日本人の大勢順応とトレンド、空気感知アンテナについて

2006.05 大塚いわお


日本人は、周囲の皆がどっち、どこに向かっていくか、その場の雰囲気や空気を読み取るのに敏感である。皆の動きに置いて行かれないように、はぐれないように、絶えずくっついて行動しようとし、周囲の動向を感知するためのアンテナを張り続けている。周囲の空気を重視する。

要は、皆と一緒にいると安心で、絶えず団体で動き、自分の属する団体から置き去りにされて途方に暮れることのないように、万全の注意を払っているのである。

各人は、トレンドや時の話題、流行に従って行動し、それらに遅れないように、情報収集と同調に忙しい。

これは、ウェットな液体分子群の動きのパターン(筆者はパターンWと呼んでいる)と同じである。
パターンWにおいては、各粒子が、互いに周囲の他の粒子と歩調を合わせて、同じトレンドで、一体となって、団体をなして、ゆっくりと進んでいく。
パターンW(とパターンD)についての説明のページです。

要は、皆と一緒、同じなのがよくて、周囲との一体感を求め、内輪から外れないように、仲間外れにならないように、細心の注意を払う。

ミクロのな周囲の動きに合わせようとするが、マクロについては、どこに行くか、誰にも分からない。

要は、一人一人が、それぞれ周囲の皆の行く方向へと行こうとしているのであり、どこの方向へ行くかは一人では決められず、一人一人のその時々の周囲の動向感知とそれに基づく進行方向の決定の合計が全体としての進行方向になる。その結果、団体が大きくどの方向へ向かっているか、誰にも分からない、誰にもはっきり決められない、その場、その時々の雰囲気、空気次第で決まる、変わるということになる。

周囲の、微妙な、繊細な空気の流れを、絶えずアンテナ全開で読み取らないと、一人置いてきぼりを食らってしまう。要は、仲間外れにされたのと同じことになる。

底辺に流れるのは、周囲と協調、同調したい、周囲の動きに何とか付いていきたい、置いて行かれないようにしたい、周囲と一体感を保ちたいという、ウェットな欲求である。これは、周囲から独立してバラバラに一人自由に行動することを欲するドライな欲求とは対照的なものである。

こうした考えは、人々に大勢順応を引き起し、全体が一まとまりになって動くことを指向する全体、総体主義につながる。


この場合、先を歩いている、進んでいる方が、後から付いていく、遅れて脱落しそうになるよりも、望ましいという考えがある。考えがその時々で、全体の中の前寄りにいて進歩的なのが優れた人として尊重される。

もちろん、先を行こうとする人には、先走り過ぎて、気がついたら周囲と違った方向に一人向かって歩いていた、という事態になる恐れがある。これは、先走り、一人歩きを好ましくないとして嫌う考えと結びついている。

要は、全体のトレンドから外れて、一人歩き、はみ出し、スピンアウトをする人、遅れる人、脱落者を嫌う社会である。なので、皆、トレンドに何とか付いていくように、あわよくばトレンドを主導する地位に収まるように、一生懸命、必死である。

日本の社会で支配的な地位を握れる人は、(1)全体の輪の中にうまく収まっていて、(2)全体の中の前寄り、先の方の位置をキープして進歩的でいて、(3)なおかつ、それが一人歩きにならずに全体の動きの先鞭を付けるような、皆を引っ張っていく形になるような「トレンドメーカー」である。

もう一つは、動きの遅さとの関連がある。日本は、一人一人独立してスイスイ素早く動き回るのではなく、皆で共同歩調を取りながら、ゆるゆると進んでいくタイプの社会だということである。これは、欧米のような個人主義のドライな社会(パターンDの社会)に比べて社会進歩が遅れることにつながっている。


2006 大塚いわお

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