(異質指向) | ウェット=画一(同質)指向 |
|---|---|---|
| 定義 | 互いの多様性を重んじる | 互いを画一的な枠にはめようとする |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 横並びであろうとしない | 周囲の他人と横並びであろうとする |
| 2 | 自分とは異なる意見を持つ人に対して寛容である | 自分とは異なる意見を持つ人に対して寛容でない |
| 3 | 人々の多様性を認める | 人々を画一的な枠にはめようとする |
| A1.4 | ドライ=反同調指向 | ウェット=同調指向 |
|---|---|---|
| 定義 | 取る行動を互いに合わせようとしない | 取る行動を互いに合わせようとする |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 周囲の皆と違ったことをしようとする | 周囲の皆と同じことをしようとする |
| 2 | 他人の真似をするのを好まない | 他人の真似をするのを好む |
| 3 | 個性的であろうとする | 没個性的であろうとする |
| A1.5 | ドライ=非主流指向(反権威主義) | ウェット=主流指向(権威主義) |
|---|---|---|
| 定義 | 自分の取る意見について主流でなくて構わないとする | 自分の取る意見について(すでに認められた)主流派の後を付いて行こうとする |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 少数派に属するので構わないとする | 主流派の一員でいようとする |
| 2 | 権威あるとされる者の言うことを信じにくい | 権威あるとされる者の言うことを信じやすい |
| 3 | ブランドにこだわらない | 物を購入するときブランドにこだわる |
◎A2.他者との関係・縁故の構築(ウェット) -非構築(ドライ)
他者との間に関係・縁故を積極的に築こうとするかどうかについての次元が存在する。互いに心理的引力によって他者を指向する者同士が、互いに指向し合った
他者と新たに心理的に結合・接続した状態をそのまま維持することで、縁故を作り出す。
○A2.1 関係・接続指向(ウェット)-非関係・切断指向(ドライ)
| A2.1 | ドライ=非関係・切断指向 | ウェット=関係・接続指向 |
|---|---|---|
| 定義 | 他者との間であまり人間関係を持とうとしない(関係を切ろうとする) | 他者との間に積極的に人間関係を持とう、つながろうとする |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 他人との触れ合いを好まない | 他人との触れ合いを好む |
| 2 | 周囲の他者に良い印象を与えようとは特に気にしない | 周囲の他者に良い印象を与えようといつも気にする |
| 3 | 人付き合いのあり方がよそよそしい | 人付き合いのあり方が親密である |
| 4 | 自分の内面を他者に開示したがらない | 自分の内面を他者に開示したがる |
| A2.2 | ドライ=非縁故指向 | ウェット=縁故指向 |
|---|---|---|
| 定義 | 他者との関係を持つ上で既存の縁故の有無を問わない | 既に結び付き(縁故)のある他者との関係を優先する |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 縁故(コネ)を重んじない | 人付き合いで縁故(コネ)を重んじる |
| 2 | 親分子分関係を好まない | 人付き合いで親分子分関係を好む |
◎A3.行動決定の自由(ドライ)-不自由(ウェット)
自分の思った方向に自由に行くことができるかどうかについての次元が存在する。互いの間に心理的に近接しようとする引力が働いていると、その引力がしがら
みとなって、人々は心理的に自由に動けなくなる。
○A3.1 規制主義(ウェット)-自由主義(ドライ)
| A3.1 | ドライ=自由主義 | ウェット=規制主義 |
|---|---|---|
| 定義 | 互いに自由に行動しよう(動き回ろう)とする | 互いに行動を規制し合う |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 行動の自由を規制されることを好まない | 行動の自由を規制されることを好む |
| 2 | 互いに自由に行動することを許す | 互いに相手の行動を牽制し合う(足を引っ張り合う) |
| 3 | 互いに束縛しあうのを好まない | 互いに束縛しあうのを好む |
| 4 | 抜け駆けを許す | 集団内で一人だけの抜け駆けを許さない |
| 5 | 失敗を犯した本人のみの責任とする | 一人の犯した失敗でも周囲の仲間との連帯責任とする |
◎A4.行動の自己決定(ドライ) -非決定(ウェット)
自分の行動の決定が自分だけでできるかどうか(他者の意向に沿う必要があるかどうか)についての次元が存在する。心理的な引力が働いていると、互いに自分
の行動が自分一人では決められず、周囲の他者の動向次第になってくる。
○A4.1 相互依存指向(ウェット)-独立・自立指向(ドライ)
| A4.1 | ドライ=独立・自立指向 | ウェット=相互依存指向 |
|---|---|---|
| 定義 | 互いに独立・自立して行動する | 互いに依存し合う(もたれ合う) |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 互いに自立しているのを好む | 人付き合いで互いにもたれあうのを好む |
| 2 | 独立心が強い | 依頼心が強い |
| 3 | 甘えを嫌う | 互いに甘えあおうとする |
| 4 | 派閥を作るのを嫌う | 派閥を作りたがる |
| A4.2 | ドライ=自律指向 | ウェット=他律指向 |
|---|---|---|
| 定義 | 自分で自分の意思を決められる | 自分の意思を自分だけでは決められず、周囲に決定を任せる |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 自分の意見を持っている | 周囲の意見に左右されやすい |
| 2 | 周囲の流行に振り回されない(左右されない) | 周囲の流行に振り回される |
| 3 | 自分の今後の進路を自分一人で決められる | 決められない(周囲の影響を受ける) |
◎A5.プライバシーの確保(ドライ) -不確保(ウェット)
自分の私事を秘密にすることができるかどうかについての次元が存在する。他者に対して心理的近接を試みることは、その分他者および自己のプライベートな領
域を侵害する可能性を絶えずはらんでいる(他者に近づく分、自分の状態が他者に丸見えになる)。また、相手との距離を近く保とうとする心理的引力の働いて
いる状態では、互いに他者に対して何らかの行動を起こすことで、反作用として、他者から、他者自身が何を考えていたかフィードバックを得ることができ、互
いのプライバシーは侵害される。
○A5.1 反プライバシー(ウェット)-プライバシー尊重(ドライ)
| A5.1 | ドライ=プライバシー尊重 | ウェット=反プライバシー |
|---|---|---|
| 定義 | 互いのプライバシーを重んじる | 互いのプライバシーを重んじない |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 他人のプライバシーには干渉しない | 他人のプライバシーに介入したがる |
| 2 | 互いに監視しあうのを好まない | 互いに監視しあうのを好む |
| 3 | 他人のうわさ話をするのを好まない | 他人のうわさ話をするのを好む |
| 4 | 当局への密告を好まない | 当局への密告を好む |
| 5 | 自分が他人にどう見られるかを気にしない | 自分が他人にどう見られるかを気にする |
| 6 | 化粧をするのを好まない | 化粧をするのを好む |
◎A6.行動の明快さや合理性の確保(ドライ) -不確保(ウェット)
自分の行動に明快さや合理性を保つことができるかどうかについての次元が存在する。個人が、当初単独で明快・合理的に行動しようと思っても、周囲から引力
という名の横やりが入ったり、周囲の人々の動向が気になると、行動はいつのまにかあいまいで非合理的なものになってしまう。
○A6.1 あいまい指向(ウェット)-反あいまい(明快)指向(ドライ)
| A6.1 | ドライ=反あいまい(明快)指向 | ウェット=あいまい指向 |
|---|---|---|
| 定義 | 自分の取る意見が率直・明快である | 自分の取る意見がが率直・明快でない |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 物の言い方が率直である | 遠回し・婉曲である |
| 2 | 物事の白黒をはっきりさせようとする | あいまいなままにとどめようとする |
| 3 | 自分の今後の進路をはっきりさせようとする | あいまいなままにとどめようとする |
| A.6.2 | ドライ=合理指向 | ウェット=非合理指向 |
|---|---|---|
| 定義 | 物事に対して心情的に割り切って、合理的に行動する | 物事に対して心情的に割り切ることができず、合理的でない |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 考え方が合理的である | 非合理的である |
| 2 | 考え方が科学的である | 非科学的である |
| 3 | 宗教を信じない | 宗教を信じる |
◎A7.集団の開放性の確保(ドライ) -不確保(ウェット)
集団の表面を閉じようとする力(表面張力)が働いているかどうかについての次元が存在する。集団内部に互いに引き付け合ってまとまろうとする力(集団凝集
性)が強ければ、集団は外部に対して門戸を閉ざすこととなる。
○A7.1 閉鎖指向(ウェット)-開放指向(ドライ)
| A7.1 | ドライ=開放指向 | ウェット=閉鎖指向 |
|---|---|---|
| 定義 | 開放的な集団にいるのを好む | 閉鎖的な集団にいるのを好む |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 開放的な人間関係を好む | 閉鎖的な人間関係を好む |
| 2 | 身内・外の区別にこだわらない | 人付き合いで身内・外の区別にこだわる |
| 3 | 集団外のことにも関心を持つ | 自分の属する集団内のことにしか関心がない |
| 4 | 仲間内以外の人も受け入れる | 付き合いで仲間内以外の人を排除する |
●B.心理的運動・活動・移動・流動指向(ドライ)-静止・非活動・定着・定住指向(ウェット)
あちこち活発に動き回ろう、移動しようとする指向の強さに関する。
◎B1.動的エネルギー・移動性の確保(ドライ) -不確保(ウェット)
心理的な運動エネルギーが大きいかどうかについての次元が存在する。自分から進んで積極的に動き回ろう、拡散しようとする心理的な運動エネルギーが大きい
と、他者からの心理的な引っ張りや牽制から自由になれる。
○B1.1 静的指向(ウェット)-動的指向(ドライ)
| B1.1 | ドライ=動的指向 | ウェット=静的指向 |
|---|---|---|
| 定義 | よく動き回ろうとする | 動き回ろうとしない |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 動作がすばやい | 動作がゆっくりである |
| 2 | 物事の決定のテンポが速い | テンポがゆっくりである |
| 3 | 行動が積極的である | 行動が消極的である |
| B1.2 | ドライ=非定着(移動・拡散)指向 | ウェット=定着指向 |
|---|---|---|
| 定義 | 今いる土地や組織に定着せず絶えず移動しようとする | 今いる土地や組織に定着しようとする |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 絶えず移動する(遊牧)生活を好む | 一カ所に定住する(農耕)生活を好む |
| 2 | 人事が流動的なのを好む | 人事が停滞しているのを好む |
| 3 | 短期的契約関係を好む | 長期にわたる取引関係を作るのを好む |
| 4 | 常に新分野へと拡散しようとする | いつまでも今までいた分野にとどまろうとする |
| B1.3 | ドライ=独創指向 | ウェット=前例指向 |
|---|---|---|
| 定義 | 誰も行ったことのない未知の領域に進もうとする | 自分が今までいた領域にとどまろうとする |
| No. | [例↓] | [例↓] |
| 1 | 行動の基準を新規の独創的なアイデアに求める | 行動の基準を既存のしきたり・前例に求める |
| 2 | 前人未踏のことにもあえて挑戦する | 前例があることだけをしようとする |
| 3 | 現状を変革するのを好む | 現状をそのまま追認するのを好む |
上記の今回抽出した詳細な内容から、性格、行動様式などにおけるドライ・ウェットさの概念が、集団主義・個人主義、自由主義・規制主義、プライバシー尊重
の有無など、これまで個別にバラバラに議論されてきた、社会学、心理学や政治学上の様々な概念をまとめ、関連づける上位概念として、今後より有望視、重要視されるようになることが予想される。
例えば、行動様式や文化の分類について、上位概念としてのドライ・ウェットさを導入することで、従来は別々に捉えられてきた集団主義-個人主義、規制主義-自由主義の概念が互いに「集団主義と規制主義とは、どちらもウェットである」、「個人主義と自由主義とは、どちらもドライである」のようにリンク付けて捉えられるようになる。そして、このことから、例えば、「個人主義と自由主義とは(両方ともドライであり)互いに関連し合って同時に起こる、見られる」、「アメリカのような個人主義の国(人)は、同時に自由主義の国(人)である」ということが言えるようになる。
つまり、今回抽出した、集団主義-個人主義、規制主義-自由主義といった、様々なドライ・ウェットな性格・行動様式は、互いに独立・バラバラに発生するのではなく、ドライに属するもの同士(個人主義、自由主義、プライバシー尊重・・・)、ウェットに属するもの同士(集団主義、規制主義、反プライバシー・・・)、互いに関連し合って同時並行的に発生する、観察されるものであると言える。
上記の抽出した行動様式が本当にドライ・ウェットと感じられるかどうかについて、個別の行動様式項目毎に「この行動様式は、ウェット・ドライのどち
らに感じられますか?」と尋ねるweb質問紙調査を1999年5~7月にかけて、1質問項目当たり約200名の回答者という規模で行い、当方の上記の
考え方がほぼ正しいことを確認した。
上記結果から、
(1)ドライな行動様式の人は、対人関係において、運動・活動性が高く、相手へと近接しようとする指向が弱い人である
(2)ウェットな行動様式の人は、対人関係において、運動・活動性が低く、相手へと近接しようとする指向が強い人である
とまとめられる。
分かりやすく言い換えれば、対人関係で、互いに他者とベタベタくっつき合って動かないのが好きな人がウェットで、他者とバラバラに離れて活発に動き回る
のが好きな人がドライということになる。要約すれば、「相互離散・移動=ドライ、相互近接・定着=ウェット」ということになる。
人間が、対人関係の中で他者に与えるドライ・ウェットな感覚は、運動エネルギーの大小や、引力・粘着力(分子間力相当)の強弱という点で、それぞれ気体・液体分子や、乾いた・湿った物体一般が人間にもたらす感覚(ドライ・ウェット)と、本質的に同じ起源を持つ、と考えられる。
引用文献
Asch,S.E. (1946) Forming impressions of personality : Journal of
Abnormal
and Social Psychology, 41,258-290
松山幸雄(1978) 「勉縮」のすすめ 朝日新聞社
西尾幹二(1969) ヨーロッパの個人主義 講談社
杉本良夫,ロス・マオア(1982) 日本人は「日本的」か-特殊論を超え多元的分析へ-
東洋経済新報社