系統歴史学
-新たな歴史教育に向けて-

2009.12 大塚いわお




現在の歴史教育においては、「○○年に、○○という人が、○○という事件を起こした」という感じで、固有名詞、件名暗記中心になってしまっている。
単なる機械的記憶量の多さ、細かさで、教育程度を判断することになってしまっている。
今後は、機械的な固有名詞、件名暗記中心から、現象中心の歴史の流れ把握が可能な、歴史の系統面の教育が必要になってくるのではないだろうか?

具体的には、以下のような項目について、系統立てて、かつ、それぞれの間の状態遷移フローが分かる形で、(個別の事象提示ではなく)一般的な法則、タイプ分けの形で説明すればよいのではないかと考える。


A 勢力
A1 勢力
(拡大、繁栄、衰退)
地図上で、一定の勢い、力を持つ人々の集まりについて、その勢いの拡大、縮小、消長のタイプや原因について説明する。
人々の集まりとしては、
・民族・人種
・政権
・企業等の組織
について言及する。
どのような原因で、勢力が伸張し、繁栄し、衰退し、滅亡したかについて説明する。
自分たちの勢いが拡大すると良いことで、縮小、滅亡すると悪いことであることを説明する。

●どうすれば、勢力を伸ばし、繁栄し、その繁栄を維持できるか、衰退から立ち直れるかについての、歴史上の知見を与える。
B 権益
B1 権益
(資源、領土、人材・・・)
持っているとその持ち主(の人々)の生活レベル向上に役立つ、生きていくうえで必要な様々な利益をもたらす資源、物資や人材、領土と、その利益のタイプ、特徴について説明する。
権益の
・取得、奪取
・維持
・消滅
のきっかけ、取られた政策内容のタイプ等について説明する。

●どういう風にすると権益を得やすいか、守りやすいか(失いやすいか)についての歴史上の知見を与える。
B2 侵略 侵略が起きる原因と、進行プロセスについて説明する。
原因としては、例えば、
される側:豊富な天然資源等の既得権益を保持している割に、軍事力、武装が弱い
する側:社会が不振で行き詰っており、その打開のために、他国の権益に目を付ける。あるいは、新たに勃興した勢力が、さらに伸張するために、既存の権益奪取に目を付ける。
等の内容について説明する。
いかに侵略を進めたか、いかに他国の侵略を防御したか、そのノウハウについて説明する。

●どうすれば他国の権益を奪取できるか、どうすれば他国に権益を横取りされずに済むか、歴史上の知見を与える。
C 支配体制
C1 支配 国家とかにおいて、支配層と被支配層の関係がどのように構築され、維持され、揺らぎ、消滅したかについて説明する。
どういうタイプの人たちが支配層として君臨したのか、その支配が長期に渡った、あるいは短期に終わった理由について説明する。

●どうすれば支配者になれるか、どうすれば支配を長期化できるかについての歴史上の知見を与える。
C2 体制、混乱 国家とかの仕組み、体制がどのように構築され、維持され、揺らぎ、消滅したかについて説明する。
どのような社会の仕組みが人々に受け入れられたか、あるいは嫌がられ反乱を起こされたかについて、実例をもとに、その理由についてタイプ分けして説明する。
どのような原因で社会が混乱し、その混乱が収まったかについて、タイプ分けして説明する。
●自分たちの社会がうまく回るために、どのような仕組みを作ればよいかについての歴史上の知見を与える。
D 生活
D1 富裕と貧困 どのような場合に、どのようなプロセスで国や人々が富裕になり、あるいは貧困に陥ったか、貧困から抜け出したか、その原因、理由について説明する。

●どうすれば富裕になれるか、貧困から抜け出せるかについての歴史上の知見を与える。
D2 自由、権利と圧政 どのようなプロセスで、人々が自由、権利を得たか、得た自由、権利を維持したか、失ったかについて説明する。
どのようなプロセスで、圧政が生じたか、それはどのようにして続いたか、どのようにして打破されたかについて説明する。


・どうすれば自由、権利を獲得し、維持できるか
・どうするとせっかく得た自由、権利を失ってしまうか
・人々から自由、権利を上手に奪うにはどうしたら効果的か
についての歴史上の知見を与える。
E 変化
E1 改革、変革
(保守、革新)
社会の仕組みを、(自分たちにとって)より良い形に変えようとする、複数勢力間のせめぎ合いのあり方、経過について説明する。
変革の主導権を握った勢力のタイプ(保守vs革新、バックグラウンドの職業の種類・・・)と、どのようにして変革の主導権を握ったのかについて説明する。
変革が、改革、革新的なのか、復古なのか、それらはいかなる原因で、どういうタイプの人物~集団由来で発生したのか説明する。
変革のプロセスがどのように進行し、いかなる原因で成功、失敗したかについて説明する。

●どうすれば社会の仕組みをうまく変えられるかについての歴史上の知見を与える。
E2 反乱、革命 反乱、革命が起きる原因となる社会的問題(貧困、圧政・圧制)と反乱、革命が進行するプロセスについて説明する。
・どのような形で反乱が始まり拡大したか、指導者はどういうタイプだったか
・支配側はどのように火消しに動いたか、どのように反乱は平定されたか
・体制の転覆がどのように行われたか
・革命の結果、従来の支配層はどのような運命をたどったか、どのように支配層が入れ替わったか
法則の形で説明する。

●どうすれば既存の問題多い支配層を打倒し、新たな勢力、政権を樹立できるかについての歴史上の知見を与える。
F 指導者 ・反乱、革命を主導する
・体制を構築、維持する
・支配する
社会の指導者個人(王、首相、大統領・・・)~集団組織(政府、中央官庁・・・)のタイプについて説明する。
指導者の、
・人心掌握の手法
・知性のあり方
・運動性、実行力のあり方
・バックグラウンドとなる社会階層
等について、タイプ分けして説明する。

●どのようなタイプの人が歴史に名を残す指導者になれるのか、自分が指導者になるにはどういう資質を身につければよいかについての知見を与える。



トップページに戻る