レッドバリア、ピンクバリア
-少女向けコミックと男性読者-

2005.10 大塚いわお


少年向けのコミックは、女性もよく買って読むと言われる。
一方、少女向けのコミックは、男性は、買うのを回避し、あまり読まないと言われる。

なぜ、このようなことが起きるのだろうか?

その原因の一つとして、書店にコミックが並んでいる時の視覚的効果が上げられる。
少年向けのコミックの背表紙は、コミック毎にバラバラで、特定の色に偏ることがなく、中性的である。誰が売り場に入っても、手に取っても、抵抗が少ない。

それに対して、少女コミックは、書店の売り場を見れば分かる通り、背表紙のタイトル文字やトレードマーク、色使い等が、赤やピンク系統の色に統一されているのが分かる。

この赤、ピンクが、実は曲者なのではないかと、筆者は考える。
赤、ピンク系統の色は男性は苦手であり、どちらかと言うと、青とか黒・灰色とかが好みである。

背表紙の赤色、ピンク色の並びが少女コミック売り場全体を覆っていることは、そこに男性立ち入り禁止と言っているような物である。赤色、ピンク色を専ら使うことで、「これは女性専用の読み物の領域です。男性は近づかないで下さい。わざわざ売り場に入って手に取ろうとする男性は変態です。」とか公言しているのに近い。

要は、背表紙に赤色、ピンク色を使って統一することによる、男性を遠ざける「レッドバリア」「ピンクバリア」の効果が生まれていると言える。男性は、赤色、ピンク色の並びに圧倒されて、それがカラーバリアとして、心理的障壁、威圧感の源になってそこに近づけないのである。

少女向けコミックにも、実際読んでみると、腹を抱えて笑える等面白く、男性読者を惹き付けそうなものが結構あると考えられる(例えば、前川涼「アニマル横町」とか)。また、男性には書けない女性ならではのキャラクタデザインやキャラクタ心理描写に、異性の魅力を感じる男性も多いと考えられる。いわゆる「萌え絵、萌えキャラクタ」とか言われるもので、絵や内容の女性らしさに「萌える」点、確実に男性の需要もあると考えられる。

読者に同性だけでなく異性も加わることで、作品内容に新たな飛躍を見せる少女コミック作者も多いのではないかと思われる。異性に人気が出るのもよいことである。

しかし、現状では、男性は少女コミックに近づこうにも近づけないのが現状である。というか手に取るのが恥ずかしいし、購入するのにも抵抗がある。

もう少し、出版社の側で、男性が少女コミックに抵抗なく近づけるように、本の色使いを変えてみてはどうだろうか?少なくとも、背表紙の赤色、ピンク色統一路線は、止めた方がいいと思う。

売り場で、少年向け、少女向けを分けずに混在して売るという手もある。そのために、少年向け、少女向けという先入観を与えない中性的な外観にするというのでもいいかも知れない。そうすることで、少年も少女的な内容のものを手に取り読む機会が増えるだろう。

そもそもコミック誌とかで、少年向け、少女向けの区別をそもそも無くしてしまう、混在して掲載するというのもありかと思う。(現に、青年~大人向けコミック誌では、男性、女性両方をターゲットしているのも4コマコミック誌とか結構ある。)

少年向け、少女向けが混ざっていた方が、異性の精神世界を早くから知ることができて、異性理解を深めるのにも役立つのではないだろうか?将来どうせ結婚することになる訳だし、知っておいて損はないと思われる。


2005.10 大塚いわお

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