勉強ゲーム・アニメについての検討

(c)2000.9-2004.6 大塚いわお


1.勉強ゲーム

ビデオゲームばかりやっていると、学業がおろそかになり、教科成績が落ちる、という批判をよく目にする。試験前なので、ゲーム機を自主的に封印する、といった言い方がよくされる。

「ときめきメモリアル(コナミ、PlayStation他)」「ずっといっしょ(東芝EMI、PlayStation)」のような、学校を舞台にしたシミュレーションゲームでは、文系・理系という項目の数値が増えると、自動的に成績順位が上がり、女の子の興味を引きやすくするようになっている。この場合問題なのは、文系・理系の数値が、実際には何も勉強しなくても、本当の学力の向上とは無関係に、コマンド選択という単純操作だけで簡単に上がってしまう点である。これでは、ビデオゲームは、所詮は遊びだ、本当の勉強の足しにはならないという評価になってしまう。

かといって、従来の学習エデュテイメントソフトでは、「○○について勉強しましょう」という、目標がむき出しになってしまい、問題を解く→正解解説の味気ない繰り返しになってしまう。これでは、学校での授業とあまり変わらず、勉強自体に興味を持つ利用者しか引きつけることができない。

ゲーム性を保ちながら、いかにして、主人公となる利用者が、教科学習を進める手助けをするかが、解決すべき課題となる。例えば、中学~大学受験生にとって、受験の役に立つ知識を得つつ、なおかつゲームとして楽しめるようにするにはどんな内容のゲームを設計、作成すればよいか、という問題を解決する必要がある。「ゲーム○○をクリアできれば、レベル○○の大学に入れるだけの学力が付いている」ということが言えるようになる必要がある。

従来、勉強を優先するために、ゲームから遠ざかっていた、ゲームに無関心だった利用者層を、新たにゲーム利用者層として発掘するにはどうしたらよいかアイデアを提示するのが、本文における筆者の狙いである。
 

○恋愛シミュレーションないし恋愛アドベンチャーゲーム

上記課題についての解決策の一つとして、利用者の性的な衝動、異性への憧れや、恋愛・デートをしてみたい、異性に気に入られたい、エッチなものを見てみたい、といった強力な衝動を、教科学習への起爆剤、推進力として生かすことを考える。

小~高校生向けの恋愛ゲームの形を取る。やさしい数学(算数)・国語・英語などをテーマに、恋愛を続けるためには、教科学習を必須にする。

ゲームの舞台となる学校の等級を、現実の小学~中学~高校のいずれかへと明確化してしまうと、ゲームする層が、それぞれの等級内に限定されてしまうので、架空の「○○学園」などとあいまいにして、いろいろな学年層の利用者をターゲットにできるようにする。ゲームの最初で、学力テストをして、自分の成績結果に合ったところからゲーム本編を開始できるようにする。自分のレベルに合わせて勉強を開始することが出来る点は、「公文式」などと同様である。

主人公と登場する異性との恋愛が進むにつれて、知らず知らずのうちに主人公の教科学習が進んでいるようにする。

以下では、従来の恋愛ゲームと比較しやすくするために、主人公=男性、異性=女性(女の子)と仮定して話を進める。

出て来る女の子は、何か教科上の一芸に秀でているとする。例えば、A子さんは、古文が得意であるが、他はダメだなど。女の子が秀でた教科については、女の子が得意な教科に関する話題を折にふれて持ち出すので、主人公がそれに付いて行かないといけない。女の子がダメな教科については、主人公は、彼女に正しい知識や学習方法を教えないといけない。

出て来る女の子は、何かしらの教科が得意か、勉強に熱心で、主人公に対して、継続的に、該当教科について質問し、主人公が、その教科に対する知識やセンスがないことが分かると、女の子が、その時点で主人公を振ってしまう。女の子とのデートを続けるには、主人公が、教科の知識・センスを、継続的に身につけないといけないことにすれば、主人公に当たるゲームプレイヤは、勉学に身が入るのではないか?

ゲームで、成績と女の子を競うライバルが登場し、勉学上の決戦を行う。負けると、女の子をライバルに取られてしまう。ライバルから女の子を取り返すには、ライバルを上回る成績を収めないといけない。

教科ミニテストが、短い周期で行われるようにする。教科テストでよい点を取らないと(ミニテストの成績合計がよくないと)、その教科に対応した女の子を、デートに誘えない(誘っても断られる)。逆にその教科でよい点を取ると、興味を持った、その教科に対応した女の子が接近して来る。期末テストの1本勝負ではなく(無論、学習内容の総決算となる大型テストも用意すべきであるが)、継続した学習の積み重ねができるようにする。
 

教科テストでよい成績を取り続けて、女の子の好感度がアップすると、エッチな場面が増えるようになる(転んで、パンツ丸見えとか)。

主人公がよい成績を取って女の子に見初められると「一緒にトップ3を目指してがんばりましょう」「同じあこがれの○○高校を目指しましょう」と言ってくれ、勉学を通したステディな関係に入ることができる。すなわち、主人公と女の子が、一緒に勉強することができるようになる。

主人公と女の子とのカップルとしての日常会話の中に、主人公と女の子とで共有されているはずの教科知識を、平然と織り混ぜて話す必要が出て来る。女の子が教科に関する話を振って来て、主人公がそれに適切に答えられないと、女の子の主人公に対する好意度がダウンし、主人公と話すのを拒絶するようにするか、女の子が怒って、主人公に「ロケットパンチ」を見舞う。

女の子は、苦手な教科を持っている。女の子が苦手な教科で、主人公が勉強を手伝って上げると、好感度がアップする。勉強を教えた女の子が、ゲームの中で、実際に教科テストを受ける。テストに出る内容は、主人公が教えた内容そのままである。主人公が正しい内容を教えたおかげで女の子の、その教科の成績が上がると、女の子が主人公を好きになる。主人公がいい加減な(間違った内容の)ことを女の子に教えると、女の子の教科成績が悪くなり、女の子は、主人公を嫌いになる。女の子の成績を上げるには、主人公は、その教科について予め勉強する必要が出て来る。

上記の場合、主人公と、女の子とが、互いの苦手教科を教え合う、という可能性も考えられる。この場合、主人公の得意教科と女の子の苦手教科とが、うまく一致して、相補関係に入らなければならない。

主人公が、苦手な教科を教えてもらう方法としては、年上の女性(女子大生とか)をゲーム中に登場させ、主人公の家庭教師になってもらう、という可能性も考えられる。この場合、主人公は、家庭教師の女性との間で、擬似恋愛を行うことになる。単に勉強の内容だけでなく、効率的な勉強の仕方・ノウハウについても、学べるようにする。アダルトゲームなら、生徒がテストでよい点を取ると、性的に「ご奉仕」してくれる、学校の先生や、メイドあるいは家庭教師を登場させてもよいかも知れない。

逆に、主人公が家庭教師となって、受験生の女の子の勉強の面倒を見る、という手も考えられる。受験生の女の子を合格に導くには、主人公は、それに足るだけの学力を身につけなければならない。この手法を取り入れた恋愛シミュレーションゲームに、主人公が、大学受験の女の子を、個人教授して合格に導く「個人教授(毎日コミュニケーションズ、PlayStation)」が存在する。ただし、このゲームでは、ゲームのプレーヤ層を広く持たせるために、問題が故意に易しくなっており、現実の勉強にはあまり役に立たない、という問題点がある。
 

不良グループが登場して女の子を拉致するが、彼らに対抗するための武器をONにするためのパスワードを、教科で出て来る用語などにする。

勉強で、テストで何点アップする、というのを、直接のターゲットとしてはいけない。教科の内容自体をむき出しにしてはいけない。擬似恋愛を進める過程で、知らず知らずのうちに、教科学習が進むようにする。ゲームに出て来るあの女の子の心を射止めるために、勉強するんだ、というように話を仕向ける。

主人公の学力が高いほど、よいエンディング(恋愛成就など)を迎えられる機会が増えるようにする。ただし、エンディングの条件としては、学力のみを考慮するのでなく、主人公の大局的な学習方法や、何のために勉強するのかといった勉強哲学、どういった人生設計を立てて勉強に臨んでいるか、といった点についても、できれば考慮する。こうした内容について、女の子と意見が合わないか、女の子を納得させる説明ができないままエンディングを迎えると、例え学力が優れていても、バッドエンドとなるようにする(もちろん、主人公の学力が身についていない場合は、無条件でバッドエンドとする)。ゲームの内容は、人生の過程においてなぜ勉強することが必要なのかを利用者に分からせるのに役立つのがよい。

上記では、男性用のゲームであるが、女の子→男の子とし、主人公を女性にして、各画面を設計し直せば、女性用になる。不良に拉致されても、普段の行い(成績)が悪いと、助けて来れない、とか。
 

○ロールプレイイングゲーム

敵を負かして強くなりたい、能力面でレベルアップしたいという、衝動を、教科学習に生かすことも、考えてよいかも知れない。

従来、この手の衝動は、「ドラゴンクエスト(ENIX、SuperFamicom、PlayStation他)」「ポケットモンスター(任天堂、GameBoy他)」などのゲームで活用されてきた。しかし、学力増進の面では、これらのゲームは、役に立たない。出て来る呪文・コマンド・技などの名前は、「ヒャダルコ」とかいった独自の造語であり、現実社会にはそのままでは生かせない、そのゲーム世界限りのものである場合がほとんどである。それらを覚える労力を、そのまま英単語などを覚えることに転用すれば、大きな学習効果があるはずである。そのためには、能力レベルアップへの衝動を、学習意欲の向上へと、転化させる仕組みを作ればよい。

例えば、教科の知識面でより優れた者へ勝負を挑むことを目的として、チームを組んで、あちこちを放浪する、といったシナリオが考えられる。

チームの仲間は、それぞれ得意・不得意な教科分野を持っており、敵がある教科の学習内容をネタにして、チームに攻撃をしかけてくると、チームの中で得意な者がそれに応戦する。チーム員の持つ学習レベルが、敵よりも上であれば簡単に勝てる。各チーム員の学力は、ゲーム利用者の学力に比例するようにする。

敵に向かって使う呪文・コマンド・技を、例えば学習すべき英単語とし、意味や使い方を間違えると、主人公がダメージを受ける。ないし、敵にダメージを与えることができない。

より強い教科学習レベルを持った敵を探し出しては戦う。戦いに勝つ(敵の出した問題が解ける)と、レベルアップする。

敵が問題を出して来て、主人公がそれに答えられないと、敵の主人公に対する次の攻撃が有効になり、主人公がダメージを受ける。

敵毎に、その得意とする教科が決まっており、いろいろな敵が出て来るので、それに対応して、いろいろな内容の教科知識を身につけなければいけない。

敵を倒すと、その敵が自分たちのチームの一員になるようにすることで仲間を増やす楽しみが、この手のゲームには見られるが、その際、敵がチームの一員になろうとする確率が、主人公の学力が強いほど高くなるようにする。そうすることで、学力がないと、チームの仲間が増えにくくなるようにする。

敵の中でも、ラストボスが、教科上の最終仕上げとなる問題を出す。ラストボスをクリアすることで、一定水準の学力を付けたことが証明される。資格試験とかにも使えるかも知れない。

主人公の学力が高いと、封印をより解きやすくするとか、移動速度を大きくすることができるとか、主人公の学力に比例していろいろ能力面での特典を付けるようにする。

ゲームを進める上での鍵となるアイテムが、学力が一定以上ないと、手に入らなくする。利用者が結界を破るなどして、アイテムを手に入れる際に、パスワードを要求するようにし、そのパスワードは、教科学習上のキーワードであるようにする。パスワードがどんなものであるかを想像させるために、近くの石版などにヒントを書いておく。ヒントから連想されるパスワード内容は、日頃教科書をちゃんと読んでいる者にはすぐ分かるような内容にする。
 

○競技ゲーム

競技に勝つことで、目標達成感、他者に対する優越感を味わおうとする衝動に対応する。各社から発売されている、自動車レースゲームや野球ゲームなどがこれに当たる。

勉強を、スポーツ競技に例え、主人公が、教科修得の度合いを巡って、敵やライバルと対戦する。

例えば、野球でボールを投げる代わりに、相手に問題を「投げて」、相手が正答したら、問題の難易度に応じて、ヒット~ホームランと見なす。相手が誤答したら、アウトとする。

あるいは、マラソンのレースの代わりに、主人公が問題に正答すればするほど、前により速く進めるようにし、ひいては、ゴールにより短時間で到達することを可能とする。中盤過ぎから、問題の出て来る頻度や難易度を徐々に上げて行き、主人公の学力面でのスタミナを奪うようにする。

格闘技で、相手に対して、運動技の代わりに、「教科問題技」をかける。どの問題が一番解くのが難しいかを、主人公が判断し、それを相手に対してかける。主人公が相手に対してかける技は、主人公自身がその問題の正解を知っていないと、無効になるようにする。

上記のように、従来存在するスポーツゲームルールをそのまま流用するのでもよいが、更に一歩進めて、新たな種類の「頭脳スポーツ」を一から考え出す必要があるかも知れない。
 

○ボードゲーム

サイコロを振って、予め用意された道の上を、イベントを起こしながら進んで、ゴールを目指すゲームである。
ランダムにイベントが起きるので、何が自分に起こるか分からない、予測できない。将来なにが起きるか(よいことが起きるかも知れないと)期待する衝動に対応する。

例えば、「センチメンタルジャーニー(バンプレスト、PlayStation)」は、日本全国を、サイコロの枡目で旅行して進むシステムを持っており、主人公が、旅先で知り合いの女の子に出会い、女の子を誘って、自分が提示したプランの旅行を実行していくゲームである。

以下は、このゲームを勉強用に変更するためのポイントである。

・サイコロを振って、地図上を進む。地図上の各地点は、特定の教科に対応している。止まった地点で、その地点にゆかりのある教科に関する問題が出題され、主人公が正解できないと、ペナルティが待っている。一方、正解すると、さまざまな特典がもらえる。

・場面に応じて、学力ミニテストが行われ、その点数に基づいて、主人公の学力が変動する。

・女の子がある教科に対応しており、主人公がその教科について一定以上の成績を収めていないと、同行をokしてくれないようにする。

・主人公の教科成績がよいと、その教科に対応する女の子の好意の度合いが、上がりやすくする。

・通常の問題を解くマスに当たった場合、サイコロの出た目に従って、何の教科についての、どの程度の難易度の問題かが、ランダムに決まるようにする。

・ボーナスクイズマスに止まったら、主人公が、自分が得意な教科を選んで、その教科を題材とするクイズに挑戦できるようにする。クイズに正答したら、コインをたくさんもらえたり、女の子の好意がアップしたりするようにする。

・あるマスに止まったときに、主人公に学力があればあるほど、幸運なイベントがより起きやすくなるようにする。

・学力があればあるほど、一度に進めるコマの数が増えるようにする。

・学力があればあるほど、他のプレーヤからの攻撃を防御する力が増える。
 

○その他考慮すべき事項

・教科についての問題への回答時間は、3~5分を限度とし、答えられないと、自動的に不合格・負けと見なす。

・勉強好きな人の性格を「まじめ」だけに限定しないようにする。「攻撃的」「進取の気性に富む」など、いろいろあってよいのではないか?

・ゲームをクリアしたことが、そのまま利用者の、学力面での評判を、「彼女(彼)は、あのテレビゲームをクリアできたのか。すごいね、優秀だね。」といった感じで上げることにつながるようにする。ないし、「○○のレベルの大学に合格するには、このゲームをクリアできればよい。」という定評が立つようにする。

・ゲーム中で出た問題については、回答直後に正答の解説を行う。その際の説明は、単なる文章ではなく、コンピュータのグラフィック能力を最大限に生かしたものとする。具体的には、問題を解く手順の解説に、3Dを採用したり、動きのあるアニメーション画像を用いるなどする。回答解説を行う役は、ゲーム中の登場人物でもよいし、専用のナレーターを使って、「説明しよう。この問題は...と解くのだ。」などと言わせるのでもよい。

・利用者が繰り返しゲームを行うことを想定して、ゲームをクリアして、もう一度やり直す毎に、基本的な解き方は同じだが、数値などが異なる問題が出るようにする。


2.勉強アニメ


○既存のアニメとの比較

体力や瞬発力がある、スポーツ・エリートや、通常人には持ち得ない魔力にたけた魔法少女とかは、アニメの主人公になりやすいが、勉強が好きな人物が主人公となる、勉強そのものが目的となった、アニメはないものか?

「美少女戦士セーラームーン」の、水野亜美とかは、勉強ができるが、魔力も有る。魔力がないと、勉強ができるというだけでは、アニメでは活躍できなかっただろう。

「コレクターユイ」の、如月春菜も、優等生であるが、勉強がメインではなく、コンピュータのバグを退治するコレクターハルナとして活躍するのが、アニメ登場の目的である。

勉強ができる人は、渦巻き眼鏡をかけたド近眼というイメージが強く、「ちびまるこちゃん」に出てくる、丸尾スエオとかだろうか?自意識過剰、エリート意識をぷんぷんさせる、あまり好ましくない人物として描かれる。もっとも「ちびまるこちゃん」では、勉強ができる人格者として、長山君も出てくるが。

スポーツで、つらい練習に打ち込み、大会などで勝ち進んでいくタイプのアニメは「プリンセスナイン(野球)」「YaWaRa!(柔道)」「大運動会(トライアスロン)」みたいに結構あるみたいだ。しかし、主人公が、勉強を一生懸命やって、テストとかで、よい成績を収めようとがんばるタイプのアニメには、まだお目にかかったことがない。

「ラブひな」は、主人公が、女の子と大学受験を目指す話なので、勉強主体かと一見考えられるが、実態は、恋愛コメディであり、勉強それ自体には、重きは置かれていない。

「七人のナナ」は、七人に分身したヒロインの中学生が、憧れの男子と一緒の高校に通えることを願って、勉強に恋に精進する話だが、これも、受験生の心情描写が中心となっていて、学習内容自体には余り触れられていない。

アニメーターには、いわゆる学校での勉強が不得意だった人が多いのだろうか。その割りには、異様に難解な設定を持つアニメが結構たくさん有り(「lain」とか)、作成する側の知能指数はそれなりに結構高いとは思うのだが。

受験生をターゲットとしたアニメがあってもよいのではないだろうか。受験生が、学力向上のために、毎週見たくなるような作りのものがあってもよいのではないか。

○いくつかの考えられるタイプ

例えば、勉強・学習型恋愛シミュレーションゲームのコンセプトを、アニメに移植すれば、例えば男性向けなら美少女熱血勉強アニメとかが出来上がる。

普通アニメは、勉強のじゃまとして取り扱われがちだが、教科の学習とか、科学的センスの習得に役立つ情報をそこそこ折り込みつつ、例えば、従来スポーツ物で採用されてきた熱血・根性などを取り入れたり、なぜ勉強をすることが自分にとって必要なのか考えさせるようにすれば、結構教育効果があるのではないか?視聴者の将来設計に役立つような内容にすると、単なる「点取り対策アニメ」ではなく、もっと視聴者の人生を左右するスケールの大きなアニメになるかも知れない。特に、利用者が気に入った「萌える」キャラクタから、そのことを考えるように仕向けられれば、である。

従来、「○○の元ネタは、ガンダムおたくでないと分からないね」とか言われるが、この場合の元ネタを、教科書・参考書の内容とすることで、教科の内容を知っている者のみが、笑えたりする内容とするのもよいかも知れない。

スポーツ選手を題材に取り上げるアニメが多いのは、やはり、スポーツが派手な動きを伴うものだから、運動する姿の描き甲斐があるからかも知れない。それに比べて勉強は、机に座って動かずにするものという固定観念があり、それだと、ほとんど動きがなくて、アニメ用に描いても面白くない、というのが常識なため、アニメに採用されない、というのもあるかも知れない。

しかし、ここで思い出すべきなのは、勉強は、確かに身体は動かさないが、頭脳を使った思考活動という点では、十分に活動的であるということである。例えば、地理の勉強をしている最中は、世界中を旅行しているような感覚にはまるし、歴史の勉強をしている最中は、タイムマシーンに乗っているような気分になれる。ということは、こうした勉強中に頭の中で起こっている思考・感情、頭に浮かぶ光景などを、アニメ映像表現の対象とすればよいのではあるまいか。

あるいは、主人公が、数学や理科などの問題を解くために、いろいろなコンピュータ・シミュレーションを画面上で行ったり、ロボットやメカ生物に乗って、それを駆使して各種調査や実験を行う様子を、アニメで表現できれば、立派な勉強アニメが出来上がるのではないか?

ないし、主人公が、思考上の仮想世界に入りこんで、その中でさまざまな学力向上を目的とする冒険や戦闘を積み重ねていく、という筋書きも成り立つかも知れない。


○テスト心理描写による視聴者共感の獲得

勉強アニメで、視聴者の共感をより得やすいのは、テスト時~テスト後の主人公の心の動きを忠実に再現するストーリーだろう。

視聴者にとってより身近なのと言えば、実際に主人公が学校や予備校で試験問題を出されて、その問題を解き始めてから、解答時間が終了するまでの間の主人公の心の動きを脳内実況し、それに付随して、実際の解答用紙への書き入れ実況や、顔の表情や感情の変化を実況するタイプの物語表現であろう。 テスト中の緊張(問題が解けるかどうかワクワク~心配する気持)や、問題が解けたときの達成感・解放感、解答に失敗したときの挫折感をアニメで表現するのである。

主人公が、実際に問題用紙を見て、「おっ、これは解けるぞ。やったー、ラッキー。」と最初感じていたのが、解いていくうちに「あれー、こんなはずじゃなかったのに。どうすればいいんだ?」という困惑に変わり、終いに、解答時間が後5分とか1分とかなって、「うわー、もう間に合わない。困った、困った。どうしよう。神様、助けてー。」みたいな心理描写をしっかり行うことによって、視聴者の「あぁ、自分もそんな心理状態に陥ったことあるよ。」という共感を得ることができるのではないかと考えられる。

また、問題用紙と向かい合って、いろいろ解答の試行錯誤を行う様子、「あっ、こうすれば解けるかな?」「いや、ダメだった。これはマズイ。」「それなら、これはどうか?」「やったー、うまく行った」みたいな過程を、視聴者に実況することで、視聴者も一緒に問題を解く体験を追体験することができる。

また、試験終了直後、解答用紙が回収された後の心の動き、例えば友達に「ねえ、あの問題、答え何だった?」と無性に聞きたくなるとか、自宅に帰るまで「あの問題、あの答えでよかったのかな?」と不安になる心理とかもトレースすると、さらに共感を呼びやすくなると考えられる。

その際、正しい解答が何であるかを、主人公の問題解答中や、試験終了後のシーンでしばらく明らかにせず、視聴者に予想させる(例えば、前編の終わりまで正答が何であるか分からず、後編になって初めて視聴者に明らかにされる)というのも、視聴者を試験シーンに引き込む手として考えられる。例え、うまく解答できたように見えても、本当に合っているかどうかは分からない(実は、間違いをしている可能性ありな)ようにするのである。

そうすることで、探偵物、推理物のアニメと同様の、ワクワクする謎解きを視聴者が楽しめる。

主人公の答え(ないし視聴者の予想)が正しかったかどうか、主人公の元へと試験の答案が返ってきた時点で初めて分かるようにすることで、「試験何点かな?悪かったら(思ったより良かったら)どうしよう?」という答案返却時のワクワク、ドキドキ感を、主人公と視聴者が共有することができる。

点数が返ってきて「ああ、○○点だった。思いの他悪かったな、ショボーン。」とか、答え合わせをしているときの「あ、できていた。うれしい。」「何だ、こんなつまらない問題を間違えてしまったのか。ショックー。」「しまった、ケアレスミスだ。もったいない。」「こんな問題を解けないようでは高校生失格と言われちゃったよ。トホホ。」といった主人公の心の細かな動きを追って表現することで、視聴者も試験の持つ臨場感を、主人公と共有することができる。

試験が出来たと思って有頂天になっていた主人公が、答案返却で、一挙に落胆の底に突き落とされるとか、逆に、試験が出来なかったと、答案返却を恐れていた主人公が、思ったより点数が良くて思わず飛び上がるとか、毎回いろいろ心理描写ができる。

主人公と一緒になって答え合わせをすることで、「自分は主人公よりデキル!」とか、「自分も主人公と同じくこの問題分かんなかったよ。同じ穴のムジナだね。」とか、視聴者は自分自身と主人公を比較して、共感を持ったり、優越感を抱いたりなど、様々な反応を感じて飽きることがないだろう。

毎回違う問題が出題される試験シーン毎に、視聴者には今までとは違う反応が生じることになり、その点、毎回新鮮な気持ちで、勉強アニメ番組を視聴者は見ることができると考えられる。

あるいは、授業を受けている最中に、ミニ質問を出されて、席の順番で答えていかなければならない場面を毎回ストーリーで出すことで、自分の順番が近づいてきたときのドキドキ感や、当てられたときの答えられるかなーという不安感、答えられなくて怒られた時の落胆、逆に正答したときの得意な気持ちとか、主人公と一緒になってトレースすることで、視聴者は、日々の授業の実体験を、アニメ上で再度追体験して共感することができる。

あるいは、もう少し斬新な表現が欲しければ、学力テストを受けている最中の主人公の思考過程を、あたかも主人公の頭の中に入りこんだ感覚で、時々刻々と3Dでグラフィカルに表現して、視聴者に、主人公が問題を解いている最中の試行錯誤のありさまを追体験してもらう、というのもありかも知れない。

主人公は、設定によって、勉強がよくできるタイプだったり、逆に落ちこぼれ気味だったりいろいろ考えられる(あるいは、受験生とか、浪人とか、選手権出場とか・・・)。進学校への進学を狙う、勉強がよくできる視聴者は、優等生タイプの主人公に共感して、知らず知らずのうちに成績を競おうとするだろう。一方、勉強が余りできず授業に余り付いて行けてない視聴者は、補習を受けるタイプの主人公に共感して、主人公を自分自身の勉強のペースメーカーとして利用することで、共にあせらず学習理解を深めていこうとするだろう。

このように勉学の方向へと視聴者を導くことが、視聴者の成績を上げることにつながり、勉強アニメは単に見て楽しむだけでなく、実際の学力アップという御利益につながる、ということで評判を呼んで、視聴率もそこそこ取れるのではないか。

なお、大人も子供も主人公の試験風景を楽しんで視聴するには、試験や質問の内容が誰にでも分かりやすい、易しい小学生レベルのがいいのかも知れない。ただ、高校や大学受験生にターゲットを絞って、それなりに高度な試験問題を主人公に解かせる、お色気もありの深夜アニメ番組にすることも考えられる。あるいは、一般社会人向けの資格試験(簿記とか、情報処理とか・・・)準備を想定した内容でも良いかも知れない。そうすれば、子供だけでなく、より広い視聴者層を得ることも可能となる。

また、こうしたタイプの番組のスポンサーは、予備校とか大学みたいな教育機関になってもらうのが、番組中の試験問題提供協力も得られてよいのではないだろうか。

さらに、番組で出す問題を実際に出題された入学~資格試験問題にすれば、視聴者は、自分がこれから受ける試験に直接役立つと考えて、より真剣に番組を見るであろう。


○アニメの筋書き

勉強アニメの筋書きとしては、

例えば、上級学校への入学試験、あるいは、官庁・会社への就職試験、公的資格試験への合格を目指して、失敗、挫折を繰り返しながら頑張る、というのが思い浮かびやすい。当初目標としていた試験に合格するハッピーエンドもあれば、試験勉強を重ねるうちに当初とは違う目標を自分で見つけて、そちらに進んでいくという終わり方もある。

この場合、恋愛とからめて、自分が恋している相手と同じ学校に進学できるかどうか、ハラハラドキドキしながら試験勉強に取り組み、最終的に同じ学校に進めてよかったね、というのも考えられる。

こうした、人生の区切り目となる大きな試験への準備と本番経験というパターンとは別に、毎日の学校における、小さなテストや試練の繰り返しとそれに伴う喜怒哀楽(日々の小テストに失敗して挫折するとか)を積み重ねていく、というのもある。

恋愛のライバルと、試験でどちらがより優れた成績を取れるか、恋愛相手を賭けて何回も試験を重ねて競争し、最終的な勝ち負けを決するという筋書きも考えられる。

試験の度毎に、順位表を貼り出して、「よしこれで、連続学年10位以内だ」「あっ、あいつに負けた」とかいった達成感、対抗心を味わえるようにする。

この相手には負けられないという、学力面でのライバルを設定することで、よりアニメの筋書きが緊迫して面白くなることが考えられる。


落ちこぼれだった生徒が、ある小さな試験で満点を取ったのをきっかけに、勉学の道に目覚めていくというのも考えられる。勉強でつまずかないための学習上のコツを、主人公が、毎回のアニメで、自分が試験問題を解くのに成功・失敗することで、身をもって視聴者に伝授するというのもありだろう。

これらとは別に、一番できる学校を決定する、学校チームを単位とする選手権大会というのも考えられる。複数の生徒がチームを組んで、団体で、他の学校の生徒と、出題される問題をより速く正確に解く能力を競い合うというものである。競う単位は、団体単位でなく、生徒個人が学校を代表して競い合うのでもよい。あるいは、純粋に、出身学校の縛りのない個人と個人との間で、誰が一番、二番・・・を決める個人単位の選手権でもよい。

このタイプの実例としては、2つの小学生チームが互いにライバルとなって、科学の問題正答(ミッションクリア)を競い合う「科学アドベンチャー そーなんだ!」というアニメがあげられる。

または、賞金稼ぎと、学力試験とを結びつけて、「こちらが出す10個の問題(実際の入試問題とか)を全て解けた者には賞金○○○万円が与えられる」という条件を出して、賞金の欲しい応募者を募り、応募者同士で、出された問題を競争で解きながら星のつぶし合いをする、その応募者の中にヒロインが含まれるというのでもよい。

あるいは、地球に来襲した宇宙人と人類とが、存亡を賭けて、制限時間内の問題解き合戦を繰り広げるというのもありかも知れない。他国との戦争で、戦争の勝ち負けを、4~5人の選抜チーム(特定の年齢で揃える)が、互いに相手が出す問題を解けるかどうかで決する、というのも考えられる。

あるいは、冒険物アニメで、主人公が、行く先々の土地で出される問題、あるいは発見した未解決の封印問題を解くことで、トラップを解決し、その土地の人々を救うと共に、宝物を手に入れたり、自分のレベルアップを図っていくというのも考えられる。

あるいは、アダルトアニメで、相手の女性(女子大生の家庭教師とか)がエッチなことをしてくれる条件として、女性が出す問題を正解できるかどうかを設定し、主人公がよりよく解けるほど、エッチなサービス度(露出度、セックスの回数など)が増す、というのも考えられる。

テスト風景は、手ごわい問題を出して生徒を慌てさせようとする教師と、それに対抗・団結してより上手の解答を提出しようとする生徒たちとの間の闘争、駆け引きとして表現することも可能である。

また、一人の生徒にずっと焦点を当てるのではなく、クラスの中の様々な個性を持った生徒に順に問題を解かせて、視聴者がまるで教師になった気分で、生徒たちのいろいろな反応を楽しむような筋書きにすることも可能である。



(c)2000-2004 大塚いわお


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