交通型人間と通信型人間
2003.3 大塚いわお

[概要]

社会の中の人間の分類は、大きくは、物理的移動を好む「交通型」と、物理的移動をせずに一通りの用事を通信で済ませようとする「通信型」とに分かれる。この両者の特徴を併せ持つものとして「移動通信型」人間がいる、と考える。


社会の中の人間は、大きく、「交通型」と「通信型」の2タイプに分かれると、筆者は考えている。

ここで、「交通型」人間とは、自動車や電車、徒歩であちこち出歩くのが好きなタイプの人間のことである。観光地でのバカンス、登山、寺社巡礼など、物理空間の移動を好むタイプである。

一方、「通信型」人間とは、ネットバンキング、通信販売を活用したり、在宅勤務をしたりして、自宅から出ずに、通信を活用してほとんどの用事を済ませる、物理空間をほとんど移動しないのを好むタイプである。

従来、「通信型」人間は、あまり外に出歩かないことから、「引きこもり」として病的であるかのような扱いを受けることがあった。しかし、実際には、「通信型」人間も、心理的には、あちこち活発に移動している。

例えばネットサーフィンを楽しむ場合、物理的には自宅にずっといつづけたまま動かないのであるが、パソコンの画面は、ネットサーフィン中、世界のあちこちの場所のサーバーと直に接続することを繰り返しているのであり、そういう点では、ネットサーフィンを楽しむ「通信型」人間は、世界中を瞬時に旅行して回る旅人であるとも言えるのである。

以上述べた、「交通型」と「通信型」人間の特徴を併せ持つのが、「移動(モバイル)通信型」人間である。具体的には、交通機関や徒歩であちこち移動しながら、その都度、携帯電話で他者と会話したり、インターネット接続をしたりするのを好む人々である。

このように考えてみると、上記の説明から、
(1)「交通純粋型」 物理的移動のみを好み、通信を好まない。
(2)「通信純粋型」 物理的移動を好まず、通信で全て済ます。
(3)「移動通信型=交通・通信両用型」 物理的移動も、通信も両方好む。
というように、さらに分類できる。

電話やインターネットが普及していない昔は、「交通型」人間が多かったと言える。ただし、彼らも通信を全く使っていなかったかと言えばそうではなく、郵便で、遠隔地の相手と手紙のやりとりをすることもしばしばあったと考えられる。

携帯電話が普及した現在では、(3)の「移動通信型」人間が、全体に占める割合が一番大きいのかも知れない。はっきりしているのは、光ファイバー網に代表される高速通信回線が普及するに伴って、徐々に「通信型」の人間の総数が増えつつあることであろう。その分、「交通型」人間は、減少傾向にあるのかも知れない。この傾向は、勤務が都心オフィスへの出勤から、在宅勤務に移行することでさらに加速されるであろうと考えられる。

また、現状では、「交通only」「通信only」で生活することは不可能であり、何かしらの形で、両者を複合させる必要が出てくる。例えば、一通りの物事を通信で済ませようとする「通信純粋型」人間は、通信販売の商品などの荷物の物理的移動を行う宅配業者や郵便屋=「交通型」人間が存在しないとそもそも成立しない。


(c)2003.3 大塚いわお

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