山河型社会について
-日本社会の原型-

2005.8 大塚いわお


日本社会は、国土の大半を山岳地帯と、そこから流れ出る河川によって占められている。

その場合、人々が住む場所は、山岳地帯から流れ下るツリー状のディレクトリをなす河川沿いに作られる。
各ツリーの幹が河口付近の大きな流れであり、ツリーの枝が、より上流~中流の小さく細分化された谷間の流れに当たる。

各ツリー状の河川沿い地帯同士は、高い山で遮られ、お互いの行き来がない。

人々は、河川沿いに、隣の河川沿いの住民たちとは隔絶した閉鎖性、排他性、セクショナリズムの高い共同体を作って暮らし、そうした共同体のあり方が、日本社会の原点となっている。

日本の社会は、河川の上流同様、末端に、小さな村落共同体を複数持ち、河川が次第に他の河川と合流するのと同期して、そこに物資集散の町が形成され、さらに、河川同士がさらに合流するか、流れを太くして、河口に流れ下る位置に、大都市が生じるのが、日本社会の特徴である。

河川の存在、合流パターンに、地域社会の人や物資の流れが合致している。

各河川同士が上流部で、ツリー状に、山並みに隔てられて互いに連絡が取れない谷間を個別に形成するのと同様、日本社会でも、各河川沿いにツリー状に作られる集落は、山を隔てた別の河川の集落とは全く行き来がなく、隔絶している。

各河川と集落のツリーは、一つの閉鎖的なセクションをなしており、それが、日本社会全体に色濃く漂う、官庁、会社組織などでのセクショナリズム(例えば官庁であれば、「省あって国なし」)の源となっていると考えられる。

上流の各セクション(実際の河川沿いの地域社会でも、官庁や企業の組織図でも)は、より下流で、他の河川と合流するところに形成されるより大きな行政、組織単位=「集散地」を通してしか、互いに人や物資のやりとりを行うことがない。

下流に向かうにつれて、ツリー状の人、物資の流通がより集積し、大きな都市が作られていく。

こうした、山々の間をツリー状に流れる河川に合わせて、ツリー状の人や物資の流通やコミュニケーションが行われ、各ツリー毎に、山で隔てられて、谷間の孤立性、封鎖性が高く、セクショナリズムが生じる社会は、「山河型社会」と呼べる。日本は、この「山河型社会」の典型である。


(c)2005.8 大塚いわお

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