ダウンロード、コピーコンテンツの無料視聴と著作権保護
-コンテンツへの広告自動挿入による著作権料回収-

2003.04-2006.02 大塚いわお


[要約]

本文は、ビデオ、音楽、電子書籍などといった、いわゆるコンテンツをファイル交換等の手段を用いてローカルにダウンロードして保存、コピーした場合の視聴の無料化と、コンテンツ著作者への著作権料支払いとの両立を図る方法の一つについて提案するものである。広告をコンテンツに自動挿入することで、ネットワーク上からコンテンツをローカルにダウンロード、コピーして視聴することを合法化し、著作権侵害を防止する手法について述べている。


1. コンテンツ配信の現状

現状では、コンテンツの視聴は、放送にせよ、ネット配信にせよ、著作権者側の都合ばかりが考えられている。

従来、コンテンツを、Winny(あるいは亜種のWinnyp)、Share、WinMXといったファイル交換ソフトなどを使って無料でローカルにダウンロード、保存、コピーしたり、保存したデータを2次的にばらまくことは、著作権者の権利を侵害するものだとして、場合によっては法律違反として訴訟の対象とされてきた。そのため、視聴者側の「見たいものを無料で見たい」という素朴な欲求はかき消されがちであった。

また、例えば、ネットによるビデオ配信では、コンテンツが、視聴者側で簡単にローカルに保存することができないため、裏ツールの使い方を知らない普通の視聴者は、配信側で配信を打ち切られると、なすすべがない。視聴者に、見たいコンテンツを見たいときいつでも見られるという、「見る権利」を与えるべきである。

これは、ビデオ、DVDや電子書籍にも当てはまることであって、何らかの形でコンテンツが品切れになって入手不可能となると、視聴者に残された道は、中古品の入手やコピーに頼ることだけである。しかるに中古品のコンテンツ入手に当たっては、現状では、肝心の著作権者に対価が回らない。儲かるのは中古販売店のみであり、彼らは、他人の著作物の上にただ乗りをして生活する寄生虫のような存在である。一方、ファイル交換のような無料のコンテンツコピーも現状では、著作権者には対価が回らない。こうした著作者に対価の回らないコピーが大量に出回りやすく、正規の著作物を駆逐してしまう。

本来、著作権者にとっては、自分の作品がなるべく広範な視聴者に受け入れられること(、そして視聴者から対価をもらうことでそこそこの生活ができること)が望ましいはずである。

その際、著作権者にとっては、コンテンツが視聴者に見られる度に、その対価となる料金を、視聴者から回収したいと思うのはごく当然の心理である。しかし、現状では、コンテンツがいったん視聴者のもとにローカルに保存・複製されてしまうと、そこから視聴料金を新たに回収するのは不可能である。

そのため、DVDソフトとかでは、コピープロテクトを施して、視聴者がローカルにコンテンツを無料で保存・複製するのを防ごうとしているのであるが、それが逆に災いして、せっかく作られたコンテンツの内容が、コピーを通して大勢の視聴者に知られる機会を逃す結果を生み出している。また、著作権料をダイレクトに現金で回収しようとするため、DVDとか、コンテンツが高価で、とても普及するような、気軽に見られるような価格ではなくなってしまう。例えば、アニメなど、30分5000円みたいな高価で手に届きにくい値付けの商品が横行することになる。

要するに、現状のコンテンツ流通のしくみでは、視聴者側の、いつでも好きなときに無料で見られるという根本的な欲求、著作権者側の、見られる度に視聴料金を新たに何度でも回収できる、という同様の欲求を満たすことができない。

これらの問題は、全て、視聴者がいったんローカルに保存したコンテンツからは、現状では、著作権料が徴収できないという点に起因する。この点を解決することで、視聴者と著作権者の双方にとってうれしい、利益となるしくみを作る必要がある。



2.解決すべき問題

視聴者によるコンテンツの視聴は、基本的に無料で行えるべきである。それは、(1)「試し視聴」を気軽に行って、自分の気に入った作品に出会う可能性を高めるため、(2)経済的負担を最小限に抑えるために必要である。
また、コンテンツの配信(放送、ダウンロード)が配信側で勝手に打ち切られても、視聴者側で引き続き見られるように、コンテンツの保存は、ローカルでできるようにすべきである。また、コンテンツの流布を促進するため、コンテンツのコピーとその流通も自由にできるようにすべきである。

一方、視聴者が只見ばかりして、著作権者が損をしないようにするために、ローカルにダウンロードしたコンテンツ視聴時にも、その都度、著作権者に著作権料が行くようにすべきである。



3.解決策

上記の問題を解決するためには、ローカルにコンテンツを無料で保存、コピーすることを許可しつつ、 ローカルに保存、コピーしたコンテンツを無料で見る際に、ネットワークを通じて対応する広告が自動ダウンロードされて強制的に視聴者が見る必要を生じさせるのが手っとり早い。

すなわち、(1)コンテンツローカル保存、コピーと、(2)無料視聴、(3)著作権料支払いの3者を両立させるため、
(a)既存のファイル交換ソフト等により、コンテンツ(と場合によっては広告データ)のローカル保存、コピーと蓄積を実現する。
(b)ローカルコンテンツ視聴時に、広告を自動挿入し強制視聴させる専用コンテンツ再生、閲覧ソフト(専用プレーヤ) を作成する。その際、広告を呼び出すタイミングや本数などをコンテンツ毎に設定可能とする。
(c)コンテンツ再生時に、広告を呼び出すタイミングに来たら、広告サーバから広告ををストリーミングないしダウンロードして再生する(あるいは予めローカルにダウンロードしておいた広告データを再生する)。
(d)コンテンツ再生、閲覧ソフト(専用プレーヤ)は、視聴者が広告を再生・視聴したら、その広告料を広告主の口座から引き落として、著作権料として、著作権所有者の口座に振り込む、広告料→著作権料変換を行う。その際、コンテンツ再生、閲覧ソフトが、最新の広告主、著作権者の口座情報をリアルタイムで照会するための、広告料、著作権料口座情報サーバを構築する。

この場合、再生・閲覧ソフトで、広告入りで再生・閲覧の対象となるローカルコンテンツとしては、動画ビデオ(アニメ、実写ドラマ、映画、アマチュアによるビデオカメラ撮影映像など)、jpeg形式などの静止画(スキャナ画像や、デジタルカメラ画像など)、音楽や列車走行音等の録音(mp3形式などで作成した音声ファイル等)、電子書籍(複数の静止画で構成されるか、PDF形式などで1~複数のファイルにまとめて作成されたテキストやコミック等)などを想定している。


3.1 著作権料の広告による支払い

コンテンツ対価を、直接キャッシュ(カード支払いを含む)で支払うのではなく、広告視聴で支払うようにする。その方式は、以下の2通りのうちの1つとする。
(1)広告データはその都度、広告主が最新のものを、予め広告データサーバを立てて、そこから最新の広告データを、要求のある度にリアルタイムで流す。
(2)広告データファイルは、ファイル交換ソフト等を利用して、ネットに放流する。そうすることで、高負荷の広告データサーバとかを構築しなくても、最新の広告データファイルを、簡単かつ安価に視聴者の元に送り届けることも可能である。コンテンツ再生、閲覧ソフトの側で、広告の賞味期限を自動的にチェックし、条件に適合した広告のみを再生するようにする。この措置により、視聴者は鮮度の古い広告を見なくて済むようになる。

広告主としては、視聴者が例え数年前にダウンロードされたコンテンツを視聴する場合でも、最新の広告を視聴者に見せることができる。)

また、コンテンツ再生、閲覧ソフトでは、見たい広告の種類を視聴者に予め選択させ、その条件に合った広告を優先的に再生するようにする。

広告は、ジャンルとかは、基本的には、現状のテレビ向け広告と共通でよく、皆が必要とする生活必需品、食物、文具、洗濯用品等のものを主に流す。

コンテンツに関係ある内容の広告データを自動的に再生ないしダウンロードするようにすることも可能である。例えば、アニメ「ミルモでポン」の動画ファイルを再生したら、それと一緒に、登場人物の玩具の広告も再生する。

コンテンツ再生、閲覧ソフトでは、視聴者が広告を視聴したら、広告データの広告主の口座から広告料を引き落とし、コンテンツの著作権者の口座へと振り込む動作を自動的に行う。そうすることで、著作権者としても、例え古いコンテンツからでも、最新の広告視聴がもたらす、広告料が著作権料へと転化するしくみを用いることにより、視聴者に新たに視聴される度に、常にその都度新たな著作権料を得ることができる。

コンテンツ内に、広告を呼び出すタイミング情報を書き込み可能なソフト、すなわちコンテンツ作成ソフトを用意する。広告タイミングをコンテンツ内の任意の位置に入れることができ、呼び出す広告の本数の情報も同時にファイル先頭付近に書き込む。

なお、コンテンツファイルは、著作権者が誰かをきちんと同定しやすくするため、例えば、コンテンツの先頭付近の部分に、著作物の正式名称、話数(ないし巻数)、著作権者のデータを、捏造防止の透かし入りで埋め込むようにする。

一方、既にネット上にたくさん流通している、既存の、広告再生にそのままでは対応していないコンテンツファイルを再生する際にも広告を呼び出したり、著作権料を回収できたりするように、工夫を行う。ファイル名に書かれたコンテンツの名称と、メディアの種類(音声のみ、動画、画像、PDF・・・)から、著作物の正式名称が何か、および正式の著作権者が誰かを、著作物データベースが稼働するサーバに照会して割り出し、本来の著作権者に確実に著作権料を渡す。また、広告タイミングは、コンテンツ再生開始前にまとめて広告再生するか、あるいは、コンテンツ再生開始後何%以内に必ず広告再生をという枠を予め決めて、その枠内で、視聴者に自由に広告タイミングを選ばせるようにする。

コンテンツ再生、閲覧ソフトによる広告料金の扱いについては、

(1)広告データをコンテンツ再生時にリアルタイムで広告データサーバからストリーミングかダウンロードして再生する方式では、広告者情報サーバにアクセスして、視聴者の設定した条件に合う広告者、広告内容を検索し、広告者の口座情報から口座残金を割り出し、残金のうち今回著作物視聴に相当する広告料金の分を、広告者口座から引き落とす。そして、広告データサーバから広告をストリーミングかダウンロードして再生する。適切な広告の検索は、コンテンツ再生時の広告検索時間節約のため、コンテンツ再生事前に予め行っておくのでもよい。

(2)広告データを予めダウンロードしておく方式では、広告ファイルデータを読み込み、広告者、放映時間、賞味期限を調べ、広告者情報サーバにアクセスして、広告者の口座情報から口座残金を割り出し、残金のうち今回著作物視聴に相当する広告料金の分を、広告者口座から引き落とす。口座残金がなかった場合は、その広告の放映をスキップして、別の広告にあたる。

なお、上記(1)(2)において、広告料金の口座引き落としは、作業負荷を減らすため、月末等にまとめて行うのでもよい。


コンテンツ再生、閲覧ソフトによる著作物の照会では、コンテンツ品名、種類(ビデオ、書籍、ゲーム・・・)をまずファイル名等から特定し、それぞれに対応した著作権者とその著作権料納入口座を、著作物データベースから引っ張ってくる。著作物が再生されるタイミングで、納入口座に広告料の転化した著作権料を振り込む。実際の口座振込は、作業負荷を減らすため、月末等にまとめて行うのでもよい。

なお、正しい著作権者口座が見つからない場合は、一時的に著作権料を保管しておくプール口座を、著作物毎に用意する。

なお、コンテンツデータとかで、どこまでをサーバのデータベースで管理し、どこまでをファイルの中に書き込むかは、注意すべき課題である。ファイルに書き込んだ情報は、ひょっとすると悪意ある視聴者に解読されて、勝手に捏造される恐れがあるからである。視聴者に漏れてもいい情報だけを、ファイルに書き込むことが望ましい。

また、著作権料、広告料に関する口座は、正しいか、実際に稼働しているか、予め確かめてから、料金引き落とし、振込を行う。

コンテンツ再生、閲覧ソフト側では、ローカルにダウンロード、コピーしたコンテンツを再生、閲覧可能状態にする際に、(ビデオ、音楽なら)再生位置、(電子書籍なら)画面ページ位置を絶えずチェックして、そこに広告呼び出しタイミング情報が書き込まれていないか調べる。そして、もし書いてあった場合は、鮮度の新しい広告データを、そのタイミングで再生する。

広告は、その時点で広告主によって賞味期限内としているものが、視聴者の目に止まるようにする。

あるいは、視聴者が望むジャンルの広告が見つからない場合は、緊急措置として、近そうなジャンルの広告を任意に引っ張ってくることも考えられる。

広告の出し方は、視聴者が必ず見るように、既存のテレビやラジオ広告と同じく、本編開始前~本編が佳境に入った時点で出すのを基本とする。あるいは、画面の上か下ないし、L字型にスクロール表示で、本編再生中に同時並行で、広告データを絶えず流すようにする。電子書籍の場合は、画面一杯を使って表示するのでもよい。


広告データは、テレビ向けと同様の音声入り動画がまず想定されるが、再生時のデータサイズを少なく抑えるために、静止画であったり、無声のGIFアニメーションやFLASH動画でもよいし、あるいは、新幹線車内の電光掲示板同様、文字列データをスクロールして流すのでもよい(むろん、スクロールせずに、静止して表示するのでもよい)。文字列データの場合、音声合成で、文字列の内容をしゃべるのでもよい。

視聴者の方で、再生ソフトのオプションで、見たい広告のジャンルを細かく指定する。例えば、酒類とか育児用品とか指定する。すると、再生、閲覧ソフトの方で、ジャンルに合った広告を自動的に検索してきて、流してくれるようにする。

広告料が著作権料にスムーズに変換されるしくみは以下の通りである。1人の視聴者がローカルに保存したコンテンツAを再生している最中に、広告Bを見ると、(1)コンテンツAが見られた、(2)その広告Bが見られた、という2種類の情報を、コンテンツ再生、閲覧ソフトが把握する。コンテンツ再生、閲覧ソフト側では、広告主が設定した広告Bに対応する広告料を、その都度、広告主の口座から引き落とし、手数料を差し引いて、コンテンツAの作成元著作権者の口座に振り込む。差し引いた手数料は、自分のソフトを開発した会社の口座に振り込む。

広告を再生する前の段階で、広告主が、引き落としに足る十分な金額を口座に預金できているかを、事前にチェックし、十分な引き落とし金額が確保できない場合は、その広告の再生は中止する。

こうした口座照会、料金引き落とし~振込は、視聴者がコンテンツを再生する際に、バックグラウンドで行われる必要がある(実際の引き落とし~振込は月末とかにまとめて行うので構わない)。それは、クレジットカード会社との決済機能と同じような感じである。


3.2 コンテンツのローカルダウンロード認可

コンテンツがサーバ側で、ハードディスクエラー等の原因で消失してしまう可能性に対処するため、コンテンツをローカルにダウンロードできるようにする。

ローカルにダウンロード、コピーしたコンテンツの再生、閲覧時には、再生、閲覧ソフトが広告データを再生して、強制的に広告を視聴させる。そうすることで、著作権料を広告視聴で自動的に、著作権者に払うようにする。

ローカルにダウンロード、コピーしたコンテンツの中身を、悪意を持った視聴者が勝手に改変して、広告をスキップするようにできないようにする必要がある。対策としては、
(1)コンテンツのデータ内部に細工を施す。広告を出すタイミングや回数に関するデータを、コンテンツの中に暗号化ないし分散して埋め込んで、広告表示に関するデータをコンテンツ内から分離して取り出して消せなくする。
(2)広告を出すタイミングデータがないコンテンツでは、、事前にコンテンツ再生、閲覧ソフトの方で、広告再生タイミングを自動的に決定することで、広告を出すタイミングに関するデータを入れ忘れたコンテンツでも、広告配信を確実なものにすることができる。


3.3 無料視聴とオプションとしての有料視聴

ローカル保存、コピーしたコンテンツ視聴時に、最新広告を配信することで、誰でも無料で、従来の広告入り民間放送を見るのと同じ感覚で、コンテンツをいくらでも見られる、いくらでも好きなだけ無料でダウンロードし、ローカルに保存できる。

コンテンツにおける広告の挿入タイミングは、コンテンツ作成元で、ある程度自由に決められるようにする。例えば、広告視聴による著作権料が沢山欲しいコンテンツ作成元は、広告挿入タイミングを沢山コンテンツ内に入れるようにすればよい。

一方、広告を見るのがイヤな視聴者が、再生ソフト上から、著作権料を直接、自動的に著作権者に振り込むことも可能とするべきである。広告中止とそれに伴う視聴者による著作権料振込は、(1)コンテンツの永久買い取り(そのコンテンツを見る際に、永久に広告が出ない)、(2)コンテンツの一時的なリース(リース期間中だけ、広告が出ない)、の2つの種類別に行う。

しくみとしては、例えば、ローカルな再生ソフト上に、クレジットカード情報を登録する。再生ソフトは、視聴者から、広告中止の要請があったら、クレジットカード情報を暗号化して広告サーバ運営会社に送る。運営会社は、カードから代金の引き落としと、著作権者への振込を順次行うようにすることで、視聴者と著作権者を媒介する役割を担う。

そのコンテンツが広告中止の対象となっているかどうかの判断・決定は、コンテンツデータが存在するローカルな再生ソフト側で行う。その際、悪意を持ったユーザに広告中止を著作権料の支払いを伴わずに勝手にやられることを防ぐため、広告中止に関するデータは暗号化したり、書式を分かりにくくしたりして、クラッキングできないようにする必要がある。

また、コンテンツが国境を超えて自由に行き来、増殖するのを容認するため、例えば北米向けのコンテンツでも、再生ソフトにおいて、居住地域を日本に、ないし、言語を日本語に指定している場合は、日本向けの(日本語の)広告が流れるようにする。この場合、日本向け広告の広告料が、そのまま著作権料に転化して、海外の著作権者にそのまま支払われるようなしくみを作ることで、言語の壁を超えて、コンテンツが流通することを可能とする必要がある。

3.4 公共コンテンツの扱い

広告主がコンテンツを自分の都合のよい内容に操作できなくして、内容面での偏りをなくす不偏不党の精神に基づく、従来の公共放送で流すようなコンテンツは、その制作に、いわゆる受信料の支払いを必須とする。

上記の無料広告モデルでは、そのままでは公共放送に対応できない。そこで、視聴者が、ローカル保存済みの公共コンテンツを再生しようとしたときに、コンテンツ再生、閲覧ソフトに、視聴者が受信料をきちんと支払っているかどうか、公共コンテンツ作成元に自動的に問い合わせ、受信料を払っているとの認証が得られたときのみ、その視聴者が自由にローカルに保存したコンテンツを、「広告なしで」再生できるしくみを作る。

こうすることで、毎月一定の受信料を支払えば、全ての公共コンテンツが見放題、好きなコンテンツを選んでダウンロードし放題、という環境を作ることが可能である。



4.利点

こうした広告配信によるローカル保存コンテンツ無料視聴環境のもたらす利点について以下にまとめた。

4.1 広告の効果

ローカルコンテンツ再生時に見せる広告は、長時間動画再生、全画面表示を強制することが可能であり、webとかのバナー広告より格段に効果が高く、現在のテレビ向け広告と同等の効果が期待できる。

また、現行のテレビ番組だと、広告は録画したものは古いままだし、リアルタイムでは視聴者が見たくない広告を延々と見せられることになるが、ローカルコンテンツ再生では、広告部分だけが、その時々の最新で、視聴者の好みにフィットしたものに、自動的に差し替えられる。視聴者は、より広告を積極的に見ようという気になるだろう。自動的に鮮度の高い広告が差し替えで再生されることで、広告主も広告の宣伝効果を高く保持できる。

4.2 コンテンツの質の向上

ローカルコンテンツ再生では、コンテンツ作者は、繰り返し見ても飽きない優れた作品を作ることにより強く動機づけられる。そうすることで、流通する作品の質が、1回流したら終わりのテレビ主流の現在に比べて格段に向上する。

つまり、作品が見られるたびに、広告料が転化した著作権料が作者の手元に、永久に入ることになるので、作者に取っては、作品が見られれば見られるほど、お金が儲かる仕組みだからである。かつ、現行のDVDとかのパッケージ販売商品みたいに売り切りではないので、作品が見られるたびにずっと繰り返し、いつまでも永久に儲かるのである。


4.3 視聴者への金銭的メリット

視聴者には、無料で作品がいくらでも好きなだけ合法で手に入るので、金銭的負担無しに、自分の見たい作品を自由に好きなだけ取得、保存、再生できる。それゆえ、より多くの視聴者に、より多様な作品が一挙にかつ持続的に普及しやすくなる。それゆえ、コンテンツ作者にとっても、金づるが生まれやすい。


4.4 放送を超える

現在、無料ないし定額で、決まった地理範囲内に、決まった時刻にコンテンツの配信を受けるのが、地上波、BSの放送である。現状では、放送されたコンテンツをビデオデッキとかに録画して保存する行為は、一般に認められている。しかし、この場合、決まった時間にならないと、見たいコンテンツを見られない。また、何らかの都合でその放送を逃すと2度と見られないことが多い。また、放送区域外では見たくても見られないし、全国をカバーするとされるBS放送でも悪天候だと見られない。野球中継とかが前に入った後番組の録画の場合、毎回、放送時間の変動を気にしながら、正確に録画番組設定をしないと見られない。ちょっとでも設定を間違えると、正しく録画されない。あるいは、本来の放送予定時刻とずれた分、余計な録画データが入ったりする。また、地震やテロなどの重大事件勃発に伴う放送日時の急な変更にも対応するのが難しい。

この点、インターネットを介したファイル交換や、webサーバからの自由ダウンロードでは、自分の好きなときに好きな内容のコンテンツを、いつでも、どこに住んでいても、天候等の制約なしに、コンテンツ名を指定するだけで、自由にダウンロードして楽しむことが可能であり、著作権の問題さえクリアされれば、放送の持つ時間的、空間的な制約を完全に取り払う理想的な環境を実現する。

そうした意味でも、インターネットでのファイル交換と著作権者への対価支払いが両立する条件を探ることは、コンテンツ視聴者、著作者の両者にとって、ぜひともすぐにでも必要な、重大な案件であると考えられる。そうすることで、従来の放送は、ニュース速報以外の点では、ファイル交換やサーバからの自由ダウンロードに劣り、やがて衰退していくと考えられる。放送がなくなる日は意外と近いかもしれない。現在のテレビ放送を前提とした各種テレビチューナー付き録画機も、チューナーの代わりに超高速LAN接続端子を付けた、ファイル交換機能付きコンテンツ蓄積保存機に取って代わられるだろう。


4.5 映画を超える

現状では、映画館で映画を見る場合、コンテンツの中身を視聴者に見せる前に、著作権料に当たる料金を視聴者からもぎ取ってしまう。要するに、派手な宣伝によって、視聴者の間に前評判を形成し、思わず料金を支払う気にさせるのである。コンテンツを見て、視聴者がその出来のつまらなさにガッカリしても、映画業界は返金には応じようとしない。そういう点で、彼らは完全に「ぼったくり」の世界の住人なのである。しかもその料金で、コンテンツはしばしば1度しか視聴することが許されない。気に入って、もう一度見たいと思ったら、また高い料金を支払わなくてはいけないのである。

こうした映画業界の慣習は、視聴者本位のコンテンツ視聴形態のあるべき姿からかけ離れた暴挙とも呼べる不当なものであり、将来的には撤廃されるべきものである。

視聴者にとって望ましいコンテンツ視聴形態とは、コンテンツをお気に入りになるかどうか実際に視聴して十分に吟味する機会を持つことができ、そうして気に入ったコンテンツをその後も「無料で」「何度でも」「好きな時に」楽しめることである。こうした視聴形態を実現するには、今のところ、コンテンツ視聴時に広告配信を伴う(広告を見ることで料金を著作権者に支払うため、実質的に無料で楽しめる)、コンテンツデータファイルのインターネットを介した交換(好きなときに手に入れられる)とローカル保存環境(好きなときに何度でも楽しめる)が理想的であると言える。



4.6 巨大図書館としてのローカル保存コンテンツ共有・交換環境

書籍、雑誌に代表されるコンテンツを無料で視聴可能である、という点で、公共図書館の果たしている役割は大きい。ただし、現状では、コンテンツを視聴するために、わざわざ図書館のあるところまで出かけてコンテンツを借り出さなくてはいけない。また、誰か他の人がそのコンテンツを借りていると、自分はそのコンテンツを直ちに視聴することは不可能である。また、いったん借りたコンテンツはまた返さなくてはいけない。

筆者が本文で述べているインターネットを介したコンテンツデータファイルダウンロード、交換~ローカル保存・広告付き再生環境は、広く全国~全世界に「分散する」ファイル保持者一人一人の集まりによって運営される「民間の、私的な」、ディジタルコンテンツデータを扱う「電子的な」、誰でも無料でコンテンツを視聴できる「万人に開かれた」、一つの巨大な「図書館」と見なすことが可能である。しかも図書館の利点である「只でコンテンツが視聴できる」点を保ったまま、誰か他の人がコンテンツを借りているかどうかを気にしなくて済む=いつでも好きなタイミングでコンテンツを入手することができる点、および入手したコンテンツを返す必要なくそのまま永久に保持し続けることができるという点で、従来の図書館の限界を超えた使いやすいコンテンツ視聴環境であるということができる。



4.7 コンテンツ散在の利点

インターネットを介したコンテンツデータファイル交換~ローカル保存・広告付き再生環境においては、各コンテンツは、広く全国~全世界に「分散する」ファイル保持者の間に、複数分散して存在することができる。そのため、地上のある地域が自然災害によって大きなダメージを受け、その地域のファイル保持者が皆死んでしまい、ファイルが破壊されてしまった場合でも、残りの地域のファイル保持者たちの間に、同じファイルの内容が複写されて存在し続けることが可能である。これは、現在のwebベースの情報提供のように、一つのサーバからコンテンツが中央集権的に管理された形で配信され、いったんそのサーバマシンが災害発生などでクラッシュしてコケると、コンテンツはたちまち全世界的にアクセス不能となって地上から一瞬のうちに消えてしまうのとは対照的である。そういう点で、インターネットを介したファイル交換環境は、コンテンツの保全と再配布にとって、webなどよりもより理想的な形態であると言える。


4.8 アマチュアのコンテンツ制作者へのメリット

コンテンツデータファイルダウンロード、交換~ローカル保存・広告付き再生環境においては、アマチュアのコンテンツ制作者は、自作のコンテンツを自由にネット上に放流できる点では、現在と変わらぬ利便性を得ることができる。

さらに、広告料の転化した著作権料が手に入るようになるため、皆に繰り返し再生される優れた内容のコンテンツを作成・放流したコンテンツ制作者は、金銭的に大いに潤い、出版社や放送局等に頭をペコペコしなくても、プロとして独立して、生計を立てる道か開かれる。


4.9 同人誌コミックマーケットを超える

コミックなどの同人誌制作者も、大都市で開かれる同人誌即売マーケットにいちいち夜行列車などに乗って出向かなくても、あるいは、物理的な印刷物のストックを持たなくても、自分の出版物をダウンロードして読んでもらえ、なおかつ、広告料が転化した著作権料を受け取ることができる。読者も、コミックマーケットにいちいち出向かなくても、自分の住居にいながらにして、無料で、いろいろな同人誌を、心ゆくまでダウンロードしまくって、読みふけることが可能である。その点、現行のコミックマーケットは衰退に向かうであろう。


4.10 コンテンツメディア、パッケージ不要論

コンテンツデータファイルダウンロード、交換~ローカル保存・広告付き再生環境においては、コンテンツ制作者は、予め著作権者口座を専用サーバに登録した上で、自分の力で、ネット上に、ファイル交換やwebからのダウンロード等の手段で、自作のコンテンツをばらまきさえすれば、視聴者がそのコンテンツを広告付きで再生することにより、何かメディアの力を借りなくても、独力で、著作権料を回収できる。

その点、出版社、書店、CD/DVD等パッケージ販売、レンタル会社といった既存のコンテンツ流通・販売メディアの力をほとんど借りずに、コンテンツを用いた商売ができることになる。その点、こうした既存のメディアは、その影響力を著しく損なうことになると考えられる。

既存のメディアに残されるのは、コンテンツ宣伝媒体としての機能くらいなのではあるまいか。それさえも、もしもコンテンツ制作者が自分でwebサイトみたいなのを立ち上げて、巨大掲示板とかに宣伝を入れれば、それで済んでしまうかも知れない。

また、現在、書籍や音楽、映画、アニメ等のコンテンツは、きらびやかなパッケージに身を包んで、高価な価格で書店、音楽CD屋店頭に並んでいるのがデフォルトだが、今後は、これらのコンテンツは全てネット上でファイルの形で流通し、制作者がそのまま広告料転じた著作権の対価を手に入れることが可能になるため、パッケージで流通させる必要性は弱くなる。高価なパッケージをあえて購入するマニアのコレクターもいることはいると思うが、少数派に止まると考えられる。






5.課題

ここでは、広告再生によるコンテンツ無料視聴環境の持つ課題について述べる。


5.1 贋物コンテンツ防止の必要性

上記の、ローカルコンテンツの広告視聴による無料配信で一番問題となるのが、広告料が転じてなる著作権料が本来の著作者に行かず、なりすましの偽者のところに行ってしまう、偽装工作がなされる可能性があることである。

例えば、誰か他の人が著作権を持つ動画ファイルの題名を勝手に編集して、あたかも自分が著作権者になったふりをして、自分のところに広告料が入ってくるように、偽造すること(偽名ファイルの生産)が横行することが考えられる。

対策としては、
(1)コンテンツ内部に、書籍のISBNみたいな記号+番号の著作物番号を入れておく(暗号化する)。この著作物番号を、著作権料口座情報サーバにも登録しておく。コンテンツ視聴時に、この著作物番号を、コンテンツ再生ソフトが読み取り、著作権料口座情報サーバに照会する。サーバは、該当する著作物番号のコンテンツ名(と、必要に応じて著作権者名)を返す。コンテンツ再生ソフトは、サーバから返されたコンテンツ名と、ローカルのコンテンツのファイル名とかについているコンテンツ名(と、場合によっては著作権者名)とを照合し、本物かどうかを判定する。贋物であると判断した場合は、コンテンツを再生しないようにする。あるいは、再生ソフトがサーバから返されたコンテンツ名と著作権者名を画面表示するようにして、視聴者が、贋物かどうか判定するようにしてもよい。

1つの著作物番号に付き、正しいコンテンツ名と著作権者が一意に決まるようにする。著作物番号登録時に、チェック機関を設け、著作物番号とコンテンツ名と著作権者名とが正しく合致している、整合していることを、チェック、審査するようにする。例えば、悪意ある第三者が、自分の懐に著作権料が入るように、新規の著作権番号で、旧来からあるコンテンツを登録しようとしても、コンテンツ名が旧来から存在するものであれば、それに対応する著作権者名がシステムによって自動的に改変不可能な形で名前の欄に入るようにして、悪意ある第三者が著作権者になりきることを阻止できるようにする。

ファイル交換ソフトとかでは、ファイルダウンロード開始時に、最初に試しにダウンロードしたキャッシュの先頭の内容を解析して、著作物番号と、ファイル名とを先読みして、サーバに照合し、その著作物に付いているファイル名が正しいかどうか判定し、贋物と分かった場合には、ダウンロードを中止すると共に、捏造警告を出すようにしてもよい。

なお、著作物番号の代わりに、ファイルに捏造不可能な形で埋め込まれたコンテンツ名、著作権者名を直接サーバに照会するのでもよい。


(2)コンテンツ内部に、著作権者が、そのファイルが本物であることを示す「電子透かし」情報を中に入れておき、コンテンツ視聴時に、ファイル名と透かしの中の著作権者情報が合っているかチェックする。あるいは、透かしが入っていなかったり変造されている場合は、贋物であるとして、コンテンツの内容を無効にするようにする。そうすることで、偽者が不正に著作権料を得ることがないように万全の対策を取ることが考えられる。

実際のところ、コンテンツのファイル名は、ファイル交換とかで、正しく指定する必要があり、ファイル名が間違っていると、そのコンテンツはダウンロードされないので、ファイル名の変造はさほど流行らないかも知れない。

ただし、中には、攪乱をねらって、意図的にファイル名捏造が行われることがあり、それに対処する必要がある。

あるいは、コンテンツファイル先頭に、著作物名、著作権者情報を埋め込む方式を取る場合は、情報の捏造を防ぐため、コンテンツ内と著作物データベース上の双方に対応するパスワードを埋め込んでおき、両者が合致ないし正しく対応した場合のみ著作物が再生される(対応しない場合は、「捏造コンテンツです」と警告を出して再生を中止する)ようにすることも考えられる。



6.まとめ

コンテンツ作成側では、ローカルに保存・複製された旧作品のコンテンツの視聴でも、広告は最新のがネットから配信されるので、新しいコンテンツ同様の収益源になりうる。 無料なので、沢山視聴者に見てもらえ、各コンテンツの普及~評判形成を促進することができる。コンテンツ作成側では、視聴者による試聴時に出す広告の、広告料の高さを決められる。

広告提供側では、常に、最新の、視聴者の好みに合った広告を視聴者に見せることができ、広告商品の売り上げアップに確実につなげることができる。

視聴者は、どんなコンテンツでも、広告を見さえすれば、無料で視聴を楽しめる。また、従来の時間決めされた放送視聴のように時間に縛られることなく、いつでもどこでも好きなコンテンツのダウンロード~視聴を楽しめる。

また、従来よくないとされてきたコンテンツのコピーによる流布も、コピーコンテンツ視聴時に広告による著作権料が著作権者に入るようになることで、正当化される。むしろ、コンテンツがコピーによって増えることで、広告による著作権料が著作権者に入る量が増えるため、コンテンツのコピーは、著作権者にとって歓迎すべき事態ということになる。

また、どんなに古いコンテンツからでも、著作権者がきちんと著作権料が振り込まれる口座情報を最新のものに更新さえしておれば、広告による著作権料が著作権者に入るため、古いローカルコンテンツが「埃をかぶらず」に、著作権者にとって、いつまでも金づるとして利用できることになる。

そういう点で、「コンテンツ作成者=著作権者」と「広告主」、「視聴者」の3者間で、「win-win-win」の関係が成り立つ。すなわち、ローカル保存、コピーコンテンツ視聴時に、最新広告ファイルを再生し、その広告料を著作権者に回すというしくみは、各立場の人々それぞれが利益を得ることができ、その点、ビジネスとして立派に成立すると言える。

このビジネスを成立させるためには、広告主と著作権者を媒介するコンテンツ再生、閲覧ソフト開発会社、および著作物の著作権者を認証する第三者機関の働きが重要となる。そのためのノウハウをためることが、今後の視聴者にとっての「無料」コンテンツビジネスを成功に導く上で、大きな鍵となるであろう。



(旧版へのリンクはこちら)。


(参考)現行の類似システム

当ベージに記した手法内容と、類似のシステムが既に存在する。

「NetLeader(NTTコミュニケーションズ)」のページへのリンクです。

NetLeaderは、ファイル交換ソフトによるコンテンツ流通を前提としている。
コンテンツファイルの一つ一つに広告・課金情報を埋め込む。
広告を見ることで、初めてコンテンツを視聴するためのライセンスが、視聴者に与えられる。広告の代わりに、アンケートに答える等の代替手段も可能とされている。

当ページで提案している手法(以下、「広告自動挿入法」と呼ぶ)との違いは、

(1)NetLeaderが、コンテンツに広告・課金情報を直接埋め込んでいる。それに対して、当ページ手法(「広告自動挿入法」)では、コンテンツ自体には広告・課金情報は埋め込まずに、広告の選択や再生は、コンテンツ閲覧・再生ソフト側で、その都度、最新の広告を取ってきて行うので、コンテンツが古くなると共に、広告も古くなってしまうという事態を避けることができる。

(2)NetLeaderでは、広告とコンテンツ提供者が一体となっていないといけない。コンテンツ提供者が、視聴者に見てほしい広告等の内容を予め決めたり、用意しないといけない。それに対して、当ページ手法(「広告自動挿入法」)では、広告とコンテンツとの対応づけや広告料の著作権料への転化は、その都度、コンテンツ閲覧・再生ソフト側で、コンテンツ提供者とは独立して新たに行う。そのため、コンテンツに対する広告の内容を、コンテツ提供者側で考える手間が不要である。

(3)著作権料の回収が、NetLeaderでは、コンテンツ提供者の指示した広告を見ることで代行され、著作権料自体は入ってこないのに対して、当ページ手法(「広告自動挿入法」)では、コンテンツ提供者とは独立した第三の広告主の広告料が、著作権料に転化して、そのままコンテンツ提供者の口座に振り込まれる。そのため、当ページ手法では、著作権料を直接キャッシュ(現金)として回収できるメリットがある。

上記の点で、当ページに記したアイデア、手法の方が優れていると考えられる。



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