ドライ・ウェット行動様式の抽出

1992-2005.05 大塚いわお



ドライ・ウェットの次元に乗っていると考えられる人間の行動様式が具体的にどのようなものであるかを詳細に抽出する作業を行った。

抽出に当たっては、まず、人間のドライ・ウェ,ットな行動様式が、それぞれ気体・液体分子運動パターンと対応づけられるという仮説を立てた。人間を分子並の小さな粒子に例えた場合、ドライな人々の行動は気体分子運動と同じであり、ウェットな人々の行動は液体分子運動と同じであるとする見地から、分子~人間共通の行動様式を「気体的=ドライ」「液体的=ウェット」として整理、分類する作業を行った(1992年頃、当時の資料へのリンクはこちら)。

一方、従来の日本・欧米文化比較論においては、「日本文化=ウェット、欧米文化=ドライ」とする説明がしばしばなされてきた(例えば、松山幸雄 (1978)、西尾幹二(1969)など)。この印象が本当に正しいかどうかは、杉本・マオア(1982)のような「日本がドライで、欧米がウェットである」という反論もあり、別途確認が必要であるが、日本・欧米文化を比較する際に、その視点をドライ・ウェットの軸で捉えることについて、現在まで特に異論は出ていない。

そこで、ドライ・ウェットな行動様式の抽出に当たっては、人間の行動様式を「気体的=ドライ」「液体的=ウェット」とする基盤に立ちつつ、日本を含めた東アジアの人々の行動様式がウェットで、欧米的な行動様式がドライという印象が一般に持たれているという視点に立って、幅広く日本・欧米文化比較論の文献調査を20~30冊程度(研究者の書いた学術書に限らず、新聞記者やビジネスマンなどが書いたエッセイも含む)について行 い、ドライ・ウェットな行動様式が具体的にどのようなものであるかを把握した(1992~1993年、当時参照した文献の一覧へのリンクはこちら)。

この調査結果をもとに、ドライ・ウェットと想定される行動様式を、まず30程度大まかに抽出した(1993 年頃、当時の資料へのリンクはこちら)。その後、より具体的で詳細な内容を持つ行動様式を、できるだけ多様で網羅的となるように、60~70程度 抽出した(1996~97年頃)。この間、互いに内容面で近い、重なる項目同士をマクロな視点からグループ化・分類する作業をKJ法を用いて継続的に行 い、「個人主義-集団主義」「自由主義-規制主義」といった、行動様式の大まかな分類項目を抽出した(~1999年頃)。

なお、既に存在する大分類と内容面で似ていても、ニュアンスや視点が違うと判断した行動様式については、多様な分析視点を持つ上からも区別した方がよいと 考え、別の分類項目として立てた。また、分類項目抽出作業自体はKJ法を用いて筆者独りの力で簡単に行え、また10以上の十分な分類項目数を最初の作業で すぐに得られたので、因子分析など分類項目抽出のための統計的解析手法は特に使用しなかった。(その後、因子分析を行う機会を得た。因子分析結果へのリンクはこちら。)

ドライ・ウェットと考えられる行動様式の分類や詳細項目の抽出を行なった主な期間は、1992~1999年の5~6年間であるが、その後も断続的に項目追 加や分類の見直しを行っている。抽出・分類は、全て筆者一人で行った(抽出・分類に当たっての共同作業者はいない)。

具体的な行動様式項目の抽出過程においては、分類を、更に階層化・細分化するなど見直して修正した方がよい場合もいくつか生じたので、その都度、分類のあ り方を柔軟に変更した。2001年3月現在では、2つの大分類、8つの中分類の下に、17の小分類が存在する形にまとめている。

このように収集・分類したドライ・ウェットな行動様式が、現実の気体・液体分子運動パターンとの類推、具体的には、活動・移動性の有無、心理的に近接する指向の強弱によって一通り説明できることをインターネット上での質問紙調査で確認した。詳細については、ドライ・ウェットな行動様式の詳細分類と説明へのリンクを参照されたい。



引用文献

松山幸雄(1978) 「勉縮」のすすめ 朝日新聞社
西尾幹二(1969) ヨーロッパの個人主義 講談社
杉本良夫,ロス・マオア(1982) 日本人は「日本的」か-特殊論を超え多元的分析へ- 東洋経済新報社



(c)1999-2004 大塚いわお

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