母性的組織と父性的組織
2003.5-2007.7 大塚いわお


会社や官庁といった、社会組織についても、他項で述べた、母性と父性の区別が当てはまる。

母性的組織は、それ自体が、一つの大きな「母的存在」として成員の前に現れる。母性的組織に入ることは、「母の胎内」に入り込み、その中に抱かれるのと同じ感覚を、成員に与える。

母性的組織は、組織によって成員が「抱かれ、守られる」感覚を重んじる。組織が母であり、成員は子である。どこまでが「母の胎内」に相当するか、範囲に明確な境界線を引こうとするため、組織の内と外を峻別しようとする。内部の一体感を重要視し、外部に対して閉鎖的である。内部では、互いの温かい、時として「体温=ぬるま湯」的な一体融合、和合感を維持するため、同調・協調性、組織全体への奉仕が重んじられ、成員への干渉の度合いが著しい。

母性的組織の成員は、母としての組織に自身を完全に呑み込まれた状態となり、組織に対して、全ての精力、エネルギーを吐き出し、組織に吸い取られる。この場合、成員は完全に組織に一体化し、成員の全人格が組織に帰属、没入するかのように捉えられる。いったん、組織に入ると、組織から不要と見なされて排出される以外抜け出ることが難しい。

父性的組織では、組織に属する各成員が、互いに他者とは分離、独立した形で、父親代わりの管理者によるコントロールを受けながら自由に目標を達成しようとする。組織は外部に向かって開かれており、内外の区別は緩い。成員は、組織の一員である前に、一個の独立した自由な個人であることを保証される。組織から抜けることが簡単である。





母性的組織では、組織の管理者は、(例え男性であっても)母親代わりの役割を成員に対して果たし、一方、父性的組織では、管理者は父親代わりとなる。

ちなみに、日本の会社や官庁は、組織のあり方が母性的であり、欧米のそれは父性的であると考えられる。

この他、特定の目的を達成するための組織以外の、地域社会(例えば集落)のような、成員の要求を包括的に叶える社会集団であるコミュニティに対しても、「母性的コミュニティ」(例えば日本のムラ)、「父性的コミュニティ」(例えば欧米の村落)というのを想定可能である。

あるいは、全体社会に対しても、「母性的社会(母性社会、母性優位社会、母性支配社会)」(例えば日本社会)、「父性的社会(父性社会、父性優位社会、父性支配社会)」(例えば欧米社会)というのを想定可能である。

それらの性質は、母性的組織、父性的組織と共通である。


2004-2007 大塚いわお

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