母性的・父性的住宅・オフィス


2005.10 大塚いわお


日本の住宅やオフィスは、母性的な特徴を、欧米の住宅やオフィスは、父性的な特徴を持っていると言える。
なぜそうなるかと言えば、その中に入居する個人や組織が、それぞれ母性的、父性的であるからと言える。

母性的住宅・オフィスは、内部での成員間の一体感を重視する。すなわち、「○○家」「○○会社」の住宅・オフィスの内部が、仕切りがない大部屋か、仕切りはあっても、ふすまのように薄かったり、すぐ取り外せるようになっている。その点「みんないっしょ」の作りとなっている。各成員は、互いに他の成員の挙動を見ながら、仕事をしたり、居住する。その点、成員間のプライバシーがない。

これに対して、父性的住宅・オフィスは、内部での個々人の分離、独立を重視する。すなわち、住宅・オフィスの内部が、鍵付きの個室になっていたり、机毎に高い頑丈な衝立で仕切られていて、各成員の独立性、プライバシーを重視する構造になっている。


母性的住宅・オフィスは、外部に向かって閉じている。例えば、一戸建ての住宅では、外部に向かって、高い壁や柵が張りめぐらされており、外界から隔てられ、よそ者の侵入を許さない閉鎖的な構造になっている。

これに対して、父性的住宅・オフィスは、外部に向かって開いている。例えば、一戸建ての住宅では、外に向かって庭が柵なしに露出している。

母性的住宅・オフィスは、成員にとってはそれ自体、母の胎内に相当する。住宅・オフィスの内部では、成員相互の温かい一体感に満ちた交流があり、それは、外部に向かって閉じた内輪の世界限定のものである。

ちなみに、日本の神社は、建物、境内を母の胎内に見立てているという説がある。


2005 大塚いわお

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