2001.03-2005.04 大塚いわお
ここでは、ドライ・ウェットと想定される性格・態度の分類を、手動ではなく、既に確立された統計手法に基づいて行った結果について説明する。すなわち、心理テストの形でインターネット利用者に回答してもらった結果から、因子分析を行って、抽出した因子の内容を説明する。
従来の、手作業による、分析上の視点が分類間で互いに重なり合っている主観的な分類のあり方が果たして妥当かどうか、また、作業上見落としている分類がないかどうかを検証するために、それぞれが互いに完全に独立している分析上の視点を抽出可能な因子分析にかける必要があった。
そこで、従来抽出した、詳細な性格・態度を表す項目群について、実際に心理テストの形でまとまった数(項目数の10倍以上)の回答者に回答してもらい、その回答結果を因子分析にかけることにした。
心理テストの回答項目は、以前行った調査の結果、有意でドライ・ウェットの差があると判定された項目66個について、ランダムに、ドライ・ウェットのいずれか一方の記述を選択表示した。各項目は、5段階の評定法(とても当てはまる、やや当てはまる、どちらでもない、あまり当てはまらない、ほとんど当てはまらない)で回答してもらい、全項目に回答してもらう毎に、各回答結果に5段階の得点(とてもドライ2点、ややドライ1点、どちらでもない0点、ややウェット-1点、とてもウェット-2点)を付けて、回答者にフィードバックするとともに、付けた得点を回答データファイルに保存した。
回答者の個人識別をするために、回答時にはニックネームの記入を求めた。また、故意に回答データ荒らしを行う者が出現することを想定し、荒らし行為を起こそうとする原因を断つため、心理テスト回答時に裏でデータを集めていることは一切表示しなかった。
心理テストは、2001年2月中旬の約1週間実施し、1046名の回答者から回答が得られた。得られた回答データを、統計分析ソフトウェア(StatView5.0)にかけて、因子分析による因子抽出を行った。回答者の項目毎の回答傾向が似ている項目同士が、同じ因子に属する、と考えられる。
因子抽出は、主因子法によるものであり、値の変換は直交・バリマックス回転を用いた。因子は、固有値1.0以上に限定して分析した。各回答項目は、因子負荷量が0.400以上の場合に限定して分析対象とした。
因子分析の結果抽出された、固有値1.0以上の因子は、全部で16あった。
全般に、手動で分類・抽出した場合と、だいたい同じか、より詳しい内容の因子が抽出された。
手動分類で出てきて、因子分析で出てこなかったのは、同調指向、多様性の尊重、定着指向、独創指向に関する因子であった。
一方、因子分析で出てきて、手動では出てこなかったのは、集団優先-個人優先(因子6)といった「優先」性に関する視点、身内限定-対外関心の保持(因子7)といった「限定」性に関する視点、人間への興味-非人間物質への興味(因子9)といった「興味」に関する視点辺りであった。
以下に、抽出された因子の内容について、表形式で詳述する。
| 回答項目凡例 |
| ドライ |
| ウェット |
| (-)因子負荷量がマイナス |
| 因子番号 | 回答項目 番号 |
因子内容、項目内容 |
| 因子1 | → | 束縛・監視指向(ウェット)-自由・放任指向(ドライ) |
| 24 | 互いに束縛しあうのを好まない | |
| 27 | 互いに監視しあうのを好まない | |
| [説明] 互いに束縛、監視し合うか、それとも束縛や監視をせずに互いに自由に放置、放任されるのを好むかに関する因子である。 |
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| 因子2 | → | 集団化・触れ合い指向(ウェット)-バラバラ・接触回避指向(ドライ) |
| 1 | 集団・団体で行動するのを好む(-) | |
| 2 | 人付き合いで互いにもたれあうのを好む(-) | |
| 5 | 他人との触れ合いを好まない | |
| 17 | 閉鎖的な人間関係を好む | |
| 18 | 他者からの分離・独立を好む | |
| 42 | 何か目的がないと互いに集まらない | |
| 43 | 他者と肌と肌とが触れ合うのを好まない | |
| [説明] 互いに集団、団体で行動して、もたれ合ったり、触れ合ったりするのを好むか、それとも、互いになるべく集まらない、くっつかずに分離しているのを好むかに関する因子である。 |
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| 因子3 | → | 非合理・非科学・主観指向(ウェット)-合理・科学・客観指向(ドライ) |
| 13 | 考え方が合理的である | |
| 29 | 考え方が科学的である | |
| 36 | ものの見方が客観的である | |
| [説明] 合理的、科学的、客観的な考え方や見方を取れるかどうかに関する因子である。 |
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| 因子4 | → | 周囲への従属指向(ウェット)-周囲からの独立指向(ドライ) |
| 46 | 人間関係のしがらみがなく自由に身動きできる(-) | |
| 47 | 周囲の意見に左右されやすい | |
| 57 | 周囲の他者に良い印象を与えようといつも気にする | |
| 60 | 周囲から孤立するのを恐れない(-) | |
| [説明] 周囲とはしがらみなく、切れて独立でいて、自由に動けるか、周囲に左右されたり、周囲のことを気にするかどうかに関する因子である。 |
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| 因子5 | → | 仲間外排除指向(ウェット)-仲間外受入指向(ドライ) |
| 41 | 付き合いで仲間内以外の人を排除する | |
| 56 | 自分とは異なる意見を持つ人に対して寛容でない | |
| [説明] 仲間や自分と同意見の人たちだけで固まり、異質者を排除することを指向するかどうかに関する因子である。 |
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| 因子6 | → | 集団優先指向(ウェット)-個人優先指向(ドライ) |
| 7 | 行動の自由を規制されることを好まない(-) | |
| 63 | 自分の属する集団の利益を(自分個人の利益よりも)優先する | |
| [説明] 行動するに当たって、個人の自由を優先するか、集団の利益を優先するかどうかに関する因子である。 |
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| 因子7 | → | 身内限定指向(ウェット)-対外関心保持指向(ドライ) |
| 33 | 自分の属する集団内のことにしか関心がない | |
| 52 | 人付き合いで身内・外の区別にこだわる | |
| [説明] 自分の身内のことにしか関心がないか、外の世界に関心があるかどうかに関する因子である。 |
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| 因子8 | → | 現状維持指向(ウェット)-変革指向(ドライ) |
| 31 | 人事が停滞しているのを好む | |
| 32 | 現状をそのまま追認するのを好む | |
| [説明] 現状がそのまま続くのを好むかどうかに関する因子である。 |
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| 因子9 | → | 人間への興味(ウェット)-(非人間的な)物質への興味(ドライ) |
| 44 | 人形遊びを好まない | |
| [説明] 人や、人の姿をしたものに興味があるか、人から遠いものに興味があるかに関する因子である。 |
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| 因子10 | → | 派閥・疑似家族関係指向(ウェット)-非派閥・非家族関係指向(ドライ) |
| 35 | 派閥を作るのを嫌う | |
| 45 | 親分子分関係を好まない | |
| [説明] 派閥や疑似家族関係に入るのを好むかどうかに関する因子である。 |
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| 因子11 | → | 婉曲指向(ウェット)-率直さ指向(ドライ) |
| 12 | 物の言い方が率直である | |
| [説明] 率直な物言いを好むかどうかに関する因子である。 |
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| 因子12 | → | ゆっくり指向(ウェット)-速さ指向(ドライ) |
| 14 | 動作がゆっくりである | |
| 30 | 物事の決定のテンポが速い(-) | |
| [説明] 動きや決定が速いのがいいか、ゆっくりのを好むかに関する因子である。 |
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| 因子13 | → | 密集指向(ウェット)-分散指向(ドライ) |
| 3 | 狭い空間に密集していようとする | |
| [説明] 密集状態を好むかどうかに関する因子である。 |
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| 因子14 | → | 名声・権威指向(ウェット)-非名声・非権威指向(ドライ) |
| 10 | 物を購入するときブランドにこだわる | |
| [説明] 対象のブランドや名声、権威に敏感かどうかに関する因子である。 |
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| 因子15 | → | 依頼・依存指向(ウェット)-自立指向(ドライ) |
| 19 | 依頼心が強い | |
| [説明] 依頼心が強く持っているかどうかに関する因子である。 |
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| 因子16 | → | 反プライバシー指向(ウェット)-プライバシー尊重指向(ドライ) |
| 11 | 他人のプライバシーに干渉したがる | |
| [説明] プライバシーに干渉するのを好むか、尊重するかどうかに関する因子である。 |
(c)2001-2005 大塚いわお