○感情の自己管理との関連


例えば、感情発生といった遺伝的行動、人類共通な行動が、社会によって規定されているかのように見える。要は、周囲の他者の眼、監視によって、同士の態度を互いに揃えようとする、とされる。

この場合、「感情の自己管理」は、社会の産物か?これも、実際には、もともと、個々人の心理は、周囲の他の対象(物体等)と入出力のやりとりすることを前提とした構成物であり、物体相手でも感情は起こりうる(例えば、「大きな石がこっちに転がってくるゾ。うわー、このままでは潰される。怖い、逃げよう。」など)。その入出力の対象、ないし感情のやりとりの対象がたまたま人間になったまでのことである。

だから結局、感情のあり方は、個々人の心理に帰着すると言える。

「ゴキブリが出てきて、本当は大声で叫んで逃げたいんだけど、周りに人がいるから、騒ぎにならないように平静を装おうとする」という場合、個人の心の中には、「ゴキブリが怖い」という人外の対象に対する心の他に、「下手に騒ぎを起こして、周囲に注目されたくない」「人にゴキブリが怖い小心者と思われたくない」といった他人に対する心がもともと存在している。これは、「変なことで注目されて、プライバシーを侵されないようにしよう」「小心者と思われて馬鹿にされないようにしよう」という、個人が持つより根本的な考え(プライバシーへの感覚、プライドへの感覚)へと帰着される。

こうした根本的な心理は、人類共通のものであり、人類以前から遺伝的、生体的に受け継いでいる考えとして捉えることが出来る。人間が後から作った社会によって外在的に規定されていると考えるのは無理があると言える。



2005-2006 大塚いわお

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