製品設計のドライ・ウェットさについて

2003.6-2004.7 大塚いわお



家電機器、情報機器、AV機器などの製品は、大きく分けて、ドライな作りの製品と、ウェットな作りの製品とに分かれる。

ウェットな作りの製品は、以下のような特徴を持つ。

(1)[閉鎖指向な作り]自社内部で閉じた作りになっている。部品が各社独自の部品を使用しており、他社との互換性がない。インタフェースが外部に対して非公開となっている。周辺機器は、その会社の製品にしか応用が効かず、他社の製品には規格が合わずに取り付けることができない。部品交換は、自社修理のみである。

(2)[集団主義な部品]部品が、作り付け・一体になっていて、ひとまとまりに一体融合化している。部品同士がくっついており、バラバラに分解するのに骨が折れる。例えば、デジタルカメラのように、精密部品が互いに分解困難な形で接合し合う製品がこの代表例である。

ウェットな組織風土の会社が設計し、生み出す製品は、ウェットな作りの製品となることが多い。例えば、ウェットな国民性を持つ日本の電機メーカーが、欧米メーカーの規格に影響されずに設計・製造する家電製品(エアコン、掃除機、冷蔵庫など)、情報・通信機器(デジタルカメラ、携帯電話)、AV機器(DVDレコーダ)、その他システムキッチンなどがこのウェットな作りとなることが多い。

一方、ドライな作りの製品は、以下のような特徴を持つ。

(1)[開放指向の作り]社外に開いた作りになっている。部品が他社と共通化、標準化されており、互換性がある。余所の赤の他人の作った部品を持ってきて交換可能である。インタフェースが外部に対して公開されている。

(2)[個人主義的な部品]製品のバラバラ分解が容易に行える。分解がモジュール単位で簡単に行える。

要するに、ドライな製品は、いろいろな外部会社が作った共通規格のバラバラな部品を集めることで、素人でも簡単に製品が組み立てられる点が特徴である。

ドライな組織風土の会社が設計し、生み出す製品は、ドライな作りの製品となることが多い。欧米の電機メーカーが設計したパソコン(IBM PC)や、欧米の住宅機器メーカーが製造するシステムキッチンとかがその代表例である。

ただし、一見、標準規格に見えるドライな感じのする規格でも、ある一社の製品が勢力を伸長させて、他社の規格を死滅させたことによって生み出された場合がかなり多い(例えば、VHSビデオテープ規格など)。そういう点では、現在、全世界に向かって開かれているかに見える、ドライな標準規格も、ある一社の閉鎖的・独自の規格=ウェットな規格の発展形とも言えるのである。


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