「保身の性」「捨て身の性」

-女らしさ、男らしさの検討-



2001.4-2010.10 大塚いわお

従来の性差心理学においては、男女の能力差(空間認知能力、言語能力などの違い)に関心が集まっていた。男女に能力差が生じた理由として、
1)男性 外に出て食糧となる獲物を調達すると共に、女性と子供を外敵から守る役割を果たすことが必要だったから
2)女性 男性に守られながら、家庭という巣の中で子供を育てる役割を果たすことが必要だったから
といった性役割の差が指摘されている。

しかし、これまでは、なぜこうした性役割の差が生じたか、例えばなぜ男性が外に出るようになったか、なぜ男性が女性を守る必要があるかの根源的理由については、ほとんど触れられていない。

筆者は、上記の男女の能力差や性役割の差が生じた理由として、女性と男性との差の根源である卵子と精子の差、および身体に育児を養育するための機構(子宮、母乳の出る乳房)が付いている、いないの差に着目した。すなわち、

1)生殖時に担う、男性は精子、女性は卵子という違いが、女性=貴重品、男性=消耗品としての性質の違いに結びついている。
女性の担う卵子が、男性の担う精子より相対的に貴重であり、人口維持のキーとなっていることが、女性が男性によって守られることの根拠となる。

2)女性がいないと、子供を養育する生物としての仕組み(子宮で胎児を育てる、乳児に授乳する)が働かず、子供が育たないため、人口維持に直ちに影響する、というのも、女性を生物学的に貴重な資源とさせている。

と捉えた。

上記について、詳しくは、「生物学的貴重性と性差」という文章、および、人間の命の重さの不平等性についての検討-性別などの視点から-という文章を参照されたい。
 

このような観点からは、女性は、男性に比べてより大切にされ守られる「貴重な性(Precious Gender)」としての性質を強く持っていると言える。女性は、生物学的観点からは、「粗末な性(Humble Gender)」である男性に比べ、より上位に位置づけられる。「貴重な性」である女性は、生命維持という生物にとって究極的な価値を得ることができる分、危険にさらされる男性よりも、より高い、優先的な地位についていると言える。

これは、男性が社会集団の中で公式リーダーの地位についている場合でも同様である。女性は、自分の生命維持のために、公然と男性を、たとえ彼が公式リーダーであっても、犠牲にすることが許される(男性リーダーよりも優先して生き延びることができる)という特権を与えられている。

従来の社会的地位は、社会を動かす公的組織の長(リーダー)=上位というように専ら見られてきたため、社会的地位は男性上位であると捉えられてきた。しかし、それとは別の生物学的視点によって、優先的に生命維持を図れる度合いの強さという点から社会的地位の高さを捉えた場合、社会の中で、より大切にされ守られる存在である女性は、組織の長である男性よりもさらに地位が上である、と言える。

こうした「女性=貴重品」としての生物学的性質が、女性の行動様式の根源を決定していると考えられる。女性の生物としての貴重性が「女らしさ」を生む根本原因となっている。本当の女らしさは、基本的には、貴重品である我が身を守るために、自己の保身、安全に敏感なこと=「自己保身指向」「自己保全、安全指向」だと考えられる。

この点、女性は、「(自己)保身の性」(sex of self-preservation)と呼べる。女性が、頑強で優しい存在(男性)に自分が助けられ、守られることを絶えず指向する「守られる性(sex of being defended)」あるいは「助けられる性(sex of being helped, rescued)」となっているのは、自らを大切な貴重な存在であると考えることが原因であると言うことができる。

女性が自分の生命を犠牲にするのは、自分の子供が危険に陥った時とかに限定されると考えられる。

一方、「男性=非貴重品」としての生物学的性質は、「男らしさ」を生む根本原因となっていると考えられる。本当の男らしさは、基本的には、自分の保身を考えず、捨て身であること=「捨て身指向」であり、そこから、貴重な存在(女性、子供、VIPなど)を守る、助けるために、衝立、盾となって自己の生命を身代わりとして投げ打つ(自己の生命を粗末にする)こと=「衝立、盾(shield)指向」および、他人の助けをわざわざ借りずに一人で生き延びられる(自分の身は自分で守れるようにする)こと=「自衛・自立・独立指向」といった性質が出てくるのだと考えられる。

この点、男性は、「捨て身、ガード(他者守衛)、エスコート(護衛)、自衛の性」(sex of taking risk of life, guard, escort, self-defence)、あるいは、女性ら貴重な存在を後方にかくまって、外敵(これは、有害生物だけでなく、風水害のような自然の猛威とかも含まれる)と直接対決し、防御、攻撃する「外敵対決の性(sex of confronting enemies)」と呼ぶことができる。あるいは、捨て身になって、女性ら貴重な存在を「保護、守護、救助する性(sex of defence, rescue)」ということができる。

例えば、女性の書いたコミックで、ヒロインが男性に危ない場面から守られたり、助けられると、「○○君が私を助けてくれた!守ってくれた!」と、ヒロインの、その男性に対する好感度が急激にアップするという表現が頻繁に見られる。あるいは、自分が囚われの身になっているところを白馬に乗った王子に助けられたいとか、男性にお姫様だっこされて、抱き抱えられ、守られたいといった願望がしばしば登場する。この逆の女性が男性を助けるパターンはあまり見られないし、それによって、男性の女性に対する好感度が上がるという描写もあまりない。これが、女性が「守られる性」「助けられる性」、男性が「守る性」「助ける性」であることの一つの証拠例と言える。

要するに、女性は、自分のことが一番大切でかわいい、自分の保身、安全のためには他者(男性)が犠牲になってもやむを得ないと考える、自己本位、自分中心、自分優先、自己愛、自己憐憫の強い性であり、一方、男性は、大切な存在(女性)のために自分を犠牲にすることを一方的に強いられる性であると言える。この辺が、男性と女性の生得的な待遇の格差、男性差別につながっていると言える。

こうした生物学的貴重性の立場から書かれた性差心理学の研究は、まだあまり見られない。
 


この他、女性が「守られる性」、男性が「守る性」となるのは、生物学的貴重性以外にも、筋力の違いや身体のサイズという要因がある。

筋肉、筋力は男性は引き締まって強く、女性では、男性と比較して、より弛緩し、弱い。

筋力の弱い者は、外部の風雨や外敵等にさらされる環境適応においてより不利であり、筋力の強い者によって、保護され、守られる必要がある。

その点、筋力の弱い女性は、筋力の強い男性によって、その外界を守られる役回りとなると言える。筋力の強い男性は、外敵や風雨に直接対処して、強い力で外敵を倒し、風雨等を防ぎ、より内側の、筋力のない、無力な女性を守ることになる。従来なされてきた「女性=内側(ウチ)、男性=外側(ソト)」の区別も、このことと当然関係あると言える。

ただし、男性が本来、外敵や風雨等から女性を守るために使うべき強い筋力を、女性を攻撃して、服従させ、支配するために用いる事例が出てくる。これが、例えば家庭内ならドメスティック・バイオレンスということになるし、強姦とかもこの事例に含まれる。

一方、生まれつき筋力の弱い女性を男性が強い筋力で抑えつけるのはアンフェアだという考え方も当然のこととして女性、男性双方の間に浸透しており、その場合、口頭議論で済ませるべきということになるが、この場合、女性の方が生まれつき滑舌であり、ペラペラと口が回るため、口頭で攻撃されると、女性が有利となり男性は不利となってしまう。


これらとは別に、男性は背丈等身体のサイズが大きく、これに比べて、女性は、小さいことが多い。身体のサイズの大きい者は、小さい者の「盾」となって、外敵や風雨から守ることができる。このことも、男性を「守る性」、女性を「守られる性」としていると言える。


よく「女子供」という言い方で、女性と子供を一緒にして捉える見方が一般的である。

これは、女性が母親として子供を養育する子守の役に回ることが多く、子供と一緒にいることが多いと考えられるからであるが、実は、女性と子供の間に共通性が多いことも関係しているのではないかと考えられる。

要は、子供も、女性も、同様に「守られる存在」なのである。

子供は、子供を生んだ若い夫婦にとっては、かけがえのない貴重品、自分の命と引き換えにしても惜しくない存在であり、生きる望みの源である。それゆえに、大切に扱われる。

一方、子供は無力な存在である。体が小さく、未熟で、筋力とかが弱い。まだ生活能力が十分発達しておらず、自分一人だけでは生きていけない。それゆえ、力の十分強い者によって保護される必要がある。

こうした子供の貴重性、弱者性は、女性の生物学的貴重性、あるいは、筋力の弱さや体の小ささに基づく一種の弱者性と共通していると言える。こうした、貴重性、弱者性が、女性と子供を共通に「守られる存在」としており、それゆえ、女性と子供は、「女子供」と一括りにされるのである。


A.「女らしさ」の検討


「女性=貴重品、守られる性、保身の性」という視点からの「女らしさ」としてどのような点が考えられるかを以下に箇条書きの形でまとめた。



◎A1.「自己の貴重視」

自分のことが一番貴いと考え、他者に大事、大切に扱ってもらいたがる。

(1) 被保護指向 自分が周囲の人間によって、貴重な存在として守られる・助けられる立場に回ることを根源的に望む。
(2) 高貴指向 自らを(お姫様、お嬢様のような)高貴な存在と見なし、プライド(お高く止まる度合い、誇り、自慢の度合い)が高い。
(3) 上品指向 自らの品位の高さに気を配る。高貴・上品と思われたがる。書物やビデオなどに品位を欠く表現がないかどうかうるさくチェックする。
(4) 礼儀敏感性 自分に対する礼儀にうるさい。互いに相手が自分に失礼でないかに敏感である。
(5) 自己本位、自己愛指向 自分のことが一番かわいい。自分のことが一番大切である。鏡に映る自分の姿に見とれるなど、自己愛が強く、ナルシストである。
(6) 弱いふり指向 自分が社会の中で強者であることを認めると、誰にも守ってもらえなくなるので、例え強者の立場にいても(農耕社会の女性のように、男性より強くても)、弱い振りをして(男性に)守ってもらおうとする。被支配者として扱われたがる。力のか弱い感じを好む。


◎A2.「安全第一指向」

何事も安全第一で危険を冒そうとしない(危険回避指向)。失敗を怖がり避けようとする(失敗回避指向)。 自分が新たに物事を始める際に慎重であり、選択が保守的である(慎重、保守指向)。


○A2-1.「前例、退嬰指向」

←どんな危険や失敗が待ちかまえているか知れない未知の対象や状況を避けるため。そこそこ恵まれた今までの状態が今後も続くのを望むため。

既にその通り実行すれば安全で問題のないことが確立されている前例に従うことを何よりも重視し、そこから外れる新しいことを行うのを嫌い、避けようとする。

今までしたことのない新しいことに、自分が入って取り組むのを躊躇し、怖がり、誰か他の人がやってくれないかと実行を他者に転嫁しようとする(退嬰性)。先輩の作ったすでに安全性が確認されている前例、しきたりをひたすら守り、そこから外れたことをしようとしない。他者の成功例の模倣に長けている。試行錯誤をいやがり、これが必須となる独創性を重んじない。前例をよく知っている人を尊敬し、何もない状態から何かを作り出す人を軽んじる。前例をよく知っている先輩とそうでない後輩との間の支配・従属の上下関係がきつい(学校ばかりでなく、家庭の中の嫁姑関係もこれに当てはまる)(先輩後輩制、年功序列の重視)。


新たな物事を行うため前進するのに、まともに風を食らうハードな環境で過ごさなければならない一番手になることを嫌い、防風役の一番手が前にいることによって直接風を受けなくて済む、より楽で安全なな環境で過ごせる二番手となることを好む(二番手指向)。例えば、誰かが失敗を繰り返しながら未知の新しいこと(製品作りなど)に挑戦している間は、じっと待ってひたすら傍観を決め込み、成功したと見るや、パイオニアの行動を一斉に真似たり、それにちょっとだけ改良を加えた成果を社会に送り出して、結果的に一番手のパイオニアを駆逐する(コピー・物真似指向)。

現在のそこそこ恵まれた環境からの変化(例えば、現在の地位や所属を捨てて新しい環境へと冒険することなど)を好まず、大企業や役所勤務など安定した環境に、自分(や自分の家族)がずっとい続けるのを望む(安定指向)、あるいは、そこそこ居心地よい現状がそのまま変革されずに続くのを好む(保守・現状維持指向)。←「好条件の環境にい続けたがる」という点で、2.5「温室指向」とも関連する。

女性が、安全第一で危険を回避するため、(どんな危険が待ち構えているか分からない)未知の領域、分野に踏み込んで探検しようとしないことは、未知の領域、分野に入ることで得られる新しい境地、知見に、最初に接することができないことを意味する。その点、最初にそうした新しい知見、発見に接することのできる男性に比べて、新しい知見を得るのが必ず一歩遅れることになる。その点、技術・文化の発展において、女性(の強い社会)は、男性(の強い社会)に比べて、必ず一歩後進的となる(文化的後進性)。



○A2-2.「権威追従指向」

←権威者の後をついていれば我が身の安全が保たれるため。

権威者(先生、上役)や権威ある集団(家元.など)の後を追随したがり、お上の権威やブランドに弱い(ブランド指向)。自分のこれからの行動を自分を守ってくれる権威者に決めてもらおうとする。権威者の決めた規則に従順である(よく守る)(規則遵守指向)。規則が自分の真意に反している場合、表向きは従う(反抗しない)が、そうすることでストレスがたまると、裏で陰口を叩く(面従腹背)。

自分自身の生きた証(社会に広めるべき、自分自身の後天的・文化的コピー)を、権威ある者と不可分に一体化することで、「自己=権威者」という形で残す。
 



○A2-3.「責任回避」

←失敗したときに責任を取らされて、社会的生命を断たれる(周囲の皆から村八分に会う、社会の中で公然と生きて行けなくなる、皆から見限られていざという時助けてもらえなくなる、糾弾・嘲笑・処罰・失脚の対象になる)ような危ない、恥ずかしい目に会わないようにするため。
 
(1) 責任回避、責任転嫁指向 失敗したとき、自分から進んで責任を取ろうとしない。誰か他の人が代わって取ってくれないかと望む。責任を他者になすりつける(責任転嫁)か、周囲との連帯責任に持ち込む。
(2) 受動指向(受け) 自ら進んで行動を起こすと、取った行動に対してより大きな責任が生じてしまうので、自分からは行動を起こさず、受動的な(受け身の)態度を示す。
(3) 高地位回避指向 大きな責任が生じる社会的に公式の高い地位・役職につくことを進んで避ける(責任者になろうとしないか、なっても「主」ではなく「副」責任者に止める)。男性を責任の伴う公式に高い地位へと積極的に追い立てつつ、自分たちは責任を取らなくて良い、気楽な立場を維持しようとする。
(4) あいまい・間接指向 直接的で明快な態度を取ると、取った行動に対する責任がより明らかになってしまうので、間接的で遠回し、玉虫色のあいまいな態度を取ろうとする。
(5) 自己決定の欠如、服従指向(マゾヒスト) 自分で自分の将来や取るべき行動を決めようとせず、周囲の他者に決めてもらおうとする。(有力な)他者の決定に素直に一方的にハイハイと服従し、他者の言うことを聞く(マゾヒストである)。いざ失敗したら、決めた他者の責任とすることができる(そうすることで自分は責任逃れができる)。自分の将来取るべき行動をアドバイスしてくれる占いを好む。他者に何でも決めてもらう分、自分は他者に操られているという被害者意識を抱きやすい。
(6) 決断回避・先送り指向 自分からは進んで決断することをしないで、決断を先送りする。自ら決断すると、その判断について責任を問われてしまうため、それをいやがり避けようとする。
(7) 支配の非公式性 自ら公式に社会の支配者であることを認めると、社会に対する、支配していることへの結果責任が生じてしまうので、実際に支配する立場にいても、決して認めようとしない。社会の支配者はあくまで男性であると主張する(例えば、女性・母性が実質的に優勢な日本社会において女性フェミニストが通常取る態度である)。他者を支配するとき、責任を伴う公的な組織の長に自らなるのではなく、長になった男性の生活上の管理者(母親や妻)になることで、責任からは自由になった状態で非公式な支配を行う。



○A2-4.「高不安性」

自分の周囲に存在する危険の可能性に対して敏感であり、自分がいつ危ない目に会うか、そのことに専ら注意が向いて、怖がり、臆病な態度を示す。身の安全確保に対する確信が持ちにくく、自身の保身を脅かす対象がいつ自分の近辺に現れるか分からないと考えて、怯える。自分を守ってくれる(ボディガード、エスコートしてくれる)シェルター役の存在(特に男性)を望む。



○A2-5.「内部指向」

よりよい条件の下で生き延びることを指向するため、苛酷な外部環境(冷たい外の風)に直接さらされるのを避け、温かさが常時保たれる(外部環境から遮断された)内部領域に留まろうとする。ピンク、赤のような暖色、心理的な暖かさを好む(温室指向)。

外部の見知らぬ危険かもしれないよそ者~外敵と直接向き合う必要のある(自己の属する家族~組織の)表面に露出することを避け、内部~奥に止まろうとする(表面回避指向)。日本において主婦のことを「奥さん」と呼ぶ慣行がこれに当たる。組織の顔として外部に直接露出する立場である、(自己の属する家族~組織の)代表になることを避けようとする(代表回避指向)。

戦争やビジネス戦線とかで、銃弾の飛び交う危険な前線には直接出ようとせず、専らエネルギー供給、飲み物配給等の後方支援に回る役目を果たそうとする(後方支援指向)。



◎A3.「心理的近接」 互いに心理的に近づき合い、一体化し、助け合おうとする。

○A3-1.「人間関係への指向」

←人と人との間を互いに結びつけることで、人々が互いに協力し合って、環境適応上の困難を克服できるようにさせるため。互いに関係を取り合って、いざという時に互いに助け合うことができるようにするため。
 
(1) 関係構築・維持指向(関係の本質視) 人間関係に長じる。関係を持つことそのものを重視する。人間自体に興味を持って近づこうとする。人形遊びのように、人間をかたどったものに関心がある。人間とはかけ離れた機械的なメカとかには関心がない。女子いじめの手段として無視が効果的であることからも分かるように、人間関係を断たれることに弱い。一人孤立したままい続けることが難しく、常に他者との関係を維持することを求める。
(2) 親密、馴れ合い、仲良し、タッチ指向 互いにベタベタくっつき合うのを好み、人間関係が濃密・濃厚である(ウェットである)。互いに周囲の他人に心理的に近づいて親密な関係を保とうとする。互いに馴れ合おう、仲良し集団を作ろうとする。互いの親密さを無限に追求しようとし、相手が他に親密な相手ができると嫉妬する。同性の友人同士手をつなぎ合って帰るなど、互いの肌を触れ合うこと(タッチ)が自然である。親和欲求が強い。
(3) 自己開示指向 自己開示を好む。自分のことを相手によりよく理解してもらうことで、自分と相手との距離を縮めようとする。
(4) コミュニケーション指向 人間関係を強化して、いざというときに連帯・協調して助け合いやすくするため、他人とのおしゃべり、コミュニケーションが好きである(コミュニケーションの本質視)。しゃべること自体が自己目的化している。他者とのコミュニケーションがしつこく、なかなか互いに話を切ろうとしない。
(5) 配慮、気配り、親身、ケア指向 周囲の他者との良好な関係を保つため、絶えず周囲に配慮、気配りするか、配慮、気配りしているという姿勢を見せようとする。困っている他者とかを親身になってケアしようとする。周囲の他者を、自分の注意の対象、ケアのスコープ内に含める、内包することで、他者と心理的に一体化しようとする。
(6) 依存、甘え指向 周囲の他者と心理的に近くにいて、(互いに)依存しよう、甘えようとする(「甘えの性」である)。すなわち、独立自立の(孤独を耐え忍ぶ)精神に欠ける。誰かに守ってもらわないと不安で仕方がない。
(7) 表面的過剰自立指向 周囲の他者と仲良く相互依存して生きていくのがデフォルトの生き方である。そのため、何らかの形で、周囲の他者の援助を得られなくなって(今まで所属していた集団から外れて)一人で自立して生きていこうとするときに、男性に比べて、肩に力が過剰に入ってしまい、「自分はひとりぼっちなんだ。誰も助けてくれないんだ。」とヒステリックに決めつけ、見かけ上過剰に自立した態度を取るが、本当は誰かに助けてもらいたくて仕方がない。独力で生活していくのに自然でいられる男性に比べて、女性は悲壮な覚悟を決めがちである。
(8) 安定組織所属指向 「寄らば大樹の陰」ということわざ通り、中央官庁や大企業のような安定した集団に所属して、いざというとき、同じ組織に属しているということで自分を助けてくれることを望む。自分の後ろ楯となってくれる組織が潰れにくい(組織が自分を守ってくれる状態が永続する)ことを指向する。
(9) 反プライバシー 周囲の他者との間で、互いに互いをチェックし合うのを好む。互いに相手が今何をしているか見えない個室をいやがり、大部屋で皆がいるのを好む。他人の噂話をするのを好み、プライバシー侵害の概念に疎い。
(10) 注意誘引指向 自分の存在をアピールして他者に気づかせ、周囲の他者が自分のことを助け忘れるのを防ごうとする。自分に対して他者の注意を引き付けようとする。他者に対して自分へと興味を集中させようとする。ヒステリーを起こすなどして、周囲の視線が自分に集まるようにする。周囲の気を引くのを好む。周囲に自分のことを見られることが快感である。他人の視線を前提とした自己呈示の方法である化粧や服飾に対して強い興味を示す。
(11) 中心人物化指向 周囲から注目を集める、ちやほやされる、対人関係面での中心人物となることを目指す。そうした人物になることを勝者、成功者と見なす。
(12) 評価・期待敏感指向 他人に自分がどう見られているか、思われているかをしきりに気にする。周囲の自分に向けられる視線が気になり、盛んに恥ずかしがる(いわゆる日本=「恥の文化」の立役者であり、「恥の性」である)。他者に対して視線恐怖を起こしやすい。周囲の自分への期待に敏感である。周囲の他者に気に入られよう、受け入れてもらおうとする。
(13) 感情・情緒指向 物事や他人を好きか嫌いかで感情的、情緒的に捉えようとする。対象との距離をひたすら近づけよう(入れ揚げよう)とするか、遠ざけよう(離れよう、避けよう)とするかのどちらかしかできない(対象への心理的近接・忌避)。公平・中立に物事を距離を置いて見ることができない。人や物事への距離感が欠如している。
(14) 主観・直観の重視 他者との関係で冷静に一歩引くことが必要な、客観的、科学的な論理の振り回しを好まず、主観的勘に基づいた直観的判断を行うのを好む。
(15) 関係粘着、しつこさ指向 いったん自分とつながった、関係を持った相手や対象(ネット掲示板等)に、いつまでもしつこく付きまとおうとする。いったん始めた会話を、話題を変えて、いつまでもしつこく続けようとする。



○A3-2.「心理的集合・密集・一体化」

←独りでいることから来る、誰も自分を助けてくれない、という不安から逃れようとするため。周囲の他者と近接することで、「周囲の皆と一緒にいる」という一体感が生まれ、「独りでない」 、「互いに困ったときに助けてもらえる」という安心感に浸ることができるため。
(1) 集団主義 周囲の他者と物理的・心理的に近づいた状態としての集団を維持すること自体を好む。いつも集団で行動するのを好む。集団・団体でまとまっているのが好きである。トイレに行くのに、1人ではなく、複数人で連れ立って行く。食事を仲良しグループで固まって取る。集団から外れるのを恐れる。
(2) 同調、迎合指向 周囲で流行っていることを、自分もやろうとする。周囲の服装などの流行にうるさく、細かくチェックしようとする。周囲に対して同調性が強い。周囲の動向に自分が付いて行けないことを恐れる。周囲の動向に自分を合わせる。自分を周囲の他者と一緒、一体化しようとする。周囲との調和・和合を保つことに心を砕く。
(3) 密集指向 周囲の他者と一緒に狭い空間内にいる密集状態を(男性より)好む。
(4) メジャー(多数派)追従指向 周囲の皆が採用する、多数派、主流派に当たる事物の方を自分も進んで採用しようとする。多数派になることで、自分と同じ考えの仲間が数多く存在するのを好む。
(5) 相互一体化・融合化指向(一体感の重視) 対象との距離をより近く取ろうとし、対象との一体・融合化を指向する。相手との一体感を偏重し、「愛」という言葉を使うのが好きである。物事に対して客観性が欠如している(客観的な見方ができず、非科学的である。宗教・迷信を信じやすい)。対象を自らと一体化し、包み呑み込む態度を取りやすい。従来、母性や愛情と言われてきたのがこれに当たる。対象となるものを受容する(受け入れる)ことに長けている。心理的に一体化しやすい(抱きしめたい)ものを、「かわいい」と言って好む。恋人とかとのドロドロした愛憎関係を心の底で好む。
(6) コピー指向 他人が身につけた優れたアイデアを、自分も直ちにコピーして身につけようとする。コピーすることで、「私もあなたと同一、同質になった、追いついた。一緒だね。」という一体感を相手に示そうとする。周囲の流行を追おうとして、自分も周囲の動向を安直にコピーすることに忙しく、大元のアイデアを考え出した人のオリジナリティには余り考えが及ばない。
(7) 閉鎖・排他指向 閉鎖的、排他的な仲良しグループを形成し、いつもそのメンバーでいようとする。閉じた空間・メンバーに限定された中で、同じ仲間と繰り返し息の詰まるような相互の親密さを追求しようとする。よそ者を入れると、今まで仲間と作り上げてきた親密な雰囲気が失われるので、よそ者の加入をいやがる。
(8) 相対評価指向 自分の評価を、周囲の仲間と序列づけて比較する形で行う。閉じた集団~仲間の中で自分が何番目にいるか、ということにうるさい。一緒に同席している女性集団の中で一人がほめられると、他の同性の仲間が、自分がより低く扱われたと機嫌を損なう。他者が自分よりちやほやされ、優遇されると、ライバル視して、足を引っ張ったり、自分の方が格上であることを示そうとして、競争心を燃やす。
(9) 規制・横並び・平等指向 各々が自由競争を行うことで、互いの間に大きな格差が生じて、敗者の心の中に勝者に対する嫉妬心が芽生え、互いの仲の良さ・一体感・調和・協調が崩れるのを避ける。競争を好まない(非競争指向)。なるべく相互の間に格差が生まれないように、横並び・平等になるように、護送船団・談合方式の規制をかけようとする。突出者の足を引っ張って、皆と平等の状態に戻そうとする(「出る杭は打たれる」を実践する)。
(10) ソフト感触、柔軟指向 互いに近接して存在するときに、相互にぶつかっても心地よい感触を保てるように、人当たりをソフト・柔らかにする。肌にソフトな柔らかい感触をもたらすぬいぐるみなどを好む。一見弱いが、柔らかくしなやかで、力が加わっても折れない強さを持つ。
(11) 所属指向 どこかのグループに必ず所属しようとする。どこのグループにも入れてもらえず、孤立無援の状態に陥るのを何よりも恐れる。自分が所属する集団(学校、会社等)の格付けを盛んに気にする。
(12) 仲良し・結束強調指向 自分が所属するグループ内の仲の良さ、和合、結束の強さを、互いの持ち物を揃えるなどして対外的にアピールしたがる。
(13) 陰口・いじめ指向 グループ内の不満を、グループ外に表面化・表沙汰にせず、グループが表面上はうまく行っている(皆仲良し)ように取り繕いつつ、裏で陰口を叩いたり、悪口を言ったり、周囲の目に触れないところで不満の捌け口となるスケープゴートを作って皆で寄ってたかっていじめる。
(14) 排除回避指向 自分が所属するグループから排除されて仲間外れにならないように気を遣う。グループの主流派におべっかを使ったり、スケープゴートの悪口を一緒になって言ったりする。
(15) 突出者排除指向 所属する集団の中で、限度を超えて突出した者、個性が強すぎる者を、場の調和、和合、一体感を乱す者として非難し、集団から追い出す。
(16) 護送船団指向 自己保身のために、互いにまとまって、船団のような集団を作ろうとする。
(17) 和合、調和指向 互いに和合し、相互の一体感、調和を強調し、そのように相互に馴れ合った状態を持続させようとする。
(18) (自由)競争回避、横並び指向 互いの歩みを横並びに揃えてグループを維持するために、自由な競争を回避しようとする。



○A3-3.「注意の近視・表面・末梢性」

←物事に対する興味を自分の身の回りの狭い安全な範囲に限定し集中させるため。

ものの見方が近視眼的である。自分の今いるところから近距離の空間、短時間の手が届く範囲に専ら注意が行き、実用性に富む判断をする反面、遠大な計画性に欠ける(近距離・短時間指向)。物事の細かいところ、瑣末な枝葉のポイントにこだわり、きびしくチェックしようとする(姑による嫁いじめなど)(詳細、細密指向)。大局的な視点に欠ける(末梢、末端指向)。

ものごとの本質を追わず、枝葉末節の飾りにこだわる(装飾重視指向)。身の回りの品を購入するのに、その品物の機能本来について(環境適応にどう役立つか)よりも、どんな飾りが付いているか、見栄えはどうか(ファッション、デザイン)に関心が行く(機能軽視指向)。ものの見方が近め、浅め、表面的である(思考の奥行き欠如)。

自分の身辺の狭い、薄い範囲に注意が集中し、身の回りのちょっとした雰囲気の変化に敏感である。身辺の状況変化を感じ取る皮膚感覚に優れる(身辺敏感指向)。




○A3-4.「スケールの小ささ(限定分布性)」

←安全が確保される領域は、そうでない領域に比べて、小さく、限定されており、その中での自己実現のスケールは、自ずと小さく、ちまちまとしたものとなるため。

安全性が確保された狭い領域内に、自ら限定して分布しようとする。安全枠の外に出ようとしない。
限定された小さな領域の枠内で、自己実現をしよう、成果を出そうとする。安全枠内に囚われた形で物事を考える。
自身が生み出す成果、生産物が、スケールの小さい、壮大さに欠ける、繊細なものになる。
小ぶりの、スケールのこじんまりと小さくまとまった「かわいい」ものを好む(かわいさ指向)。

巨大組織にはあまり興味がなく、範囲の狭いこじんまりとしたアットホームな組織(会社、NPO・・・)、ないし縁故ネットワークの中で、主導権、支配力を握ることを指向する。


◎A4.自傷回避指向

貴重品としての自分が、外的な力で傷付くことを恐れ、回避しようとする。

(1) 衝突回避指向 相手とぶつかることで、自分に傷が付いたりや割れができたりすることを避けようとする。
(2) 静的指向 むやみに速く動いて、何かにぶつかった際に、大きな傷を負わないように、静かにじっとしているか、ゆっくりと慎重に動こうとする。落ち着いた、丁寧な、雅やかな挙動を取ろうとする。
(3) 繊細指向 自分のことを、繊細で傷つきやすい存在と捉え、傷が付かないように、大切に気を配る。がさつな行動を忌避する。女性コミック作家のキャラクタとかを描く線が、か細く、繊細である。
(4) 非破壊、共存指向 相手を破壊しよう、割ろうとせず、ありのままの形で受け入れ、共存しようとする。


B.「男らしさ」の検討


「男性=非貴重品、守る(ガード・守衛の)性」という視点からの「男らしさ」としてどのような点が考えられるかを以下に箇条書きの形でまとめた。



◎B1.「自己の非貴重視」

女性やその他重要人物のことを大事、大切に扱い、守ろうとする。そのために、自分が粗末な扱い(命を落とす、怪我をするなど)を受けても構わないと考える。

(1) 守衛・保護指向 周囲の貴重な存在として守られる・助けられるべき立場の人物(女性、VIP、子供など)を守ることを根源的に望む。
(2) 非高貴指向 自らを粗末な存在と見なし、高ぶらない。気さくである。
(3) 下品容認指向 自らの品位の高さをさほど気にしない。下品でも構わないとする。
(4) 無礼容認指向 自分に対する礼儀が守られるかどうかをさほど気にしない。互いの態度が多少無礼でも構わないとする。
(5) 強がり指向 自分が社会の中で守衛・防衛・保護者として役立つことをアピールするため、(農耕社会の男性のように)例え社会的に(女性より)弱者の立場にいても、(女性よりも)強い振りをする(強がる)。自分のことを強者、支配者として扱ってもらいたがる。


◎B2.「安全提供指向」

自分より貴重な存在の身の安全を守ることに心を砕く。そのために危険に直面することを厭わない(危険直面・対峙指向)。 また、失敗を恐れず、果敢に立ち向かっていこうとする(失敗直面・対峙指向)。



○B2-1.「リスク、危険、未知指向」

←どんな危険や失敗が待ちかまえているか知れない未知の対象や状況の解明に、自身を実験台上のモルモットと見なして積極的に挑もうとする。そうすることで、失敗を繰り返しながら、自分が守ろうとする存在の生存可能性をより高めることのできる工夫や方策を見出すため。

すでに安全性が確認されている前例から外れた、今まで誰も入ったことのない未知の分野で業績をあげることに長けている。誰も入ったことのない未知の、どんな危険が待ち構えているかも知れない領域・空間を探検するのを好む(探検指向)。失敗を恐れず冒険・挑戦するのを好む(冒険・挑戦指向)。試行錯誤が必須となる独創性を重んじる(独創指向)。前例をよく知っている先輩とそうでない後輩との間の支配・従属の上下関係が緩く、年少者でも、独創的な成果をあげた者は上位者扱いされる(年功序列の弱さ)。

新たな物事を行うため前進するのに、まともに風を食らうハードな環境となる一番手になることを厭わない(パイオニア指向)。

現在の環境からの変化(例えば、現在の地位や所属を捨てて新しい環境へと冒険することなど)を好む。絶えず新天地を求め、そこそこ居心地よい現状をも積極的に変革していこうとする(変革指向)。

未知の領域、分野に進んで入る分、新しい知見を真っ先に得ることができ、(進んで入ろうとしない女性に比べて)より先進的な文化、技術を持つことができる(文化的先進性)。

自分自身の生きた証(社会に広めるべき、自分自身の後天的・文化的コピー)を、自分で切り開いた独創的な成果という形で残す。
 



○B2-2.「権威非追従指向」

←権威筋の他者に自分を守ってもらうのを好まない。自分の身は自分で守ろうとするため(自己防衛指向)。

自己の保身のために権威者の後を追随するのを好まず、権威に反逆したり、権威筋とは別の独自の道を歩もうとする。

相手に権威のあるなしで、相手の評価を変えることをしない。相手が権威者かどうかに影響されず、公平・客観的な評価を、相手に対して下そうとする(権威非影響性)。権威者の後ろ楯のない無名の新人でも、才能があれば、積極的に評価する(無名評価指向)。



○B2-3.「責任受容」

失敗したときに責任を積極的に取る。責任を取ることで、自分自身が社会的生命(組織内地位、社会的な評判など)を断たれる危ない目に直面することを厭わない。 自分が責任を取ることで、周囲の守るべき他者に責任が及ばないようにして、守ろうとする。
 
(1) 責任取得指向 失敗したとき、自分から進んで責任を取る。責任転嫁をしない。責任は一人で取り、周囲との連帯責任に持ち込むことはしない(責任単独取得指向)。
(2) 能動指向(攻め) 自ら進んで行動を起こす。取った行動に対してより大きな責任が生じてしまうことを恐れない。失敗覚悟で積極的に攻める。
(3) 高地位就任指向 大きな責任が生じる社会的に公式の高い地位・役職に進んでつこうとする(責任者になろうとする。「副」責任者ではなく「主」責任者になろうとする)。
(4) 直接・明快指向 直接的で明快な態度を取ることで、取った行動に対する責任がより明らかになってしまうことをあえて受容する。態度を直接化・明確化することで得られる、業務効率化などのメリットを、失敗時の責任追及の矛先となってしまうデメリットよりも優先する。
(5) 自己決定指向 自分で自分の将来を決めようとする。周囲の他者頼みにしない。いざ失敗したら、決めた自分の責任となってしまうが、それでも構わないとする。
(6) 決断・即決指向 自ら進んで決断しようとする。決断の時期を積極的に早めようとする。決断することで決断結果への責任が生じることを避けようとせず、生じる責任に真正面から対処、対決する準備を怠らない。
(7) 支配の公式性 自ら公式に社会の支配者であることを積極的に認める。社会に対する、支配していることへの結果責任が生じてしまっても構わないとする。
(8) 優劣明確化(闘争、敗者の道具化)指向 互いの能力面での優劣をはっきりさせようと、互いに闘争する。勝った方が、負けた方を手下、道具としてこき使うことを許容する。
(9) 支配・制御能力誇示指向 自分はこんなに、他人を打ち負かす、他人を寄せつけない、高い対象(物体、道具、人)制御・支配の能力があるんだと、周囲に誇示、自慢しようとする。他人に自分が支配・制御能力がないと疑われると、プライドを傷つけられる。



○B2-4.「低不安性」

自分の周囲に存在する危険の可能性に対して心の準備ができており、積極的に立ち向かっていこうとする。危険に対して、怖がったり、臆病な態度を取ったりしない。自身の安全確保に対する確信を持ちやすい。自分の身は自分で守ろうとする。



○B2-5.「外部指向」

外部環境に直接露出する表面領域に出ようとする。

生存のためのよりよい条件を、自分より大切・貴重な他者に譲ることを指向するため、苛酷な外部環境(冷たい外の風)に直接さらされるのをあえて受け入れる(苛酷環境受容指向)。青、水色のような寒色を好む。環境の冷たさ、風当たりの強さを受容し、耐えようとする。

外部の見知らぬ危険かもしれないよそ者~外敵と直接向き合う必要のある(自己の属する家族~組織の)表面に、積極的に進んで出よう、露出しようとする(表面露出指向)。組織の顔として外部に直接露出する立場である、(自己の属する家族~組織の)代表になることを進んで引き受けようとする(代表役割引受指向)。


戦争やビジネス戦線とかで、銃弾の飛び交う危険な前線に直接出て、命を惜しまず体を張って敵と戦闘を交える役目を果たそうとする(前線露出指向)。



◎B3.「心理的分離」 互いに心理的にバラバラに分散し、自立しようとする。



○B3-1.「非人間(物質・物体・メカ)指向」

←普段は、互いに自立性を保ち、できるだけ他人の助けを借りずに一人で生きて行けるようにするため。
 
(1) ツール(道具)指向、関係の手段視 ツール、道具を使うこと、物事をツールとして道具視することを好む。人間関係や他人を、何か物事を実現するためのツール・道具として捉える。人間自体には、あまり興味がない。人間とはかけ離れた機械的なメカや、岩石のような無機的な物質とかに関心を持つ。人間関係を断たれることに強い。一人孤立したままい続けることがさほど困難ではない。他者との関係は、それが自分自身の生存に役立つ手段として利用できるときのみ構築する。
(2) 淡白関係、非タッチ指向 互いにベタベタくっつき合うのを好まない。人間関係が淡白、あっさりしている(ドライである)。互いに周囲の他人に心理的にむやみに近づこうとせず、一定の距離を置くことで、互いの独自領域(心理的な縄張り)を侵犯しないようにする。同性の友人同士で互いに肌を触れ合うのを避ける。
(3) プライバシー指向 自分のプライバシー(他者の侵入を許さない独自領域)を確保する、守ることに熱心である。自己開示を好まない。自分個人のことは、自分の心の内側にある独自領域にしまっておこうとする。互いに、自分が今何をしているか相手からは見えない個室にいるのを好む。
(4) コミュニケーションの手段化 互いの自立性を確保するため、他者とのコミュニケーションを必要以上に取ろうとしない。他者とのコミュニケーションが、用件解決の手段化、道具化しており、用件が済んだら、さっさと話を終わらせようとする(コミュニケーションの手段視)。
(5) 自立指向 周囲の他者と心理的に離れて、相互に独立し、自立しようとする。他者の力を借りずに独力で生活して行くことが自然にできる。
(6) 個人独立指向 中央官庁や大企業のような大きな集団に所属することに必ずしもこだわらず、個人で独立した業務をこなすコンサルタントや、ベンチャービジネスの起業家のような「一匹狼」になることを厭わない。自分の後ろ楯となってくれる組織を必ずしも求めない。
(7) 注意非誘引指向 自分の独自領域(心理的な縄張り)に他者が入ってくるのを防ぐため、他者に対して、自分へと興味があまり集中しないようにする。周囲の視線が自分に集まるように周囲の気を引くのを好まない。他人の視線を前提とした自己呈示の方法である化粧や服飾に対する関心が薄い。
(8) 評価・期待鈍感性 自分が構築した独自の世界の中へと興味が集中してしまい、周囲の自分への期待に対する敏感さに欠ける。他人に自分がどう見られているか、思われているかを余り気にしない。周囲の自分に向けられる視線が気にならない。周囲の他者に気に入られよう、受け入れてもらおうとする気が薄い。
(9) 客観指向 物事や他人を好きか嫌いかで感情的に捉えようとせず、客観的、ドライに判断しようとする。公平・中立に物事を距離を置いて見ようとする。距離感がある対応をする。
(10) 自力制御・支配指向 (扱うこと、勝つこと、支配することの難しい)対象(物体、道具、人)を完全に自分一人の力で制御、支配できる人間になることを目指す。



○B3-2.「心理的分散」

←自分の力の及ぶ独自領域(縄張り)をなるべく広く取って、互いに独自領域(縄張り)を侵犯しにくくするため。
(1) 個人主義 周囲の他者と物理的・心理的に離れた、個人でバラバラに動き回れる状態を好む。単独行動を好む。集団・団体でまとまって行動するのを好まない。集団から外れて一人になるのをさほど気にしない。
(2) 非同調指向 周囲で流行っていることとは無関係に、自分の独自に興味ある分野の探求をすることに熱心である。周囲の服装などの流行に、女性に比べて疎い。周囲に対して同調性が弱い。周囲の動向に自分を合わせようとしない。自分を周囲の他者とは別物、独自の存在として扱おうとし、周囲と不調和になっても構わないとする。
(3) 広域分散指向 周囲の他者からは大きく距離を取って、互いに広い面積に分散して存在することで、自分の独自領域(縄張り)がなるべく大きくなるのを好む。周囲の他者と一緒に狭い空間内にいる密集状態を嫌う。
(4) マイナー(少数派)指向 周囲の人々が心理的に密集している多数派よりも、人のまばらな少数派を指向する。
(5) 相互分離・切断指向 対象との距離を一定以上取ろうとし、対象との分離を指向する。相手と必要以上の一体・融合感を持つことを嫌い、対象との関係を切断しようとする。物事に対して客観的な見方をし、科学的である。宗教・迷信を信じない。対象となるものを自分から離して客観的に見つめることに長けている。
(6) オリジナル指向 自分と他人とは違うんだという立場に立ち、自分オリジナルのアイデアの創出を大切にする。他人が発明した優れたアイデアを、そのまま無条件に直ちに自分自身へとコピーしようとはせず、独自に別のアイデアを考え出せないか、工夫しようとする。自分ばかりでなく、他人のアイデアについても、そのオリジナリティを尊重する。
(7) 開放指向 形成するグループが外部に向かって開いており、よそ者も能力や適性を認められれば、いつでも自由にグループに加入できる。メンバーが、必要に応じて外部と容易に入れ替わる。グループは、何か目標を達成するためのあくまで手段であり、目標が達成されたら解散する。グループ成員同士の付き合いが自己目的化しない。
(8) 絶対評価指向 自分の評価を、周囲の仲間と比較せず、グローバルで絶対的な基準を用いて行う。自分が取った点数そのものに関心が行き、その点数が自分の所属集団の成績分布の中のどの位置に当たるか、ということにはあまり関心がない。一緒に同席している集団の中で一人がほめられても、自分に対する評価はそれとは独立、無関係に行われると考え、動揺しない。
(9) 自由競争指向 互いに束縛されず、個々が各々独立して自由に動き回れるのを好む。他者より有利な立場に立つための手段を選ぶ際に、なるべく規制を受けず、ダイナミック、大胆に立ち回れるのを好む。自由競争の結果、格差や上下関係が生じても、その結果を甘んじて受ける(責任を取る)。格差を容認するとともに、失敗時のやり直し・格差挽回の機会がいつでも平等に与えられることを望む。
(10) 能力主義、自己能力へのプライドの高さ 問題を解決する持つ能力の高さで人間の格を測ろうとする。自分の能力の高さに対して、高いプライドを持ち、他者が自分より高い能力を示すと、ライバル視して、自分の方がより高い能力を持っていることを顕示しようとする。
(11) ハード感触、剛性指向 金属や岩石のような、ゴツゴツした硬い感触を(女性より)好む。気質が硬く剛性に富むが、柔軟さに欠け、力がかかるとひび割れて、ポッキリと折れてしまう。
(12) 非結束指向 隙あれば、自分が所属するグループからバラバラにはみ出て、互いに自分の好きな方向に進んで勝手に自己主張しようとする。
(13) 不満表出指向 グループ内の不満を、中でくすぶらせずに、グループ外に安直に表面化して、互いに他人の目に見えるところで攻撃し合い、さっさとガス抜きを行う。
(14) 安易脱退指向 自分が所属するグループから脱退することを安直に行う。グループから出た後も、独りで自立して気楽に生きていき、機会を見て次のグループにさっさと混ぜてもらおうとする。



○B3-3.「注意の遠隔・空間・大局性」

←危険や異変の発生を見張るため、広い範囲の物事を一括して把握できるようにするため。

遠距離、長時間の展望、計画を持ちたがり、身近な場、細かいポイントについて注意が行き届かない(遠距離・長時間指向)。

例えば、実世界の垂直と水平を見極めるような、広域空間の三次元立体把握が得意である(空間把握能力が高い)。物事の大局的な把握が可能である(ワイド視点、大局指向)。品物の枝葉末節の飾りには興味がない(装飾軽視指向)。細やかさに欠け、大雑把である(粗雑指向)。品物の機能そのもの(環境適応にどう役立つか)に関心が行く(機能重視指向)。

奥行きのある広い空間に注意が向く(広大空間注意指向)。広大な空間を一気に見通して、遠い、深い物事の考察を行う(思考の深遠性)。



○B3-4.「スケールの大きさ(広域非限定分布性)」

←安全が確保される枠を超えてでも、自分の分布可能な領域を可能な限り広く、大きく取ろうとするため。

安全性が確保されない領域にも、積極的に打って出て、自分の能力を試し、生存可能な領域枠を広げようとする。安全枠の外に積極的に出て行き、広域分布しようとする。
自己実現をしよう、成果を出そうとする際に、枠を限定せず、できるだけ大きく取ろうとする。安全枠内に囚われずに広く、大きく物事を考える。
自身が生み出す成果、生産物が、スケールの大きい、壮大な、ややもすると細やかさに欠けたものになる。

巨大組織に属して、その中で昇進し、スケールの大きな影響力、支配力を行使することを好む。


◎B4.自傷容認指向

自分自身が粗末な非貴重品なので、外的な力で傷付いても一向に構わない。

(1) 衝突指向 相手とぶつかることで、自分に傷が付いたりや割れができたりすることを厭わない。
(2) 動的指向 広く取った空間を一気に移動するために、速く動こうとする。速く動くことで、何かにぶつかった際のダメージが多少大きくなってもやむを得ないと考える。
(3) 粗暴、大胆指向 自分のことを、周囲の他者とぶつかることで多少傷ついても問題ないと考え、がさつな、大胆な行動を取る。男性コミック作家の描くキャラクタとかの線が、野太い。
(4) 破壊指向 自分とぶつかった相手を破壊しよう、割ろうとする。
(5) 殺伐、荒れ指向 互いに周囲の他者を攻撃し(攻め)合い、場を殺伐とした、荒れた雰囲気にしようとする。

◎B5.攻撃、戦闘指向

自分と敵対する他者を、積極的に攻撃して、破壊、屈伏、服従させようとする。その際、自分は勝てば、ある程度傷ついても構わないとする。
絶えず攻撃の対象、相手を見つけようとする。仮想敵を作りたがる。
戦闘や人殺しを好む。



C.考察

女性の生物学的貴重品としての行動、および男性の自らを粗末に扱う行動が生得的なものか、後天的に学習されたものかは、まだよく分かっていないというのが現状であろう。文化人類学の従来の知見(例えばM.Meadの研究)では、男女の性役割が通常とは逆転している(女性=非貴重品として行動する)の社会もごく少数だが見られるとされている。

ただし、少なくとも次のことは言えるのではないか。それは、現状の男女が、ほとんど皆「女性=貴重品、男性=非貴重品」としての行動を取るのは、女性が貴重品としての行動をとらなかった、すなわち命を粗末にした(女性が戦争などで前線に出て、どんどん死んだ)社会のほとんどが環境適応がうまく行かなくて滅んだ結果、女性が貴重品として行動し、男性が彼女らを守る形の社会のみが生き残った結果であるということである。

女性が命を粗末にした社会の環境適応がうまく行かなかった原因は、子供を出産できる女性の数が大幅に減ったため、出生する子供の数がそれに合わせて大幅に減少し、子孫の十分な再生産ができなくなったことにある、と考えられる。要するに、女性が危険に積極的に身をさらす社会も、かつてはかなり存在したかも知れないが、そうした社会が、その後の環境による淘汰(社会の子供の数が必要数を下回り、社会が存続し得なくなる)によって、現在ではほとんど存在しなくなったため、「女性=貴重品」という図式が世界的に定着した、と言えるのではないか。

何はともあれ、これからは、性差心理学者・社会学者たちは、男女の行動様式の差の根源を作り出す、生物学的な貴重性の程度の差にもっと目を向けるべきであろう。


D.実データに基づく調査結果

(1)態度についてのアンケート調査

こうした、生物学的貴重品としての「自己保身指向」的態度が実際に「女々しい」と感じられていることを、2002年11月に行ったwebアンケート調査(回答者205名)の結果、実際に確かめた。詳しくは、アンケート回答結果:自己保身指向=「女々しい」についてのページを参照されたい。

上記アンケートを元にした、女らしさ、男らしさを診断する心理テスト(生物学的貴重性の観点から)を実施中である。

参考までに、2002年11月に86名分の回答を収集した結果は次の通りである。

(1)テスト結果値分布(PDF形式)

(2)テスト項目別回答傾向

テスト結果値(各回答者毎の全項目平均集計値)について、明確な男女差は見られなかった。
また、項目別については、33個の項目中、想定通りの性差(女性が、より女らしい)(p<.01)が見られたのは7個、逆の性差(男性が、より女らしい)(p.<01)が見られたのが14個であった。
これは、回答国である日本において、男性が女性と同等(かそれ以上)に、自分自身のことを貴重な守られるべき存在であると考えていること、すなわち、日本男性が、根底で「女々しい」ことを示していると言える。これは、日本社会が女性的性格を持っていること母性優位で、日本男性が心の底で母親に「頼りたい、守られたい」と思っていることと関連しているのではないかと考えられる。


(2)気体、液体分子運動についてのアンケート調査

気体、液体分子運動の動画における分子の動きがどれほど男性的、女性的に感じられるか、webアンケート調査で確かめたところ、気体分子の動き=男性的、液体分子の動き=女性的という結果となった。

男性、女性と気体、液体のページへのリンクです。


一方、気体、液体分子運動の動画における分子の動きが、各分子がどれほど自身の保身、安全を重視するように感じられるか、webアンケート調査で確かめたところ、液体分子の方が、より自身の保身、安全を重視しているように感じられるという結果となった。

これは、液体分子の方が、互いに寄せ集まって、集団を作り、そこに所属することで、互いに助け合い、孤立無援になることを防いでいる(護送船団である)ように感じられること、一方、気体分子は、各分子が一つ一つ孤立、独立、自立しており、自分で自分の身を助けなければならない(他者の応援を仰ぎにくい)状態にあるように感じられることを示していると考えられる。

気体、液体分子運動の動画に対する回答結果のページへのリンクです。

このことより、「女性的=液体分子的=自己の保身、安全を指向する」という相互関連があることが明らかとなった。



(c)2001.4-2010.10 大塚いわお
 

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